活動事例

事業再構築補助金を22件受注した4つの方法とは

事業再構築補助金の支援を22件

今回は事業再構築補助金を22件申請支援し、補助金申請支援をきっかけに財務支援にもつながった事例を紹介したい。

愛知県名古屋市に事務所を構える伊藤誠悟税理士事務所は、平成23年1月に設立された従業員7名の会計事務所である。

伊藤誠悟税理士事務所では、事業計画作成を中心に、 MAS監査を通して顧問先企業の事業目標達成支援に注力している。

また、 中小企業の事業目標達成を支援するため税理士事務所とは別に、2020年8月に株式会社ミカタ (従業員4名)を設立した。

税務業務を行わない株式会社を設立

まずは、 事業再構築補助金を22件も申請支援することになったきっかけを伺った。伊藤先生によれば、 中小企業の新事業展開を支援するという株式会社ミカタの設立目的に、事業再構築補助金の内容がマッチしていたことがきっかけとして大きかったようだ。

設立したばかりである株式会社ミカタの集客と、コロナで厳しい経営状態となった中小企業の支援ができることが、結果として22件もの補助金申請支援につながったと言える。

また、株式会社ミカタは税務業務を行わないため、一般的な会計業界の繁忙期でも問題なく補助金支援を実施できる点にチャンスがあると考えられたようだ。

案件受注につながった 「4つの方法」

今回、補助金申請を支援することになった22件は、どのようなきっかけで受注に至ったのか伊藤先生に伺った。  

伊藤先生は補助金が発表された当初より「4つの方法」を考えられていた。まず1つは税理士事務所の顧問先企業への郵送案内である。2つ目は株式会社ミカタのホームページやSNSで補助金情報をこまめに発信すること。

3つ目は経営者の会や取引業者など、お会いする方にこまめに情報提供すること。4つ目にはランディングページをWEBサイト上で作成する予定だったが、1~3までの方法で充分な案件集客が実現したため、ランディングページは未公開とのことだ。 また、これらの方法以外にも提携のシステム会社や会計ソフト会社、さらには金融機関からも案件紹介があったようだ。

当初は年間通して20件程度を受注できればと考えていたようだが、結果的には1次と2次だけですでに年間目標を超える22件を受注することになった。  

ホームページやSNSでの情報提供はどれぐらいの頻度で発信されたのだろうか。伊藤先生によれば、週に1回程度の頻度で補助金に関連する最新情報を発信されていたようだ。

なお、情報発信の内容や記事は伊藤先生だけでなくスタッフにも協力してもらいながら継続されていた。

金融機関から手伝ってほしいと言われた

金融機関との連携するに至ったきっかけを伺った。実は株式会社ミカタ自身の融資を金融機関に相談していたことがきっかけだったようで、金融機関から逆に手伝ってほしいと相談を受けたのだ。

このケースはタイミングがよかったと伊藤先生も感じられているが、伊藤先生によれば金融機関も補助金相談はあるが工数の問題で受けられないケースは多いのだという。会計事務所から金融機関に対して積極的に提携の提案を持ち掛けてみてはどうかとアドバイスをいただいた。

ちなみに、提携を持ち掛ける際に金融機関に対しては「ウチは補助金支援が得意です」と言い切ることがポイントだと伊藤先生は教えてくれた。

支援報酬額には企業側も納得感がある

事業再構築補助金の支援報酬について伺った。1次から3次までの間で何度か価格設定を変更されているようだが、3次公募については、申請支援費用 (着手金) として15万円、採択後支援費用(採択報酬)として補助金額の10%で設定されたようだ。

申請支援費用については、企業によっては少し高いと感じられるケースもあるが、株式会社ミカタでは申請に向けた打ち合わせを丸一日かけていることもあり、 結果的には企業側も納得感があるようだ。

ワーク形式で申請書を作成する

株式会社ミカタではどのように申請支援されているのか。 依頼者である企業とは会議型のワーク形式でヒアリングして支援しているという。 これは株式会社ミカタの事業計画作成支援サービスとして従来から実施してきたスタイルだ。ワーク形式の中で申請書を作成していくのだという。ワーク形式で打ち合わせするメリットとしては、補助金採択後の事業イメージを共有しながら申請書を作成できることがある。 また、補助金支援がスポット契約だった場合に、株式会社ミカタの顧問契約につながるようにという狙いもある。

協議会のツールについては、事業再構築補助金の公募開始当初より補助金支援契約書サンプル申請書記載例を活用している。

さらに申請書作成のエクセルテンプレートは、前述のワーク形式の中でも利用しているようだ。

補助金も財務もどちらも資金調達

株式会社ミカタでは事業再構築補助金の支援をきっかけとして財務支援も推進していくことを想定している。

今後は、公式LINEを活用して補助金情報等を発信していき、補助金と財務支援をセットで案内していくイメージだ。

補助金も財務も資金調達であることには変わりないため、どちらか一方ではなく両方を支援できるように注力していくとのこと。株式会社ミカタでは、調達した資金でどのように事業を発展させられるかという点をサポートしていく。

最後に今後の展望を伊藤先生に伺った。伊藤先生の口から出たのはやはり「企業の事業発展をサポートしたい」という言葉であった。そのために役立てることであれば、 補助金だけでなく様々な知識を伊藤先生自身も、そして会社としても経験を積んでいきたいと語ってくれた。

まとめ

今回の事例から学べる、明日から実践してほしいアクションプラン

① 税務以外の支援にも注力するため、 会計事務所とは別で株式会社を設立することを検討する

② 補助金情報はホームページやSNSでこまめに発信する

③ 金融機関や取引業者へ案件紹介の提携を提案する

④ 企業側にも納得感のある支援報酬額を設定する

⑤ 補助金申請書の作成ヒアリングはワーク形式で実施する

⑥ 資金調達の支援方法として、 補助金だけでなく財務支援にも注力する