小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が取り組む販路開拓に活用できる補助金です。
小規模事業者持続化補助金第18回(一般型)と第2回(創業型)の公募要領が発表されました。公募期間はいずれも2025年10月3日から11月28日までです。
本記事では、小規模事業者持続化補助金を活用した税理士からの周知方法や、補助金支援で他事務所と差別化した付加価値向上策を解説します。
目次
小規模事業者持続化補助金(2025年版)とは
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が賃上げやインボイス制度など社会的な変化に対応するために取り組む販路開拓費用などの一部が対象となる補助金です。
本補助金2025年に改編され、補助枠が4種類、補助率が2/3、補助上限額が250万円(共同・協業型を除く)で実施されています。
本補助金を受給するためには、小規模事業者が商工会や商工会議所の支援を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って取り組むことが必要です。
小規模事業者持続化補助金の対象事業者
本補助金の対象となる「小規模事業者」とは、商業・サービス業(宿泊・娯楽業を除く)の場合は従業員数5名以下、それ以外の業種の場合は従業員数20名以下の中小企業または個人事業主です。
小規模事業者持続化補助金(2025年版)の概要
2025年の小規模事業者持続化補助金は、補助枠として「一般型」「創業型」「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」の4種類、補助上限額は最大250万円(共同・協業型を除く)、補助率は2/3または3/4(賃金引上げ特例時の赤字事業者のみ)あるいは定額となっています。
補助枠は「一般型(通常枠、災害支援枠)」「創業型」「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」の4種類
小規模事業者持続化補助金の4種類の補助枠と主な補助対象は以下のとおりです。
小規模事業者持続化補助金(2025年版)の補助上限額・補助率
補助枠ごとの補助率・補助上限額は次のとおりです。
小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)第18回公募が開始【申請期限2025年11月】

2025年6月30日、中小企業庁から小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の第18回公募要領が発表されました。第18回公募の概要は次のとおりです。
小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)第18回公募の補助率・補助上限額
第18回公募の補助率、補助上限額は次のとおりです。
補助率 | 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者については3/4) |
補助上限額 | 50万円 (インボイス特例適用時100万円) (賃金引上げ特例適用時200万円) (上記2特例併用時250万円) |
小規模事業者持続化補助金(通常枠)第18回公募の補助対象経費
補助対象経費は機械装置などの取得費やWEBサイト関連費、展示会などへの出展費などです。公募要領に列挙されている項目以外の経費は補助対象外となるため注意が必要です。
小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)第18回公募はいつまで?
第18回公募の申請期間は2025年10月3日から11月28日までです。主なスケジュールをまとめると次のとおりです。
公募開始 | 2025年10月3日 |
事業支援計画書(様式4)発行申請期限 | 2025年11月18日 |
公募期限 | 2025年11月28日 |
見積書などの提出期限 | 2027年1月29日 |
事業実施期限 | 2027年2月26日 |
実績報告書提出期限 | 2027年3月10日 |
小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)第18回公募スケジュールの注意点と改正点
第18回公募の主なスケジュールのうち注意しておきたい点は次の2つです。
- 事業支援計画書(様式4)発行申請期限
公募申請時に商工会議所または商工会が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必要です。発行までに時間がかかることがあり、早めの申請が必要です。 - 見積書などの提出期限
第18回公募要領に明記された改正点です。この期限までに見積書などを提出しない場合、採択が取消しとなります。
【参考】小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)第18回公募 公募要領 第3版(2025年6月30日)|小規模事業者持続化補助金事務局
持続化補助金の審査は厳しい?第14回、第15回、第16回公募の採択率
小規模事業者持続化補助金は審査の難易度が上がる傾向にあり、採択結果が発表された第16回公募における採択率はおよそ1/3に低下しています。
マンパワーに限りがあることが多い小規模事業者が、本補助金で採択されるためには、専門家のサポートが求められているといえるでしょう。
本補助金の第14回、第15回、第16回公募における採択件数と採択率の推移は次のとおりです。
【小規模事業者持続化補助金の最近の採択率】
公募回 | 第14 回 | 第15回 | 第16回 |
公募枠 | 一般枠 | 一般枠 | 一般枠 |
申請件数 | 13,597件 | 13,336件 | 7,371件 |
採択件数 | 8,497件 | 5,580件 | 2,741件 |
採択率 | 62.5% | 41.8% | 37.2% |
小規模事業者持続化補助金を活用し新規顧客開拓に取り組むメリット
補助金に関する情報提供や申請支援サービスは税理士事務所が新規顧客を獲得する強力なツールとなります。補助金や助成金に関する情報は経営者の関心が強いためです。
経済産業省が2022年に発表したアンケート調査結果によると、「経営者が受けてみたい支援内容」のトップは『施策活用(補助金申請、税制活用、補助金申請に伴う計画策定など)』(39.4%)です。
また税理士が補助金申請支援に力を入れることで、商工会議所・商工会や金融機関との連携を深める好機となります。
【引用】2021年度(令和3年度)認定経営革新等支援機関に関するアンケート調査報告書|経済産業省
税理士が補助金申請支援に取り組む5つのメリット
税理士が補助金や助成金の申請を支援する主なメリットは次のとおりです。
- 情報発信ツールへの注目度アップ
事務所通信など販促ツールのテーマ素材とすることで、顧問先の目に留まりやすくなります。 - セミナーなどの集客力向上
顧問先の関心が強い補助金をセミナーの内容とすることで、集客を強化することができます。 - 商工会議所・商工会、金融機関との連携強化
商工会議所などへ顧問先を紹介することで事務所との関係が深まります。税務相談や補助金申請支援を必要とする新規顧客の紹介へつなげることが可能です。 - 事務所収益の向上
税務・会計業務以外のサービス収入となります。またスポットで受注した場合であっても、その後の財務診断や税務相談、顧問契約などにつながることが期待できます。 - 事務所の差別化
税務・会計業務以外のサービスを提供できる事務所として、他事務所との差別化につながります。
小規模事業者持続化補助金申請が採択されやすいやり方

税理士が顧問先や新規顧客に向けて説明しておきたい申請のポイントを紹介します。
決められた様式を抜けなく記載する
申請が採択されるためには、決められている様式を抜けなく、また漏れなく記載して期日どおりに提出することが大切です。
申請に必要な様式や記載内容は公募要領において案内されます。また記載すべき内容も記述されています。
わかりやすい書き方で記載する
様式に記載する内容は、必ずわかりやすい内容で、客観的な視点から記載します。
公募要領や各業種の記載例を読み込み、自社に当てはめるように記載していくことで、わかりやすい内容で記載できます。
補助金申請支援サービスを拡充する方法
税理士事務所が顧問先や新規顧客へ補助金申請支援サービスを拡充する方法を紹介します。
積極的に補助金の情報を発信する
顧問先や新規顧客に向けて、メールマガジンや情報誌などを発行して積極的に補助金の情報を発信する方法です。
経営者は日々の経営や事業に追われることが多く、補助金や助成金などの情報を逃してしまいがちであり、また自社が申請の対象になっているかもわからないことが多いため効果があります。
WEBセミナーを開催する
事務所が定期的にWEBセミナーを開催する方法です。
経営者に補助金や公的制度などの最新情報を伝え、セミナーの中で補助金申請を促すアプローチすることで、事務所の補助金支援サービスにつなげることもできます。
メールマガジンなどで補助金などに関心をもってもらい、都合がよいときに定期的に開催しているセミナーに参加してもらうことでアプローチする流れが重要です。
不採択となった顧問先の再申請、採択経験がある顧問先の新しい取り組みに対して提案する
過去の公募回において不採択となった顧問先に再申請を提案する方法です。小規模事業者持続化補助金は、不採択となったことがあっても再申請が可能です。
また同一の顧問先について、過去に採択された補助対象事業と異なる事業は申請できるため、2回目以降の活用を提案することができます。
他の補助金や助成金、税制優遇制度などをあわせて紹介する
小規模事業者持続化補助金だけでなく、「新事業進出補助金」など別の補助金や助成金、税制優遇制度などを顧問先にあわせて提案する方法です。
補助金などの公的支援策は種類が多いため、顧問先の取り組み内容に合致する制度を検索できるツールの活用がおすすめです。
補助金相談窓口を開設する
補助金申請を検討している経営者が気軽に問い合わせできる相談窓口を事務所に開設する方法です。電話、メール、ホームページ上のチャットポッド設置など、事務所や顧問先に応じたさまざまな方法があります。
顧問先やメールマガジンやセミナーで知りえた経営者が困ったときに相談できるため、補助金支援サービスにつなげやすくなります。
小規模事業者持続化補助金のよくある質問
小規模事業者持続化補助金に関する、よくあるご質問とその回答を以下にまとめました。
Q1:持続化補助金は複数回利用できますか?
A:はい、可能です。
小規模事業者持続化補助金は、同一事業者であっても複数回の利用が認められています。
ただし、過去3年間に採択された事業と異なる内容の事業であることが条件です。
また、採択を受けた事業については、事業化報告書や賃金引上げ状況報告書の提出が求められます。
【参考】よくある質問(第17回公募)|小規模事業者持続化補助金事務局
Q2:持続化補助金の一般型と創業型の違いは何ですか?
A:大きな違いは「創業からの年数」です。
一般型:創業年数に制限はなく、すべての小規模事業者が対象です。
創業型:創業3年以内の小規模事業者が対象で、以下の2つを両方満たす必要があります。
①「特定創業支援等事業」による支援を受けた日
② 会社の開業日(設立年月日)
→ 上記いずれも、公募締切日時点で3年以内であることが条件です。
【参考】小規模事業者持続化補助金(創業型)第2回公募要領(2025年6月30日版)|小規模事業者持続化補助金事務局
Q3: 賃金引上げ特例を活用予定の顧問先に提案できる助成金はありますか?
A:はい、以下のような助成金制度があります。
◆ 業務改善助成金
生産性向上のための設備投資・教育訓練などに取り組み、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、費用の一部が助成されます。
◆ キャリアアップ助成金
非正規雇用者に対する賃金引上げ・正社員化などの取り組みが対象です。
経営革新等支援機関推進協議会のマーケティング支援
経営革新等支援機関推進協議会は、会計事務所様や税理士事務所様向けの支援団体です。国内トップクラスの補助金申請・採択支援実績を有する株式会社エフアンドエムが提供しており、約1,700事務所様にご利用いただいております。
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まとめ
小規模事業者持続化補助金の第17回公募の申請期限は2025年6月13日です。顧問先や新規顧客に向けて周知など積極的な情報発信をおすすめします。
経営者によっては、自社で活用できないと思い込んでいる場合や、始めから申請を諦めていることもあります。
事務所が周知することで事業者にとって気づきになり、申請するために事務所の補助金支援サービスを活用することで補助金を諦めていた事業者を助けることにつながります。
効率的かつ効果的に情報発信のためにも、ぜひ一度経営革新等支援機関推進協議会にご相談ください。