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税理士事務所を退職する7つの理由と対策を解説

税理士事務所を退職する7つの理由と対策を解説

税理士事務所のスタッフ主な退職理由は、給料水準や長時間労働への不満、事務所内の人間関係などです。退職理由に応じて適切な対策をとることで人材が定着し、事務所を成長させることにつながります。

本記事ではスタッフのよくある退職理由と、対策について解説します。

目次

税理士事務所を退職する7つの理由

税理士事務所のスタッフが退職する主な理由は次の7つです。

税理士事務所を退職する7つの理由
  1. 長時間労働
  2. 給料面における不満
  3. 大手税理士事務所への移籍
  4. スキルアップのための転職
  5. 税理士試験受験勉強を優先
  6. 事務所内の人間関係
  7. 入社後ギャップ

退職理由その1:長時間労働

主な退職理由の1つが長時間労働です。通常期における平均的な残業時間は月20時間以内が多く、繁忙期である確定申告時期は、月45時間以上となる事務所も珍しくありません。
長時間労働が続くと、スタッフはワーク・ライフバランスを実現しにくい職場であると考え、退職を決意する場合もあります。

退職理由その2:給料面における不満

税理士事務所における隠れた退職理由の多くは、給料など待遇面における不満であると推測されています。給料面における主な不満の内容は次のとおりです。

  • 給料が平均的な水準を下回る
  • 長時間労働に見合うとはいえない
  • 成果と比べて金銭的な評価が不十分であると感じる

スタッフの給料水準については、地域の平均的な金額以上を目安としましょう。地域の同業事務所の給料額は、求人広告などが参考となります。

また、給料と労働時間との関係についても注意が必要です。スタッフの中には、給料を時給換算する人もいるためです。

さらに、スタッフによっては評価イコール給料と考える人もおり、事務所からの評価やフィードバックに対する納得性が低いと「自分が評価されていない」と考える可能性があります。

退職理由その3:大手税理士事務所への移籍

大手税理士事務所へ移籍する主な理由は、高い給料水準と手厚い福利厚生、幅広い顧客やサービスへの関与、充実した教育研修制度などです。

退職理由その4:スキルアップのための転職

税務会計業務以外の分野について専門性を身につけるための転職例です。例えばコンサルティング業務を中心としたい、M&A分野のスキルを磨きたいなどです。

退職理由その5:税理士試験受験勉強の優先

科目合格者のスタッフが試験勉強時間を確保できず、退職するケースもあります。

退職理由その6:事務所内の人間関係

事務所内の人間関係に嫌気して退職に至るケースです。ハラスメント行為のほか、所長や指導役の先輩スタッフと性格が合わない場合があります。

退職理由その7:入社後ギャップ

入社前に聞いていた労働条件や業務の内容、事務所内の雰囲気などが、実際と大きく異なると感じ、退職することがあります。このような「入社後ギャップ」の主な例は次のとおりです。

  • 待遇や担当業務が、採用時の説明と大きく異なる
  • 残業が少ないと聞いていたが、長時間労働が続く
  • 税理士試験受験勉強時間の確保に協力するとの説明が実行されていない
  • 先輩へ相談しやすい事務所といわていたが、業務が忙しく放置されている

退職理由1:長時間労働による退職への対策

長時間労働による退職を防ぐための主な対策は、通年で取り組むべき事務所の効率化と、繁忙期における労働時間の削減です。

事務作業の効率化

税理士事務所の効率化は定型業務の見直しからはじめましょう。効率化のための取り組み例は次のとおりです。

  • 月次監査のオンライン化
  • 顧問先からの証憑回収をメールやファイル共有に一本化
  • 記帳業務のアウトソーシング
  • 事務所内における作業手順の標準化、業務マニュアルの整備
  • タスク管理アプリの活用

繁忙期対策は通年で取り組む

繁忙期における長時間労働を削減するためには、通常期から取り組む事務所が多くみられます。繁忙期対策の主な取り組み例は次のとおりです。

  • 証憑回収の早期化
  • 資料回収状況の共有、可視化
  • 回収資料はすぐに確認、不足資料はすぐに依頼

退職理由2:給与などの待遇不満による退職への対策

給与などの待遇による退職への対策としては、給料水準の引き上げや、人事評価によりスタッフの納得性を高めることなどがあげられます。

事務所の収入増加に取り組む

スタッフの給料を引き上げるためには事務所の収入増加が必須です。
インボイス制度における対応で、既に顧問料を値上げした事務所が多いため、再度の顧問料引き上げにはコスト以外の理由がおすすめです。

顧問料の引き上げなどの収入増加策の例は次のとおりです。事務所が投入する工数を意識し、時間あたりの単価が高い業務を中心に推進しましょう。

  • 顧問料設定の見直し

顧問先の売上だけでなく、仕訳数など事務を考慮した設定へ見直しましょう。

  • 月額顧問料に含まれるサービスの見直し

各種の届出作業や年末調整など、都度発生する業務についての料金を設定しましょう。

  • 補助金申請のサポートなど税務会計以外のサービスの拡充

補助金申請のサポートに基づく報酬や金融機関への提出資料の作成、ほかの専門家への紹介手数料などがあります。

スタッフの納得性が高い還元方法

売上だけでなく、後輩スタッフに対する指導など、事務の負担を考慮して、定量的・定性的に、適切に評価する体制を導入しましょう。スタッフが「自分が評価されている」と感じ、仕事へのやりがいを高めることで人材が定着しやすくなります。

退職理由3・4:大手税理士事務所への移籍による退職への対策

税理士業界に勤務している人の約25%が従業員数30名以上の事務所に集中しており、優秀な人材は取り合いとなっているため、中小規模事務所における対策は必須といえます。

大手への移籍理由は福利厚生とスキルアップ希望

大手税理士事務所並みの給料水準への引き上げが難しい場合は、福利厚生の整備からはじめましょう。健康保険や厚生年金の加入、退職金制度の整備などです。

スタッフのスキルアップについては、顧問先へ提供するサービスの拡充と研修制度の充実がおすすめです。

少数精鋭の中小事務所は専門家との連携で業務を拡大

マンパワーに制約がある中小事務所がサービスを拡大するための方法のひとつは、金融機関や税理士以外の士業など、ほかの専門家と連携することです。

退職理由5:税理士試験受験のための退職への対策

税理士試験受験を控えているスタッフに対しては、手厚いサポート体制を整えましょう。

科目合格者は受験勉強時間の確保が最優先

受験勉強時間を確保するためには、業務量と残業時間の抑制が必要です。
業務と試験勉強を両立させるためには、担当件数30件以内、残業時間は月20時間以内が目安であるといわれています。

税理士試験の受験を支援する環境整備

税理試験合格を支援する事務所の環境整備の例は次のとおりです。業務量の負担軽減だけでなく、合格を支援する体制を整えておくことで、科目合格者が入社したくなる事務所となることができます。

  • 会議室を勉強部屋として利用
  • 大学院などの通学費用補助
  • 試験日当日や試験前時期における受験休暇
  • 先輩社員による受験相談、試験勉強指導

退職理由6:事務所内の人間関係が原因による退職と対策

事務所内の人間関係を理由とする退職の原因はさまざまであり、多面的な対応が必要です。

スタッフの特性を客観的に把握する

対策のはじめとして、現在事務所に在籍しているスタッフの特性診断がおすすめです。長く自事務所に勤務しているスタッフの特性を把握することで、自事務所に合う人物像を明確に把握できます。

大型税理士事務所における人間関係の改善策

スタッフ数が数名から20名ほどの事務所の場合、スタッフ同士の関係が重要です。所長が掲げる事務所の経営方針を明確化し、事務所内のベクトル合わせなどが必要となります。

スタッフ数が20名を超える事務所の場合、かえって人間関係が希薄となる可能性があります。所長や経営層との面談、若いスタッフとベテランスタッフとのコミュニケーション機会を設けるなど、入社年数が浅いスタッフが孤立しないよう注意を払いましょう。

小規模事務所におけるコミュニケーション改善策

小規模事務所における人間関係の改善策は次の2点です。

  • 所長がスタッフを大切にしていることを理解してもらう
  • 先輩スタッフからのフォロー体制を整える

少人数事務所の雰囲気は所長によって決まります。所長がスタッフを守り、育成する姿勢を表に出すことで、スタッフが安心して業務に取り組むことができます。また昇給や福利厚生に力を入れ、処遇への不満を減らしましょう。

先輩スタッフによる若いスタッフへのフォローも重要です。若いスタッフが気軽に周囲へ質問しやすい雰囲気や、繁忙期においても頼れる環境づくりをおこないます。

退職理由7:税理士事務所を1年で辞める?入社後ギャップへの対策

入社前のイメージと実態との大幅な違い、いわゆる「入社後ギャップ」による早期退職の主な対策は次のとおりです。

入社後1年で辞めるスタッフの退職理由

入社後に短期間で退職する主な理由は次のとおりです。

  • 事務所内の人間関係への嫌気
  • 顧問先に上手く対応できない
  • 長時間労働
  • 仕事内容が自分の性格と合っていないと感じる
  • 質問しにくい、教えてもらえない
  • 給料水準

入社後ギャップ対策は採用前からおこなう

入社後ギャップを抑制するためには、面接者が入社後の自身の姿をイメージしやすくすることが必要です。採用前の段階からの対策例は次のとおりです。

  • 事務所の経営方針の明確化と発信
  • 採用ホームページやSNSにおけるスタッフや業務風景などの発信
  • 採用試験における適正診断の導入
  • インターンなど入社前体験

退職の影響が大きい中小税理士事務所の生き残り戦略5選

スタッフ数が少ない中小事務所は、定着率の改善が事務所の生命線といえます。中小事務所がスタッフの定着率を高めるための主な取り組みとして以下の5つがあげられます。

中小税理士事務所の生き残り戦略5選
  1. 業務の効率化
  2. スタッフのスキルアップを支援する教育研修
  3. 事務所の採用力の強化
  4. 少人数事務所ができるサービスの拡充
  5. ほかの事務所の成功例の導入

業務の効率化

事務業務の細かな点についても標準化し、マニュアル化しておきましょう。主な例は次のとおりです。

  • 書類の置き場所、紙証憑へのタグ付け方法など、細かな点の統一
  • 作業マニュアル、指示書の整備
  • チャットアプリ、タスク管理ツールなどの導入
  • 作業時の悩みを解決するFAQの蓄積と共有

スキルアップを支援する教育研修制度の導入

ベテランスタッフによる事務所内研修は、講師役となるスタッフの負担や研修時間の確保が難しいなどのデメリットがあります。

効率的な教育研修制度としては、スタッフごとに合わせたカリキュラムを隙間時間に受講できる外部研修の導入がおすすめです。

採用力の強化

税理士事務所が人材採用をすすめるときは求人方法の見直しが効果的です。面接者に自事務所の魅力や入社後のキャリアアップが可能であることなどをアピールします。

  • 自事務所の魅力や強み、価値観、考え方
  • 事務所として採用したい明確な人物像
  • 事務所の雰囲気
  • やりがいがある業務とスキルアップ支援策

少人数でもできるサービスの拡充方法

少人数事務所は顧問先のニーズが高いサービスに注力する必要があります。税務会計以外の業務を拡充するためには次の3つの施策を組み合わせます。

  • 財務提案サービスの商品化(顧問契約外のサービスとする)
  • 補助金申請など受注につながりやすい業務のフロントエンド商品化
  • 自事務所からの情報発信、顧問先への提案

これらを実現するためには、スタッフに合わせた教育研修制度が必須です。

ほかの事務所の成功例を真似る

定着率が高いなど、成長している事務所のやり方を入手する機会は多くはありません。
ほかの事務所の成功例を聞くためには、税理士事務所向けのセミナーへの参加が有効です。経営革新等支援機関推進協議会のように会員事務所数が多く、付加価値向上を目指す事務所が集まる団体へ参加することで、成長している事務所の実践例を入手しやすくなります。

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