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事業継承で税理士変更!?経営者交代による顧問契約解消を防ぐ方法

事業継承で税理士変更!?経営者交代による顧問契約解消を防ぐ方法

顧問先における経営者の交代を機に、税理士事務所へ顧問契約の解約を申し出されることがあります。前経営者時代からの不満や新しい経営者のニーズとのギャップなどが理由としてあげられます。

本記事では、事業継承を契機とする顧問契約の解消を防ぐ方法について解説します。

事業継承で新経営者が税理士を変更する事例

事業継承(事業承継における新たな経営者からの目線)をきっかけとして、顧問税理士を変えることがあります。顧問契約を解消する背景として、前経営者時代からの不満、新たな経営者としての意向、そして顧問先の社外の関係者からの意見などがあります。

前経営者時代からの不満の蓄積

前経営者が顧問税理士に不満を抱えているケースが考えられます。顧問先からの不満の代表例は次のとおりです。

  • 質問に対する回答が遅い
  • 試算表の作成などに時間がかかる
  • 税理士事務所の担当者が変わって、質が落ちたと感じている
  • 資金繰りなどの相談に親身に対応してくれない
  • 税制優遇制度などの提案がない
  • DX化などの新しい取組みに対応してくれない

新経営者のニーズと事務所のサービスとの不一致

前経営者から顧問税理士への不満を聞いている新経営者は、事業を継承する時に顧問税理士などの相談相手を変更することがあります。
上記の前経営者における不満に加えて、新経営者としての次のようなニーズに対応できない場合は、税理士の変更を検討する可能性があります。

  • 新たな経営者である自分のやり方に、税理士事務所が対応できていない
  • DX化など新しい取組みへ早く対応してほしい
  • 経営経験が少ないため、さまざまな提案をしてほしい
  • 外国税務や相続税対策など広範な相談に対応してほしい

顧問先の経営者仲間からの紹介

新しい経営者は自分で培った人脈での相談相手を頼りとすることがあります。世代交代の前後において、経営者の日常の相談相手として最も多いのは経営者仲間です。

経営者仲間では顧問税理士などについて情報交換されています。その中で「この税理士事務所は聞く前に提案してくれる」「金融機関へ提出する資料を迅速に手伝ってくれた」「自社について理解しており、相談しやすい」などの口コミが広がります。新経営者が現在の顧問税理士に物足らなさを感じている場合は、税理士の変更へと至る可能性があります。

成長意欲を高めることにつながった交流先

【引用】2023年版中小企業白書|中小企業庁

取引金融機関からの慫慂

取引金融機関からの紹介により、顧問税理士を変えるケースもあります。
金融機関が顧問先へ税理士の変更を案内する理由は、現在の税理士事務所から顧問先へのサポート不足が主な理由としてあげられます。

  • 外国税務など顧問先において注意すべき分野が不得意
  • 事業計画や資金繰り表など顧問先が資金調達時に必要となる書類作成のサポートを期待しにくい
  • 顧問先の経営状態を金融機関と共に指導・指摘する税理士が必要

新経営者からの顧問解約を防ぐ方法

事業継承した新経営者からの顧問契約解消の申し出を防ぐためには次の方法が考えられます。

新経営者のニーズ、不満を把握する

普段から定期的に顧問先へアンケートを送付するなど、顧問先における不満やニーズを把握しおきましょう。
事務所への不満を減らし、顧問先のニーズにあわせた業務を提供する取組みは、顧問先における顧客満足度の向上、事務所が受注する業務の拡大につながります。

事業承継の検討に関与しておく

前経営者時代から事業承継に関わっておく方法があげられます。
事業承継前の時点で、株価対策や株式の承継相談、経営者個人の相続税対策など前経営者の抱えている課題は数多くあります。事業承継のサポートは事務所として受注する業務の拡充となることに加えて、事業を継承する新経営者の考え方、経営方針などを事前に把握する機会ともなります。

IT化、DX化における対応

事務所においても、IT化やDX化などに早めに対応しておく必要があります。
インボイス制度や電子帳簿保存法における対応で、顧問先における会計システムの刷新がすすんでいます。今後も会計システムと受発注・勤怠管理システムとの連携、事業計画のシミュレーションへのデータ利用など、システム連携によるデータの利活用が一層すすむと見られています。事務所と顧問先とのシステム連携が不便な場合、システムの刷新時に顧問税理士を変える可能性もあります。

顧問先への提案の拡充

顧問先への情報提供とともに、事務所のサービスをアピールしましょう。
事務所通信の定期発行、補助金制度改正時のお知らせの送信、財務分析結果と改善提案メニューの同時提案など、事務所が提供できるサービスを顧問先へ周知し、サービスを拡充します。

経営者に関心事の上位には補助金制度などに関する情報が上がっています。また経営者の交代をきっかけとして、新経営者が新たな事業の展開を強化する傾向がみられます。

事業計画の作成や資金繰りにおける助言、税制優遇措置についての情報提供などは税理士の得意分野です。一方で経営上や財産上の相談に対する助言をおこなう税理士は61.1%に留まるとの調査結果もあり、事務所を差別化できる可能性があります。

ほかの支援機関との関係の構築

税理士がおこなう顧客支援業務は税務や財務分析、資金繰りなどの割合が高く、売上拡大などの助言は少なくなります。
また税理士が連携している中小企業支援機関としては金融機関(34.8%)が多い一方、中小企業基盤整備機構(0.6%)やよろず支援拠点(1.5%)など顧問先の経営改善に直接的な支援が可能な機関との連携が少なくなっています。

経営者の日常的な相談相手として頼りにされている税理士として、より幅広く支援機関と連携することで、顧問先支援の窓口としての役割を強化できる可能性があります。また同時に金融機関との付き合いを深め、自事務所で伴走支援や顧客への経営指導に力を入れていることをアピールしておくことがおすすめです。

中小企業への支援内容

【引用】2022年度認定経営革新等支援機関に関する任意調査報告書|中小企業庁

顧問先から選ばれ続ける事務所となる方法

事業承継税制のメリットは?会計事務所による支援のポイントを解説

これからも顧問先から選ばれる事務所となるためには、従来の税務・会計だけではない本業支援業務の拡充が求められています。

インボイス対応、電子帳簿保存法における対応などで繁忙な会計事務所が顧問先支援を拡充するためには、事務所を効率化し、付加価値が高い業務を強化する取組みが必要です。

事務所の効率化

事務所の効率化は、非効率な業務の削減、付加価値が高くない定型業務、そしてスタッフの教育訓練のアウトソーシングを検討しましょう。

例えば次の取組みが考えられます。

  • インボイス制度における対応で顧問先ごとに必要な書類をリスト化し、事務所内で共有
  • 事務所スタッフの担当業務をより細分化し、作業ごとに担当スタッフを設置
  • インボイス対応、電帳法対応で事務が急増する紙の領収書が多い顧問先は記帳代行サービスを活用
  • 会計事務所スタッフ向けの動画視聴研修カリキュラムの導入

事務所の差別化

定型業務の削減で生まれた時間は、税務・会計以外の業務の拡充に活かしましょう。事業計画策定や資金繰り改善のコンサルティング、伴走支援業務などの受注拡大があげられます。
新しい後継者が意思決定する顧問先については投資を積極的におこなう傾向があるため、設備投資に関する補助金や税制優遇措置、人材育成費用への助成金などの情報提供とサポートなどが提供しやすいサービスです。

投資額の変化

【引用】2023年版中小企業白書|中小企業庁

事務所の労働環境の改善

これから繁忙期を迎える会計事務所にとっては、インボイス制度や電帳法などにより、例年以上に一層忙しくなる可能性があります。繁忙期における事務負担を軽減するためには次の方法があげられます。

  • インボイス制度で必要となる事務はため込まない、前倒しで資料回収をおこなう
  • 顧問先ごとに必要な資料や回収状況を共有化し、ほかのスタッフでも対応可能な体制とする
  • 高付加価値業務の推進により、スタッフの処遇向上が可能となることを所内で説明しておく

協議会がサポート

会計事務所における生産性の向上は、会計事務所向けサービスの利用が有効です。経営革新等支援協議会では、会計事務所の収益化と付加価値化をサポートする、さまざまなサービスを提供しています。

  • 紙の領収書を送るだけ、顧問先対応も可能な記帳代行サービス『おくるダケ記帳』
  • 財務改善支援、補助金申請支援を体系的に1から学べる研修サービス『ACADEMY』

今後も顧問先から選ばれ続ける、税務・会計だけではない事務所となるためのノウハウとツールのお悩みは、協議会のサービスをご検討ください。

まとめ

事業継承時に顧問先が税理士を変える理由としては従来の不満があげられます。不満の内容は顧問先のニーズと事務所が提供しているサービスとのミスマッチなどです。

会計事務所においても顧問先のニーズを把握し、顧問先へ提供する業務を拡充することで、顧問先から選ばれる事務所となることにつながります。事務所を差別化するためには業務フローを見直し、定型業務をアウトソーシングするなど生産性の向上を図りましょう。

会計事務所の生産性向上のお悩みは、経営革新等支援機関推進協議会へお気軽にご相談ください。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。