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省力化投資補助金はいつから?対象と活用法・税理士からの提案ポイントをまとめて解説

省力化投資補助金はいつから?対象と活用法・税理士からの提案ポイントをまとめて解説

人手不足の中小企業における省人化投資が対象となる『省力化投資補助金』の公募が始まりました。カタログから選択する簡素な方式で申請できるなど、経営者から注目されている補助金です。
本記事では省力化投資補助金の補助対象と業種別の活用法、税理士が顧問先へ提案するときのポイントについて解説します。

省力化投資補助金(カタログ型)の公募要領が発表!【申請期限は7月19日】

省力化投資補助金は2023年度補正予算により創設された新しい補助金であり、予算額として1,000億円が盛り込まれています。省力化投資補助金の概要は次のとおりです。

【参考】中小企業省力化投資補助事業 公募要領|中小企業基盤整備機構

省力化投資補助金の補助率・補助上限額

省力化投資補助金は、補助対象となる製品をカタログから選択し、申請する方式の補助金です。補助率は2分の1以下、補助上限額は従業員数により200万円から最大1,500万円までです。

従業員数補助上限額
(賃上げ要件を達成した場合)
補助率
5名以下200万円(300万円)2分の1以下
6名から20名500万円(750万円)2分の1以下
21名以上1,000万円(1,500万円)2分の1以下
【引用】中小企業省力化投資補助金|中小企業基盤整備機構

省力化投資補助金を申請する際は、労働生産性を交付申請時と比べて年平均成長率3.0%以上向上させる事業計画が必要です。

また補助上限額の引上げ対象となる賃上げ要件とは、全従業員の所定内給与について以下の3つのすべてを達成することが求められます。

  • 事業場内最低賃金について交付申請時の直近月から45円以上の増加
  • 交付申請時における直近月の給与支給総額について6%以上の増加
  • 申請時に賃上げ計画を従業員へ表明

補助対象は人手不足の中小企業・個人事業主の省力化投資

省力化投資補助金の対象となる事業者は人手不足の状況にある中小企業や個人事業主などです。
ただし下記に該当する中小企業や個人事業主は対象外となります。

省力化投資補助金の対象外となる主な事業者
  • みなし同一法人またはみなし大企業
  • ものづくり補助金の交付決定後10か月以内の事業者
  • 過去3年間に2回以上、ものづくり補助金の交付決定を受けている事業者

省力化投資補助金の申請はいつから?いつまで?

省力化投資補助金の第1回公募の締切は2024年7月19日(金)17時です。
採択および交付決定は2024年8月上旬の予定です。

省力化投資補助金の申請から交付・報告までの流れ

省力化投資補助金の申請から交付、事業化報告の主な流れは次のとおりです。

省力化投資補助金の申請は7月19日まで

省力化投資補助金第1回公募の期限は2024年7月19日(金)17時です。
また、申請期限の前日である7月18日(木)18時から申請期限である7月19日(金)9時30分まで、システムメンテナンスにより申請できないことに注意が必要です。

STEP1 gBizIDの取得

省力化投資補助金の申請はすべて電子申請によっておこなわれるため、gBizIDプライムアカウントの事前取得が必要です。

STEP2 カタログから機種と販売業者の選定

省力化投資補助金は、製品カタログと販売事業者一覧から購入する製品と販売事業者を選定します。カタログに掲載された製品を、登録されている販売事業者から購入する場合のみが補助対象です。

STEP3 販売業者との共同申請

省力化投資補助金の申請は、顧問先と販売事業者が共同でおこないます。

STEP4 事業実施

採択決定後、補助対象として申請している製品を購入します。
省力化投資補助金は事前着手が認められておらず、購入代金の支払は振込のみが対象です。

STEP5 効果報告(5年間)

製品などの購入後、最初の4月1日を起算日として以降5年間、事業計画の達成状況を報告する義務があります。
報告内容は補助対象製品の稼働状況、省力化の効果、賃上げの実績についてです。

税理士から提案したい省力化投資補助金の活用例

省力化投資補助金の主な業種別活用例は次のとおりです。

業種ごとの活用例

【参考】製品カタログ(製品カテゴリから製品を探す)|中小企業基盤整備機構

対象製品は全17カテゴリ(2024年7月時点)

製品カテゴリは17種類、このうち製品が登録されているカテゴリは11種類であり、登録されている製品数は110です。(2024年7月時点)

省力化投資補助金の公式サイトでは、業種ごとに該当する製品カテゴリを検索することができます。

旅館・ホテル業(宿泊業)

旅館・ホテル業などの宿泊業者における活用例として、自動チェックイン機や清掃ロボットなどがあげられます。

【活用例その1:自動チェックイン機】

【活用例その2:清掃ロボット】

建築業

建築業における活用例として測量機などがあげられます。

【活用例その3:測量機】

小売業

小売業については、製品カテゴリ10種類が掲示されており、汎用的な製品としてはオートラベラーなどがあげられます。

【活用例その4:オートラベラー】

運送業・倉庫業

運送業や倉庫業においては、人手に依存していることが多い搬送工程について、無人搬送車の活用例などがあげられます。

【活用例その5:無人搬送車】

省力化投資補助金(カタログ型)を提案するときのポイント

省力化投資補助金の申請を提案するときは、事前に確認しておくポイントが6つあります。

カテゴリ17種類×業種の組み合わせ

省力化投資補助金の申請を検討するときに最も大切なポイントは『製品カテゴリ』、顧問先が経営する『業種』、そして省人化しようとする『業務プロセス』の3項目が公募要領と合致することです。

上記の3項目について該当するケース、該当しないケースを例示すると次のとおりです。

【製品カテゴリC自動倉庫の例】

〇該当するケースのイメージ

 (例)物流業者荷物の保管・管理を省人化するために自動倉庫を取得

     〇        〇                      〇

×該当しないケースのイメージ

 (例)建築業者資材の管理を省人化するために自動倉庫を取得

     ×       〇          〇

補助対象となる人手不足は4種類

事業計画を申請するときに、顧問先が人手不足の状況にあることが必要です。
人手不足となっている以下の4種類のいずれかの状況にあることを証する書面を提出します。

なお、理由4は例外であるため、より厳格に審査するとされています。

補助対象となる人手不足は4種類
  • (理由1)交付申請時の直近1か月の従業員の平均残業時間が30時間超
  • (理由2)整理解雇以外の理由による離職または退職により、交付申請時の前月末の従業員数が1年前と比べて5%以上減少
  • (理由3)採用活動をおこなっても充足に至らなかった
  • (理由4)そのほか省力化を推し進める必要に迫られている

【参考】応募・交付申請の手引き|中小企業基盤整備機構

対象業務プロセスの省人化が必要

補助対象となる製品の導入後3年間で、労働生産性が毎年、年平均成長率3.0%以上向上することが必須条件です。このため既に利用している省力化製品の「単なる更新」など、人手による業務量が削減されない場合は対象外となります。

省人化効果は省力化効果判定シート(交付申請用)により測定します。
このシートは販売事業者が作成するため、顧問先が作成する必要はありません。

新規事業は対象外

顧問先が経営していない事業を開始するための投資については、省力化投資補助金の対象となりません。

【参考】よくある質問 2024年6月25日時点|中小企業基盤整備機構

販売事業者との共同申請が必須

省力化投資補助金の申請は、販売事業者から招待された専用のフォームからのみ申請が可能です。

複数設備の同時購入は第2回公募から申請可能

複数種類の製品を購入する場合は、それぞれの製品を取り扱う販売事業者ごとに個別に申請する必要があります。

なお第1回公募においては複数種類の製品に関する申請は受け付けていないため、第2回公募以降に申請することとなります。

まとめ

省力化投資補助金は人手不足に悩む顧問先がおこなう省人化投資にかかる費用を抑えることができる制度です。申請にかかる事務負担が少ないなどのメリットがあるため、税理士から積極的に提案を検討しましょう。

「顧問先に適した補助金制度を探したい」、「補助金申請で採択される申請書のポイントを知りたい」など、顧問先支援業務のお悩みは、「経営革新等支援機関推進協議会」へお気軽にご相談ください。

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