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省力化投資補助金2025はいつから?対象と活用法・税理士からの提案ポイントをまとめて解説

省力化投資補助金はいつから?対象と活用法・税理士からの提案ポイントをまとめて解説

人手不足の中小企業における省人化投資が対象となる『省力化投資補助金』(一般型)の第2回公募が始まりました。本補助金は2025年から補助枠が改編され、カタログから選択し随時申請できる「カタログ注文型」に加えて、オーダーメイド設備が対象となる「一般型」が新設されました。より幅広い投資が対象となり、経営者から注目されています。

本記事では省力化投資補助金の補助対象と税理士が顧問先へ提案するときのポイントについて解説します。

目次

省力化投資補助金2025は「カタログ注文型」と「一般型」の2つ

中小企業省力化投資補助金(以下、省力化投資補助金)は、2025年から「カタログ注文型」と「一般型」の2つの補助類型で実施されています。省力化投資補助金の類型ごとの主な違いをまとめると次のとおりです。

 カタログ注文型一般型
対象となる投資簡易で即効性がある省力化投資オーダーメイド性がある多様な省力化投資
補助対象カタログに掲載されている汎用製品申請者に合わせた設備・システム
補助率1/2以下1/2または2/3(補助金額が1,500万円まで) 1/3(補助金額が1,500万円を超える部分)
補助上限額1,500万円1億円
公募方法随時申請公募回制
事業実施期間12か月間18か月間
効果報告3年間5年間
【参考】中小企業省力化投資補助金|中小企業省力化投資補助金事務局

省力化投資補助金(カタログ注文型)とは

省力化投資補助金(カタログ注文型)は、省力化に効果がある汎用製品を取得し、労働生産性を年平均成長率3%以上向上させる取り組みが対象となります。
顧問先が補助対象となる製品をカタログの中から選択し、販売事業者一覧に掲載されている販売事業者と共に共同申請する方式です。申請は販売事業者から招待された専用フォームを利用します。

省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助率・補助上限額

省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助率は1/2以下、補助上限額は従業員数により200万円から1,500万円です。

【省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助率、補助上限額】

従業員数補助率補助上限額(大幅賃上げ時)
5名以下1/2以下200万円(300万円)
6名から20名1/2以下500万円(750万円)
21名以上1/2以下1,000万円(1,500万円)

補助上限額が引き上げられる大幅賃上げ特例の要件は3つ

「大幅な賃上げ」に該当する企業は、省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助上限額が引き上げられます。この特例の要件は次の3つを満たすことです。

  • 事業場内最低賃金を交付申請時の直近月から45円以上の増加
  • 交付申請時における直近月の給与支給総額について6%以上の増加
  • 申請時に賃上げ計画を従業員へ表明

省力化投資補助金(カタログ注文型)の基本要件

省力化投資補助金(カタログ型)の基本要件は次の3つのすべてを満たすことです。

  • 労働生産性の年平均成長率3%以上
  • 事業場内最低賃金を 45 円以上増加
  • 賃上げ計画を従業員へ公表

省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請はいつから?いつまで?

省力化投資補助金(カタログ注文型)は随時申請です。顧問先の予定にあわせて申請できます。

省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助対象製品が増加

省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助対象となる製品が増えています。製品カテゴリ登録件数は76件、製品登録件数は657件です。(2025年4月24日発表時点)

省力化投資補助金の公式サイトで、顧問先の業種に対応する対象製品を検索することができます。

【参考】製品カテゴリ(2025年4月24日)|中小企業基盤整備機構

省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請の流れ

省力化投資補助金(カタログ注文型)の主な流れは次のとおりです。

STEP1 GビズIDプライムアカウントの取得

省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請はすべて電子申請です。GビスIDプライムアカウントの事前取得が必要です。

STEP2 カタログから機種と販売業者の選定

製品カタログと販売事業者一覧から、購入する製品と販売事業者を選定します。カタログに掲載された製品を、登録されている販売事業者から購入する場合のみが補助対象です。

STEP3 販売業者との共同申請

省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請は、顧問先と販売事業者が共同でおこないます。

STEP4 事業実施

採択決定後、補助対象として申請している製品を購入します。事前着手が認められておらず、購入代金の支払は振込のみが対象です。

STEP5 効果報告(3年間)

製品などの購入後3年間、事業計画の達成状況を報告する義務があります。
報告内容は補助対象製品の稼働状況、省力化の効果、賃上げの実績についてです。

省力化投資補助金(カタログ注文型)を提案するときのポイント

省力化投資補助金(カタログ注文型)の申請を提案するときは、事前に確認しておくポイントが7つあります。

自社の業種と対象製品の対象業種との一致が必要

省力化投資補助金(カタログ注文型)は、顧問先が経営する『業種』、『補助対象である汎用製品の対象業種』、そして省人化しようとする『業務プロセス』の3項目が公募要領と合致することです。

上記の3項目について該当するケース、該当しないケースを例示すると次のとおりです。

【製品カテゴリC自動倉庫の例】

〇該当するケースのイメージ

 (例)物流業者荷物の保管・管理を省人化するために自動倉庫を取得

     〇        〇                      〇

×該当しないケースのイメージ

 (例)建築業者資材の管理を省人化するために自動倉庫を取得

     ×       〇          〇

補助対象となる人手不足は4種類

事業計画を申請するときに、顧問先が人手不足の状況にあることが必要です。
人手不足となっている以下の4種類のいずれかの状況にあることを証する書面を提出します。

なお、理由4は例外であるため、より厳格に審査するとされています。

補助対象となる人手不足は4種類

  • (理由1)交付申請時の直近1か月の従業員の平均残業時間が30時間超
  • (理由2)整理解雇以外の理由による離職または退職により、交付申請時の前月末の従業員数が1年前と比べて5%以上減少
  • (理由3)採用活動をおこなっても充足に至らなかった
  • (理由4)そのほか省力化を推し進める必要に迫られている
  • 【参考】中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領(2025年4月24日版)|中小企業基盤整備機構

    対象業務プロセスの省人化が必要

    補助対象となる製品の導入後3年間で、労働生産性が毎年、年平均成長率3.0%以上向上することが必須条件です。このため既に利用している省力化製品の「単なる更新」など、人手による業務量が削減されない場合は対象外となります。

    省人化効果は省力化効果判定シート(交付申請用)により測定します。
    このシートは販売事業者が作成するため、顧問先が作成する必要はありません。

    常時在籍する従業員がゼロの事業主も申請可能【2025年4月改正】

    従来は対象外であった常勤従業員がいない事業者について、2025年4月24日から省力化投資補助金(カタログ注文型)の対象となります。ただし常勤従業員がいないため、大幅賃上げにより補助上限額を引き上げる特例は適用できません。

    【参考】中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)申請における留意事項(2025年4月24日改訂)|中小企業基盤整備機構

    新規事業は対象外

    顧問先が経営していない事業を開始するための投資については、省力化投資補助金の対象となりません。

    【参考】よくあるご質問(カタログ注文型)|中小企業基盤整備機構

    新事業進出補助金が公募開始|税理士からの説明ポイントを補助金比較で解説【2025年4月公募開始】

    販売事業者との共同申請が必須

    省力化投資補助金の申請は、販売事業者から招待された専用のフォームからのみ申請が可能です。

    複数回の申請が可能【2025年4月改正】

    2025年4月24日から、同一の事業者が複数回にわたって申請できることとなりました。2回目以降の申請を検討している顧問先に対しては次の4つに注意することを伝えておきましょう。

    • 2回目以降の申請は、それ以前に採択された計画の補助金支払いが完了してから申請する
    • 労働生産性の年平均成長率が(1回目の3%から)4%へ引き上げされる
    • 賃上げにおける取り組みが必要
    • 補助上限額は、2回目以降の申請時において適用される補助上限額から、前回までに交付を受けた補助金額の累計を差し引いた額となる

    【参考】中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領(2025年4月24日版)|中小企業基盤整備機構

    省力化投資補助金(一般型)の第2回公募要領が発表!【申請期限5月30日】

    省力化投資補助金(一般型)の第2回公募の主なスケジュールは次のとおりです。

    公募開始2025年4月15日
    公募受付開始2025年4月25日
    公募締め切り2025年5月30日
    採択発表2025年8月中旬(予定)

    省力化投資補助金(一般型)とは

    省力化投資補助金(一般型)は、顧問先の事業内容や個別の状況に応じて、オーダーメイド・オーダーメイド性がある設備の導入やシステムの構築などをおこない、労働生産性を年平均成長率4%以上向上させる取り組みが補助対象となります。

    省力化投資補助金(一般型)の基本要件

    省力化投資補助金(一般型)の基本要件は次の4つをすべて満たす事業計画が求められます。

    • 労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加
    • 従業員1名あたり給与支給総額の年平均成長率が地域別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
      または
      給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加
    • 事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準
    • (従業員数が21名以上の企業である場合)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表

    省力化投資補助金(一般型)の補助率・補助上限額

    省力化投資補助金(一般型)の補助率は、一般の中小企業については1/2(最低賃金引き上げの特例が適用される場合は2/3)、小規模・再生事業者については2/3です。補助金額が1,500万円を超える部分の補助率は一律1/3となります。

    補助上限額は従業員数により750万円から最大1億円です。

    【省力化投資補助金(一般型)の補助率、補助上限額】

    従業員数補助率補助上限額(大幅賃上げ時)
    5名以下2/1または2/3750万円(1,000万円)
    6名から20名2/1または2/31,500万円(2,000万円)
    21名から50名2/1または2/33,000万円(4,500万円)
    51名から100名2/1または2/35,000万円(6,500万円)
    101名以上2/1または2/38,000万円(1億円)

    補助上限額が引き上げられる大幅賃上げ特例の要件は2つ

    「大幅な賃上げ」に該当する企業は、省力化投資補助金(一般型)の補助上限額が引き上げられます。この特例の要件は次の2つを満たすことです。

    • 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
    • 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準

    補助率が引き上げられる最低賃金引き上げ特例の要件

    「最低賃金の引き上げ」に該当する企業は、補助率が1/2から2/3へ引き上げられます。2023年10月から2024年9月までの間で、全従業員数のうち30%以上の従業員が地域別最低賃金+50円以内で雇用されている企業が対象です。

    省力化投資補助金(一般型)の申請はいつから?いつまで?

    省力化投資補助金(一般型)の第2回公募締め切りは2025年5月30日です。採択発表は2025年8月中旬の予定です。

    省力化投資補助金(一般型)を提案するときのポイント

    省力化投資補助金(一般型)を顧問先へ提案するときのポイントは次のとおりです。

    カタログ注文型の対象製品をカスタマイズする場合は一般型で申請

    省力化投資補助金(カタログ注文型)のカタログに掲載されている製品について、構成や組み合わせなどを変える場合や複数を組み合わせる場合は、一般型において申請します。カタログ注文型においては対象となりません。

    一般型とカタログ注文型を併用可能

    補助対象が別であれば、省力化投資補助金(一般型)と省力化投資補助金(カタログ注文型)を併用できます。

    【参考】よくあるご質問(一般型)|中小企業基盤整備機構

    一般型は事業実施期間が18か月

    省力化投資補助金(一般型)の事業実施期間は18か月です。生産プロセスなどの大幅な改善についても、顧問先が余裕をもって取り組むことができます。

    省力化投資補助金(カタログ注文型)の事業実施期間は12か月間となっており、一般型とカタログ注文型で事業実施期間が異なりますます。

    一般型は効果報告期間が5年間

    省力化投資補助金(一般型)は、効果報告を事業実施後5年間おこないます。
    省力化投資補助金(カタログ注文型)の効果報告は事業実施後3年間となっており、一般型とカタログ注文型で効果報告期間が異なります。

    【参考】中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第2回公募)|中小企業基盤整備機構

    【令和6年度補正予算】税理士が中小企業へ提案したい令和7年度補助金の改正情報を解説

    まとめ

    省力化投資補助金は人手不足に悩む顧問先がおこなう省人化投資にかかる費用を抑えることができる制度です。カタログ型は申請にかかる事務負担が少ない、一般型は顧問先における投資に柔軟に対応できるなどのメリットがあるため、税理士から積極的に提案を検討しましょう。

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