人手不足に悩む中小企業の省人化投資を支援する「中小企業省力化投資補助金」の第5回公募の申請受付が2026年2月2日(月)に開始します。 本補助金は、カタログから製品を選んで随時申請できる「カタログ注文型」と、オーダーメイド設備やシステム構築が対象となる「一般型」の2類型で運用されています。
2026年も引き続き、人手不足解消の切り札として経営者の関心が高まっており、税理士による適切なアドバイスが求められています。
本記事では、省力化投資補助金の最新要件、第5回公募のスケジュール、税理士が顧問先へ提案する際の重要ポイントを分かりやすく解説します。
省力化投資補助金2026は「カタログ注文型」と「一般型」の2つ
中小企業省力化投資補助金は、「カタログ注文型」と「一般型」の2つの類型で実施されています。主な違いは以下の通りです。
| カタログ注文型 | 一般型 | |
| 対象となる投資 | 簡易で即効性がある省力化投資 | オーダーメイド性がある多様な省力化投資 |
| 補助対象 | カタログに掲載されている汎用製品 | 申請者に合わせた設備・システム |
| 補助率 | 1/2以下 | 1/2または2/3 (※条件による) |
| 補助上限額 | 1,500万円 | 1億円 |
| 公募方法 | 随時申請 | 公募回制 |
| 事業実施期間 | 12か月間 | 18か月間 |
| 効果報告 | 3年間 | 5年間 |
省力化投資補助金(カタログ注文型)とは
省力化投資補助金(カタログ注文型)は、省力化に効果がある汎用製品を取得し、労働生産性を年平均成長率3%以上向上させる取り組みが対象となります。
顧問先が補助対象となる製品をカタログの中から選択し、販売事業者一覧に掲載されている販売事業者と共に共同申請する方式です。申請は販売事業者から招待された専用フォームを利用します。
省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助率・補助上限額
補助率は1/2以下です。補助上限額は従業員数によって異なり、賃上げ要件を満たすことで最大1,500万円まで引き上げられます。
【省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助率、補助上限額】
| 従業員数 | 補助率 | 補助上限額(大幅賃上げ時) |
| 5名以下 | 1/2以下 | 200万円(300万円) |
| 6名から20名 | 1/2以下 | 500万円(750万円) |
| 21名以上 | 1/2以下 | 1,000万円(1,500万円) |
補助上限額が引き上げられる大幅賃上げ特例の要件は3つ
「大幅な賃上げ」に該当する企業は、省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助上限額が引き上げられます。この特例の要件は次の3つを満たすことです。
- 事業場内最低賃金を交付申請時の直近月から45円以上の増加
- 交付申請時における直近月の給与支給総額について6%以上の増加
- 申請時に賃上げ計画を従業員へ表明
省力化投資補助金(カタログ注文型)の基本要件
カタログ注文型の基本要件は次の3つのすべてを満たすことです。
- 労働生産性の年平均成長率3%以上(2回目以降の申請時は4.0%以上)
- 事業場内最低賃金を 45 円以上増加
- 賃上げ計画を従業員へ公表
省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請はいつから?いつまで?
省力化投資補助金(カタログ注文型)は随時申請です。顧問先の予定にあわせて申請できます。
省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助対象製品が増加
カタログ注文型の補助対象製品は随時増えています。製品カテゴリ登録件数は95件、製品登録件数は1,036件です。(2025年7月24日発表時点)
省力化投資補助金の公式サイトで、顧問先の業種に対応する対象製品を検索することができます。
【参考】製品カテゴリ(2025年7月24日)|中小企業基盤整備機構
省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請の流れ
省力化投資補助金(カタログ注文型)の主な流れは次のとおりです。

【引用】省力化投資補助金
STEP1 GビズIDプライムアカウントの取得
省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請はすべて電子申請です。GビスIDプライムアカウントの事前取得が必要です。
STEP2 カタログから機種と販売業者の選定
製品カタログと販売事業者一覧から、購入する製品と販売事業者を選定します。カタログに掲載された製品を、登録されている販売事業者から購入する場合のみが補助対象です。
STEP3 販売業者との共同申請
省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請は、顧問先と販売事業者が共同でおこないます。
販売事業者から発行されたアカウントを使って、専用フォームから申請します。
STEP4 事業実施
採択決定後、補助対象として申請している製品を購入します。事前着手が認められておらず、購入代金の支払は振込のみが対象です。
STEP5 効果報告(3年間)
製品などの購入後3年間、事業計画の達成状況を報告する義務があります。
報告内容は補助対象製品の稼働状況、省力化の効果、賃上げの実績についてです。
省力化投資補助金(カタログ注文型)を提案するときのポイント
省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請を提案するときは、事前に確認しておくポイントが7つあります。
自社の業種と対象製品の対象業種との一致が必要
省力化投資補助金(カタログ注文型)は、顧問先が経営する『業種』、『補助対象である汎用製品の対象業種』、そして省人化しようとする『業務プロセス』の3項目が公募要領と合致することです。

上記の3項目について該当するケース、該当しないケースを例示すると次のとおりです。
【製品カテゴリC自動倉庫の例】
〇該当するケースのイメージ
(例)倉庫業者が荷物の保管・在庫管理を省人化するために自動倉庫を取得
〇 〇 〇
×該当しないケースのイメージ
(例)建築業者が資材の保管・在庫管理を省人化するために自動倉庫を取得
× 〇 〇
補助対象となる人手不足は4種類
事業計画を申請するときに、顧問先が人手不足の状況にあることが必要です。
人手不足となっている以下の4種類のいずれかの状況にあることを証する書面を提出します。
なお、理由4は例外であるため、より厳格に審査するとされています。
補助対象となる人手不足は4種類
- ①限られた人手で業務を遂行するため、直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている。
- ②整理解雇に依らない離職・退職によって従業員が前年度比で5%以上減少している。
- ③採用活動を行い求人掲載したものの、充足には至らなかった。
- ④その他、省力化を推し進める必要に迫られている。
【参考】中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領|独立行政法人中小企業基盤整備機構
対象業務プロセスの省人化が必要
補助対象となる製品の導入後3年間で、労働生産性が毎年、年平均成長率3.0%以上(2回目以降の申請時は4.0%以上)向上することが必須条件です。このため既に利用している省力化製品の「単なる更新」など、人手による業務量が削減されない場合は対象外となります。
省人化効果は省力化効果判定シート(交付申請用)により測定します。
このシートは販売事業者が作成するため、顧問先が作成する必要はありません。

新規事業は対象外
顧問先が経営していない事業を開始するための投資については、省力化投資補助金の対象となりません。
【参考】よくあるご質問(カタログ注文型)|中小企業基盤整備機構
販売事業者との共同申請が必須
省力化投資補助金の申請は、販売事業者から招待された専用のフォームからのみ申請が可能です。
複数回の申請が可能【2025年4月改正】
2025年4月24日から、同一の事業者が複数回にわたって申請できることとなりました。2回目以降の申請を検討している顧問先に対しては以下の4つに注意することを伝えておきましょう。
- 2回目以降の申請は、それ以前に採択された計画の補助金支払いが完了してから申請する
- 労働生産性の年平均成長率が(1回目の3%から)4%へ引き上げされる
- 賃上げにおける取り組みが必要
- 補助上限額は、2回目以降の申請時において適用される補助上限額から、前回までに交付を受けた補助金額の累計を差し引いた額となる

省力化投資補助金(一般型)第5回公募が開始!
省力化投資補助金(一般型)の第5回公募の主なスケジュールは次のとおりです。
【省力化投資補助金(一般型)の第5回公募スケジュール】
| 公募受付開始 | 2026年2月2日(月) |
| 公募締め切り | 2026年2月27日(金)17:00 |
| 採択発表 | 2026年5月中旬予定 |
省力化投資補助金(一般型)とは
省力化投資補助金(一般型)は、顧問先の事業内容や個別の状況に応じて、オーダーメイド・オーダーメイド性がある設備の導入やシステムの構築などをおこない、労働生産性を年平均成長率4%以上向上させる取り組みが補助対象となります。
省力化投資補助金(一般型)の基本要件
省力化投資補助金(一般型)の基本要件は次の4つをすべて満たす事業計画が求められます。
- 労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加
- 従業員1名あたり給与支給総額の年平均成長率が3.5%以上増加
- 事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準
- (従業員数が21名以上の企業である場合)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表
省力化投資補助金(一般型)の補助率・補助上限額
省力化投資補助金(一般型)の補助率は、一般の中小企業については1/2(最低賃金引き上げの特例が適用される場合は2/3)、小規模・再生事業者については2/3です。補助金額が1,500万円を超える部分の補助率は一律1/3となります。
補助上限額は従業員数により750万円から最大1億円です。
【省力化投資補助金(一般型)の補助率、補助上限額】
| 従業員数 | 補助率 | 補助上限額(大幅賃上げ時) |
| 5名以下 | 2/1または2/3 | 750万円(1,000万円) |
| 6名から20名 | 2/1または2/3 | 1,500万円(2,000万円) |
| 21名から50名 | 2/1または2/3 | 3,000万円(4,000万円) |
| 51名から100名 | 2/1または2/3 | 5,000万円(6,500万円) |
| 101名以上 | 2/1または2/3 | 8,000万円(1億円) |
補助上限額が引き上げられる大幅賃上げ特例の要件は2つ
「大幅な賃上げ」に該当する企業は、省力化投資補助金(一般型)の補助上限額が引き上げられます。この特例の要件は次の2つを満たすことです。
- 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準
補助率が引き上げられる最低賃金引き上げ特例の要件
「最低賃金の引き上げ」に該当する企業は、補助率が1/2から2/3へ引き上げられます。2023年10月から2024年9月までの期間のうち3か月間以上にわたり、全従業員数のうち30%以上の従業員が地域別最低賃金+50円以内で雇用されている企業が対象です。
省力化投資補助金(一般型)の申請はいつから?いつまで?
省力化投資補助金(一般型)の第5回公募締め切りは2026年2月27日(金)17:00
です。採択発表は2026年5月中旬の予定です。
税理士が顧問先へ中小企業省力化投資補助金の申請サポートを提案するときの5つのチェックポイント
補助金申請をサポートする際、特に注意すべき実務上のポイントをまとめました。
1. 「カタログ」か「一般型」かの選別
カタログに載っている既製品をそのまま導入する場合は「カタログ型」、自社仕様にカスタマイズが必要な場合や複数製品を組み合わせる場合は「一般型」を選択します。
2. 人手不足の証明(4つの理由)
申請には、以下のいずれかの人手不足状況を証する書類が必要です。
- 残業時間が月30時間超
- 離職等により従業員数が前年比5%以上減少
- 求人を出したが充足しなかった
- その他、省力化を急ぐ特段の事情(厳格審査)
3. 事業場内最低賃金の確認
「大幅賃上げ特例」を適用して上限額を引き上げる場合、事業場内最低賃金を45円以上引き上げる等の要件があります。事後の実績報告で未達成の場合、補助金返還のリスクがあるため慎重な計画立案が求められます。
4. 既存設備の「単なる更新」は不可
既存設備の置き換えであっても、それによって「人手による業務量」が明確に削減され、労働生産性が向上(年平均3〜4%以上)するエビデンスが必要です。
5. 効果報告の期間
カタログ型は3年間、一般型は5年間の効果報告義務があります。長期的なフォローアップが必要になるため、税理士事務所としての継続的な関与が重要です。
省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)のよくある質問
省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)に関する、よくある質問と回答をまとめました。
Q1:カタログ注文型と一般型は併用できますか?
A: はい。別々の補助対象であれば、併用申請が可能です。
Q2:カタログに掲載されている製品を、一般型で申請することはできますか?
A:計画内容によっては可能です。
たとえば、カタログ掲載製品のカスタマイズや、複数の製品を組み合わせて相乗効果を狙うような投資計画であれば、一般型での申請が可能です。
一方で、掲載製品をそのまま導入するだけであれば、「カタログ注文型」での申請が原則となります。
Q3:省力化投資補助金は複数回利用できますか?
A:はい。申請要件を満たせば複数回の利用が可能です。
ただし、たとえばカタログ注文型で2回目以降の申請をする場合、以下のような条件があります:
- 前回分の補助金が支払済みであること
- 労働生産性の年平均成長率が4.0%以上であること
- 賃上げに関する取組が実施されていること
など、追加要件に注意が必要です。
Q4:一般型には収益納付がなく、カタログ注文型にはあるのですか?
A:はい、そのとおりです。
一般型は収益納付の対象外ですが、カタログ注文型は収益納付の制度があります。
なお、収益納付は効果報告対象年度の決算が赤字であれば免除されます。
Q5(一般型)給与支給総額の年平均成長率は、毎年度での達成が必要ですか?
A:いいえ。基準年度と事業計画終了時点の比較で判定されます。
計画期間の途中で一時的に目標を下回っていても、最終的に目標の成長率を満たしていれば、補助金の返還対象にはなりません。
【参考】よくあるご質問(カタログ注文型)|中小企業基盤整備機構
【参考】よくあるご質問(一般型)(2025年7月10日時点)|中小企業基盤整備機構
まとめ
省力化投資補助金は人手不足に悩む顧問先がおこなう省人化投資にかかる費用を抑えることができる制度です。カタログ型は申請にかかる事務負担が少ない、一般型は顧問先における投資に柔軟に対応できるなどのメリットがあるため、税理士から積極的に提案を検討しましょう。
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