会計事務所支援ブログ

税理士も差別化が生き残りのカギ!税務・会計だけじゃない事務所となるには

「会計事務所にも差別化が必要」と長年言われており、具体的に取り組んでいる事務所も多く存在します。

有資格者の高齢化、中小企業の減少など会計事務所を取り巻く環境が厳しさを増す中、今後も顧問先から選ばれる事務所であり続けることが大切です。

本記事では会計事務所の差別化について解説します。

会計事務所は成長産業?斜陽産業?

会計事務所(税理士事務所、公認会計士事務所)の市場規模は1兆6,515億円(2017年)であり、5年前(2012年)の1兆3,700億円から20.6%増加しています。

事業従事者1人あたりの売上高は9,011千円(2017年)、同じく5年前(2012年)の8,072千円から11.6%増加しています。

【参考】サービス産業動向調査拡大調査(確報)|総務省統計局

統計でみると成長分野とみえますが、税理士登録者数が一貫して増加する一方、主要な顧問先である中小企業・小規模事業者数は毎年減少しています。

日税連登録者数は80,473人(2022年11月末日時点)、約10年前の72,039人(2011年3月末日時点)と比べると11.7%増加しています。

会計事務所の将来性に対する危機感は、顧問先となる事業者数の減少と同業者である税理士登録者数の増加による競争激化、といえます。

コロナ禍で顧問先数は増加

コロナ禍前と比べて多くの会計事務所で相談が急増し、顧問先が増えた事務所も数多くあります。

コロナ禍で急増した「資金繰り」「補助金」相談に対応した事務所は、今後も顧問先を獲得することが期待できます。

税務・会計業務だけで生き残れますか

税務・会計業務だけでは、ほかの事務所と比べての優位性をアピールすることは難しく、顧問先のDX化が浸透するほど、会計事務所が必要とされる場面は縮小します。

そのため、会計事務所としても顧問先とともにDX化をすすめ、税務相談・記帳代行以外の業務を強化し、顧問先から選ばれる事務所が目指しましょう。

税理士事務所・会計事務所における差別化

税理士事務所・会計事務所ともに、差別化のポイントは2つです。

ひとつは、自事務所が顧問先にとってのビジネスドクターのような存在となることです。

顧問先のことを深く理解し、財務を中心とした改善を提案します。

もうひとつは、事務所の得意分野を磨き上げていくことです。

例えば、「国際税務に強い事務所」「資産税が得意な事務所」などが考えられます。

資金調達支援

中小企業経営者にとって、業績や人事・労務管理に次いで関心が強い事柄です。

多くの顧問先が利用した民間金融機関のコロナ融資(ゼロゼロ融資)は、返済開始のピークがこれからです。

伴走支援型特別保証制度によるリファイナンス(借り換え)の提案や事業計画書の作成支援など、顧問先への財務改善提案と事業計画作成支援が求められています。

補助金申請支援

資金調達の中でも優先して検討すべき調達方法です。

補助金申請支援は、顧問先の多くの事務負担を軽減することができることに加えて、事務所にとっても顧問先の事業内容や経営上の課題を共有することで、今後の財務改善を提案しげやすいメリットがあります。

また、2022年度(令和4年度)第2次補正予算案に基づいて、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金の拡充が予定されています。

事業再構築補助金では、旧通常枠における売上減少要件が撤廃されるなど、補助金対象となる顧問先が増えることが予想されます。

事業承継・M&A支援、新規開業(創業)支援など

そのほかにも、顧問先へ差別化をアピールできる業務が多くあります。

経営者が高齢の事業者への事業承継の支援、新分野への進出による成長を志向する顧問先へのM&A支援、あるいは新規開業(創業)案件への助言や資金調達支援などです。

新規開業(創業)時の支援においては、創業者は金融機関交渉に不慣れなことが多く、会計事務所の支援が必要となります。

新規開業への支援をするためには、日本政策金融公庫国民生活事業の融資制度と信用保証協会の保証制度についてのノウハウが必要です。

顧問先の創業、成長、そして事業承継時はM&Aがあります。

金融機関との交渉に慣れている経営者であってもM&Aや事業の承継(譲渡)は未経験の経営者も多く、複雑な税制を踏まえた専門家の支援が必要です。

中小企業におけるM&Aの件数が急増している中、公的なプレイヤーである事業承継・引継ぎ支援センターを介した件数の伸びが顕著です。

M&Aへの関与は顧問先の減少を避けるだけでなく、創業する事業者など新たな顧問先の獲得につながる、株価の算定を受注できるなどのメリットがあります。

反面、事務の手間が多い、時間がかかる、許認可や税制が複雑などのデメリットもあり、M&Aや事業承継に関するノウハウの習得に時間を割く必要があります。

認定支援機関として事務所業務を拡充

税務・会計だけではない事務所としてアピールする入り口が、中小企業支援の専門家「認定経営革新等支援機関(通称:認定支援機関)」への登録です。

認定支援機関は39,023件(2022年10月28日時点。拠点数。)が登録されています。

認定支援機関ができること

認定支援機関としての業務は、必須の業務、関与が望ましい業務があります。

認定支援機関の関与が必須の業務は、「事業再構築補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」などです。

関与が望ましいとされている業務は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(略称:ものづくり補助金)への関与など、多くの場面で必要とされています。

【参考】国の補助事業等において必要とされる認定支援機関の役割について|中小企業庁

【参考】認定支援機関|ミラサポplus

認定支援機関の中でも差別化を目指す

認定支援機関登録件数は39,023件(2022年10月28日時点。拠点数)です。

このうち、税務・会計事務所などの合計が30,649件を占めます。

認定支援機関登録数は拠点ごとです。

単純比較はできませんが、税理士有資格者数80,473人、税理士法人届け出数7,369拠点(いずれも2022年11月末日時点)と比較すると、税理士法人の多くで登録が進んでいるとみられます。

認定支援機関の業務実績の件数が、認定経営革新等支援機関検索システムで公開されています。

今後は早期に登録するとともに、事務所の得意な分野での実績件数を積み上げていくことが差別化につながると推測できます。

2022年12月、『収益力改善支援に関する実務指針』が公表されました。

実務指針作成の目的は、認定支援機関全体のサービス水準の向上と経営者の自主的な対応や挑戦への伴走支援ですが、認定支援機関の業務がはじめての人に参考となります。

【参考】「収益力改善支援に関する実務指針」の概要|中小企業庁

伴走支援型特別保証制度や経営改善計画策定支援事業を活用

補助金の交付は、事業に必要な費用支払ったあとに交付される制度が多くあります。

補助金申請を支援する時は、顧問先における資金繰りの見通しやつなぎ融資を確認することを通じて、資金繰りの改善を提案できます。

顧問先への資金繰りの改善提案には、より資金繰りがラクになる制度の紹介、必要となる事業計画書の作成の提案をします。

伴走支援型特別保証制度

伴走支援型特別保証制度を活用すれば、顧問先の資金繰りを改善することが可能です。

最長10年間、据置期間5年の保証制度であり、リファイナンス(借り換え)による資金繰りの改善に効果的です

【伴走支援型特別保証制度の特徴】

対象次のいずれかの認定を受けていること
①セーフティネット保証4号の認定
②セーフティネット保証5号の認定
③一般保証(売上高が前年比15%以上減少など)
そのほかの条件金融機関による継続的な伴走支援が受けられること 経営行動計画書を作成すること
保証限度額1億円
保証料率原則0.2%など
保証期間10年以内(据置期間5年以内を含む)
取扱期限2023年3月31日まで
【参考】伴走支援型特別保証制度について|中小企業庁

伴走支援型特別保証制度は売上高が前期比5%以上減少などの条件があります。

申請書類の一部である経営行動計画書はA3用紙1枚ほどの量ですみます。

伴走支援型特別保証制度はモニタリングが必要です。

中小企業経営者自身でモニタリング資料を継続的に作成できない場合は、長期のモニタリング契約も見込めます。

(早期)経営改善計画策定支援事業

顧問先が計画書作成費用を気にしているときは、(早期)経営改善計画策定支援事業を検討できます。

リスケジュールが想定される「経営改善計画策定支援事業」と会社の健康診断的な「早期経営改善計画策定支援事業」があります。

事務所の差別化は、経営革新等支援機関推進協議会の活用を!

税務・会計以外の業務での収入を増やすためには、まず顧問先へのアピールが必要です。

忙しい顧問先に新たな業務への関心をもってもらい契約につなげるためには、顧問先へのマーケティングからはじめましょう。

マーケティングツールの使用や、財務面を切り口とした差別化を始めたい事務所経営者様は、経営革新等支援機関推進協議会をご利用ください。

経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが提供する認定支援機関業務をトータルサポートするサービスです。

顧問先への販促ツールの提供、顧問先が見てわかりやすい財務支援システム「F+prus(エフプラス)」で自動生成した事業計画書の作成と活用方法など、認定支援機関業務をトータルでサポートする仕組みを提供しています。

財務支援システム「F+prus(エフプラス)」をご利用いただくことで、初心者の事務所スタッフであっても具体的な財務改善提案を迅速に提供できます。

8つの指標

財務支援支援システム「F+prus(エフプラス)」は、金融機関と同じ格付基準をわかりやすく表示します。

借り換えによる資金繰り改善シミュレーション

リファイナンス(借り換え)効果の説明から、データのインポートだけで事業計画書を作成できるなど、顧問先への財務改善提案が容易です。

まずは、14日間の無料体験をお試しください。

1,696拠点の会計事務所様にご利用いただき、多数の公的支援制度実績に活用していただいている経営革新等支援機関推進協議会のツールとノウハウで、差別化し、顧客から選ばれ続ける事務所となりましょう。

まとめ

中小企業経営者にとって最も身近な相談相手は税理士・公認会計士などの会計事務所です。

相談内容が税務・会計業務に加えて、補助金申請や資金調達支援であっても同じです。

顧問先の財務改善と今後の成長を支援するためにも事務所のサービスを広げ、事務所を差別化しましょう。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。