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リスキリング助成金の改正をまとめて解説【2024年11月最新】

リスキリング助成金の改正をまとめて解説【2024年11月最新】

多くの経営者が注目するリスキリング助成金が2024年10月に改正され、続いて11月にも一部が見直されました。主な変更は助成限度額の設定、教育訓練機関との関係の明確化などです。

本記事では、リスキリング助成金の改正点をまとめて解説します。

リスキリング助成金(人材開発支援助成金|事業展開等リスキリング支援コース)とは

リスキリング助成金とは、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースのことです。(以下「リスキリング助成金」)
リスキリング助成金は、企業の新規事業開始やDX・GX化など新たな分野で必要となる知識や技能を従業員に習得させる訓練経費や賃金の一部が対象となり、多くの企業が活用しています。
このリスキリング助成金は2027年3月末までの期間限定の取り扱いとされています。(2024年11月時点)

【参考】2024年度版パンフレット(事業展開等リスキリング支援コース)詳細版(2024年11月5日~)|厚生労働省

リスキリング助成金の対象者

リスキリング助成金の助成対象は雇用保険適用事業所の事業主です。法人だけでなく個人事業主も助成対象となります。

助成対象となる訓練を受ける従業員は雇用保険被保険者であることが必要です。

リスキリング助成金の対象となる訓練

リスキリング助成金の対象となる訓練は、主に次の要件を満たす必要があります。

  • OFF-JT(企業の事業活動と区別しておこなう訓練)である
  • 実訓練時間数が10時間以上
  • 従業員の職務に関連した訓練かつ、次のいずれかに必要な専門知識や技能を習得させるための訓練であること
    ・新たな分野への事業展開(訓練開始日から起算して3年以内に実施予定または実施後6か月以内に実施するもの)
    ・事業展開はおこなわないが、企業内のデジタル・DX化やグリーン・カーボンニュート ラル化に関連する業務において必要

リスキリング助成金の助成率・助成限度額

リスキリング助成金の内容は経費助成と賃金助成の2つです。

  • 経費助成
    事業内訓練または事業外訓練にかかった経費が対象です。
  • 賃金助成
    訓練期間中の所定労働時間内賃金が対象です。
    eラーニングや通信制による訓練、所定労働時間外や所定休日に実施した場合は助成対象外となります。

経費助成と賃金助成の助成率・助成額は次のとおりです。
なお助成限度額は従業員1名につき1年(4月1日から3月31日)で訓練回数3回まで、1事業所につき1年(4月1日から3月31日)で1億円までです。

【経費助成】

リスキリング助成金の経費助成
※1 訓練受講者1名1か月あたりの経費助成限度額
※2 訓練受講者1名1訓練あたりの経費助成限度額

【賃金助成】

リスキリング助成金の賃金助成
※3 訓練受講者1名1時間あたりの賃金助成額

リスキリング助成金の受給の主な流れ

リスキリング助成金を受給するまでの主な手続きの流れは次のとおりです。

リスキリング助成金の最近の改正点

リスキリング助成金の最近の改正は、2024年10月1日と2024年11月5日の2回です。
改正内容の適用は、職業訓練実施計画書の届出日によって決まります。
支給申請書などの書式は、計画届出日が2024年9月30日まで、10月1日から11月4日まで、11月5日以降と細かく異なることに注意が必要です。

2024年10月と11月の主な改正内容は次のとおりです。

【参考】2024年度版パンフレット(事業展開等リスキリング支援コース)詳細版(2024年11月5日~)|厚生労働省

定額制サービスの助成上限額は1名1か月あたり2万円まで【2024年10月改正】

定額制サービスによる訓練の場合、対象者1名1か月あたり月2万円が経費助成の限度額となりました。この支給限度額は次の2コース3メニューを合計しての限度額です。

  • 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のうち定額制訓練メニュー
  • 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のうち自発的職業能力開発訓練メニュー
  • 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

定額制サービスは3メニューで1名1年あたり3回まで【2024年10月改正

定額制サービスによる訓練について、支給限度回数は上記の2コース3メニューをあわせて1名1年(4月1日から3月31日)あたり3回までとなりました。
同時に、定額制サービスによる訓練に関する対象者一覧(様式第4-2号)の様式が変更されています。

定額制サービス以外の訓練の場合、対象者1名につき1年(4月1日から3月31日)あたり3回までとなります。

定額制サービスは訓練期間が1年以内【2024年10月改正】

定額制サービスによる訓練は実施期間が1年以内とされました。
訓練期間が1年を超える場合は契約期間の初日から1年間が訓練実施期間となります。
定額制サービスが自動更新の場合も1年間が上限です。

定額制サービスが1年超の場合は毎年計画届を提出【2024年10月改正】

定額制サービスが自動更新の場合、1年間を上限として、最初に締結した契約期間の初日から企業が任意に設定する日までの期間ごとに計画届を提出することが必要です。

定額制サービスの契約期間が重複している場合は助成対象外【2024年10月改正】

同一事業所において、同一内容の定額制サービスの契約期間が一部でも重複している場合、重複している契約期間は原則として支給されないこととなりました。

訓練計画届出時の添付書類の改正【2024年11月改正】

訓練計画届出時の添付書類として、教育訓練機関などから訓練費用の負担を軽減する説明資料が提供された場合、その資料を添付することとなりました。

支給申請時の添付書類の改正【2024年10月改正】

定額制サービスによる訓練を実施した場合、支給申請時に添付する経費助成の内訳(様式第7-4号)が改正されています。

経費負担の取り扱いの明確化【2024年11月改正】

教育訓練機関などから訓練を受講させる企業へ金銭提供や値引きなどがある場合、助成金が不支給となることが明確化されました。
企業が経費の全額を支払うことを条件とする取り扱いは変わりません。
2024年10月、会計検査院の検査により人材開発支援助成金の一部について不正受給が判明したことを受けて明確化されました。

リスキリング助成金の手続きはいつまで?

リスクキリング助成金は申請手続きが細かく定められています。書類の不備だけでなく、決められた期日までに必要な書類を提出しないと不支給となってしまいます。

リスキリング助成金は手続きの期限を厳守

リスクキリング助成金における重要な手続きの期限は「訓練開始日の1か月前まで」「訓練終了日の翌日から2か月以内」の2つです。

訓練開始日の1か月前までに提出

  • 職業訓練実施計画届
  • 事業展開等実施計画
  • 訓練の対象者一覧
  • 人材開発支援助成金事前確認書
  • 訓練カリキュラム
  • 雇用契約書の写しなど労働条件がわかる書類など

訓練終了日の翌日から2か月以内に提出

  • 支給要件確認申立書
  • 賃金助成の内訳
  • 経費助成の内訳
  • OFF-JT実施報告書
  • 就業規則
  • 出勤簿、タイムカード
  • 賃金台帳の写し

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リスキリング助成金は要件が細かく定められており手続きが厳格、申請期限を厳守、訓練終了日の翌日から2か月以内に揃える書類が多いなど複雑な制度です。また制度が頻繁に改正されるため、最新の情報の確認が欠かせません。

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