「税務・会計サービスの平凡化」、「即戦力人材の不足」、「会計AIの台頭」など事務所を取り巻く環境は刻々と変化しています。今後10年間、生き残っていくためには付加価値支援の収益化が欠かせません。
本記事では、付加価値支援の収益化に成功した事例を交え、今後の経営戦略について解説します。
目次
税務・会計業務だけでは生き残れない時代に
売上を税務・会計業務だけに頼っている事務所はご注意ください。
現在、税務・会計の基本業務はどの事務所も似通ったサービスを提供しており、他事務所と差別化できていないのが実情です。
- 記帳代行
- 給与計算
- 決算申告書・確定申告書作成
- 税務署提出用書類の作成など
またAIの台頭により、税理士・会計士の仕事は将来的に奪われる可能性があることを以前から危惧されてきました。
今や単純な記帳代行は会計ソフトで代替でき、一部のAI先進国(エストニア等)では税理士の需要は低下し始めています。
10年後も事務所として生き残っていくためには、税務・会計業務以外のサービス拡充や、業務効率化を進めて人間にしかできないサービスの提供をおこなわなければなりません。
付加価値支援で収益化に成功した事例
事務所の戦略を考えるうえで、具体的にどのようなアプローチが効果的なのでしょうか。
以下では、「経営革新等支援機関推進協議会」のサービス導入により、付加価値支援で収益化に成功した事例を紹介します。
信用格付判定サービスから着手
御堂筋税理士法人の隣先生は、金融機関出身というキャリアを生かし、「信用格付診断サービス」から取り組みました。
実際に担当した案件数は10件ほど。金融機関目線の財務支援を通じて、顧問料とは別に1件当たり8万円、計80万円前後の売上につなげました。
協議会の「F+prus(エフプラス)」では、信用格付判定で「財務診断報告書」を作成可能です。
金融機関目線で企業の格付け判定ができ、適切な借入数値や、資金調達環境の改善メニューを自動表示できます。分かりやすいフォーマットで経営者にも喜ばれているサービスです。
補助金の採択(事業再構築補助金・ものづくり補助金・事業承継、引継ぎ補助金)を利用
財務支援以外にも「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」、「 事業承継、引継ぎ補助金 」などの支援をおこないました。
結果的に、事業再構築補助金は採択が6件で約1200万円、ものづくり補助金は1件で約100万円、 事業承継、引継ぎ補助金 は6件で約600万円もの売上を確保することに成功。
このように財務支援サービスから補助金申請までのストーリーを描くことで、顧問先にスムーズな提案が可能となります。付加価値支援で収益化できた好例です。
付加価値支援を収益化できない原因
御堂筋税理士法人の事例から、付加価値支援で収益化できない事務所の原因を考えてみましょう。
以下3点を解説します。
企業ニーズを満たす提案をできていない
企業ニーズを喚起できない提案や、企業ニーズに合わない提案をおこなっていないでしょうか。
例えば、「信用格付診断サービス」によって顧問先の資金繰りなど経営の問題を把握することが可能です。
そこに紐づけて「ものづくり補助金を使って、新たに設備投資をおこないましょう」と、ニーズに沿って提案できます。
顧問先の実情を調べ、企業ニーズを満たす提案をしてはいかがでしょうか。
提供しているサービスが限定的である
税務・会計の基本業務だけでは、提供できるサービスの幅が限定的です。
たとえ企業ニーズを把握しても、それを満たす支援ができなければ意味がないです。例えば、補助金採択に関する知識・実務経験がゼロでは、自信をもって対応できません。
なんでも業務を事務所で抱え込む
すべての業務を事務所内で抱え込んではいないでしょうか。
業界で求められる即戦力人材は人気で、採用が難しくなっています。また、福利厚生や待遇が整っている大手事務所に流れがちです。
人手不足で一人当たりの負担が大きくなっている事務所が業務を抱え込もうとすると、ミスやトラブルが頻発しかねません。
余計な業務を増やし、さらに従業員は疲弊してしまいます。
社外のサービスを利用するなどして、業務効率を改善すべきです。
例えば、「補助金に関する情報を集める」「補助金の申請書をチェックする」といった業務は、協議会に頼ることができます。
成功までに役立った協議会のコンテンツ・サービス
これらの原因をクリアし、付加価値支援の収益化に役立つ協議会のコンテンツ・サービスをいくつか紹介します。
営業で使える各種補助金のご提案チラシ
協議会ではマーケティング支援の一環として、営業で使える販促ツールを提供しています。
企業ニーズを満たすため、またその内容を分かりやすくご提案するために利用可能です。
御堂筋税理士法人では、コロナ融資に関する資料のサンプルデータやチラシのテンプレートを受け取り、そのまま顧問先に提供しました。
- 各種制度の案内チラシ
- NewsLetter・メルマガ
チラシはPowerPointで作成しており、事務所名を編集してすぐに顧問先へ渡すことができます。
また、メルマガでは事務所から配信する文面を毎月提供します。テーマも毎月変わるため、継続的な情報提供が可能です。
情報収集はできても、それを顧問先に分かりやすい形で提供するためには、ライティングやデザインのスキルを求められます。チラシ・メルマガの完成品を受け取れる点はメリットです。
実務未経験でもOK!補助金の添削サービス
協議会では、補助金申請の知識・実務経験ゼロの事務所であっても、顧問先に提案できるよう、実務支援をおこなっています。
審査項目をおさえた申請書サンプルを提供し、未経験でも効率的に申請書を策定可能です。補助金以外にも「経営力向上計画」や「先端設備等導入計画」などさまざまな申請書をカバーしています。
一番の特長は、申請書の添削サービスです。協議会の専門スタッフが申請書を代わりに添削し、ブラシュアップしてくれます。添削の内容を伝えるだけで、顧問先へのフィードバックになり、かつ、採択率を高める申請書を提出可能です。
事務所向けに「個別相談窓口」を設置しており、顧問先への支援・実務を相談できます。立場に関係なく、事務所の方ならどなたでも利用可能です。
エビデンスのある最新情報を受け取れるサポート体制
協議会のマーケティング支援の一つである「FAS CLUB」では、顧問先向けに「無料」で資金繰り・補助金に関する情報を提供します。
- メールマガジン
- 会員専用WEBセミナー
- 専用相談窓口
- 情報誌
メールマガジンでは、最新情報をいち早くお届けします。スマートフォン・パソコンから手軽に閲覧可能です。
会員専用WEBセミナーの開催では、補助金・公的制度の最新動向を分かりやすく、専門用語など聞き慣れない言葉も含めて解説します。
顧問先向けに「専用相談窓口」を設け、メールマガジンやWEBセミナーでの気になったところを気軽に相談可能です。
また、金融・財務・税制に関する情報誌の発行(※2ヶ月に1度)をおこなっています。経営者が気になる情報をまとめてお知らせします。
付加価値支援を今日から収益化しよう
事務所が今後10年間も生き残っていくためには、付加価値支援の収益化を中心とした対策が必要です。企業ニーズを把握し、それを満たすサービスを提供することが要となります。
たとえ知識・実務経験の不足している事務所でも、協議会のサポートを受ければ、付加価値支援の収益化を目指せます。今日から収益化のために、協議会のサポートを導入してはいかがでしょうか。