事業再構築補助金は累計申請件数約120,000件、採択件数約52,000件(第6回まで)にのぼる、経営者の関心が高い補助金のひとつです。
2022年度(令和4年度)第2次補正予算案においては、事業再構築補助金の拡充が予定されており、対象となる顧問先が増える可能性があります。
本記事では、事業再構築補助金を中心とする各種補助金申請への支援を、事務所の業務拡大につなげる方法を解説します。
目次
事業再構築補助金の拡充予定
事業再構築補助金(第8回公募)の期限は2023年1月13日金曜日18:00までです。
2022年度(令和4年度)第2次補正予算案では、コロナ禍による売上高の減少要件が緩和される予定となっています。
売上回復で対象外であった顧問先を中心に、拡充後の申請へ向けて案内しましょう。
2022年度第2次補正予算案の概要
2022年度第2次補正予算案において、中小企業・小規模事業者等関連予算案1兆1,190億円のうち5,800億円が事業再構築補助金に計上されています。
事業再構築補助金の拡充内容
拡充後の概要としては次の内容が予定されています。
拡充予定案のポイントは次のとおりです。
- 「通常枠」の売上高10%以上減少要件を撤廃、「成長枠」として変更
- 「グリーン成長枠」に、要件を緩和した「エントリー」類型を創設
- 「通常枠」「グリーン成長枠」において、賃金引き上げ時の上限上乗せ
- 「通常枠」「グリーン成長枠」で賃金引き上げを達成した場合の補助率引き上げ
また、事業再構築補助金には次の要件があります。
- 認定経営革新等支援機関や金融機関と事業計画を作成すること
- 補助終了後、3~5年間で付加価値額が年平均3~5%以上増加など
売上高の減少が小幅で、従来は対象外であった顧問先が「成長枠」(旧「通常枠」)の対象となります。
通常枠は補助枠のなかで最も申請件数が多いが採択率が低い枠でもあります。
採択結果が公表されている第6回事業再構築補助金の採択結果です。
補助枠 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|
通常枠 | 11,653件 | 5,297件 | 45.5% |
大規模賃金引上枠 | 9件 | 5件 | 55.6% |
回復・再生応援枠 | 2,933件 | 1,954件 | 66.6% |
最低賃金枠 | 252件 | 216件 | 85.7% |
グリーン成長枠 | 493件 | 197件 | 40.0% |
合計 | 15,430件 | 7,669件 | 50.0% |
今回の拡充で新たに対象となる顧問先、過去の公募で不採択となった顧問先の再申請については、顧問先へ積極的に、早めに案内することが必要です。
補助金申請への支援業務を拡充すべき理由
補助金制度のなかには、認定経営革新等支援機関の関与が必須とされている「事業再構築補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」もあります。
補助金申請への支援を業務としておこなうことで、事務所が支援できるサービスの拡充、事務所の売上高の増加、顧問先の前向きな成長への支援につながります。
税務・会計業務だけで生き残れますか
会計事務所の本業である税務・会計業務だけでは、ほかの会計事務所との差別化は困難です。
会計事務所の顧問先の多くを占める中小企業事業者数も減少し、中小企業においても会計や社会保険事務のDX化が進んでいるためです。
10年後、20年後も税理士が生き残るためには、ほかの税理士とは違うという差別化、税務・会計分野以外の収入の確保が大切です。
補助金申請支援業務に力を入れることで、顧問先の経営内容をより深く把握でき、経営上の課題の共有もできます。
補助金申請以外の財務改善支援を提案しやすくなり、事務所の差別化、顧問先から選ばれる会計事務所となることにつながります。
認定支援機関業務の実績も一般公開
事務所の差別化の第一歩として、中小企業支援の専門家である認定支援機関としての登録がおすすめです。
認定支援機関の一覧と実績は、インターネットで公開されています。
公的機関が公開している認定支援機関業務実績をみれば、各支援機関が力をいれている分野、実績の件数が明確です。
公表されている実績データを見たうえで、認定支援機関に連絡をされることがあります。
補助金申請の支援業務を獲得する方法
補助金申請の支援を業務として獲得するためにはマーケティング力が必要です。
顧問先へ積極的に情報を発信し、顧問先の関心をうながしつつ、事務所として力をいれていることをPRします。
① 認定経営革新等支援機関(認定支援機関)として登録
- 中小企業庁『認定経営革新等支援機関検索システム』『経営革新等支援機関一覧』で一般公開されます。
事務所名や制度別の実績件数、事務所の紹介も公開されます。得意分野や実績の宣伝ともなります。 - 商工会議所、商工会、金融機関との連携に役立ちます。
② 補助金申請をサポートしていることを発信
- 補助金申請を支援していることを発信します。
- 情報発信は単なるサービスの紹介だけでなく、新しい情報や経営者の関心が高い事柄を、わかりやすく、定期的に発信することが重要です。
- 発信方法は、チラシ、メルマガ、メール、動画配信など複数の媒体を利用します。
③ 実績または経験豊富な他社との連携をアピール
- 補助金申請の支援実績があれば、顧問先も納得できます。
- 支援実績がないときは、採択実績が豊富な他社との連携をアピールしましょう。
事務所が生き残るために経営革新等支援機関推進協議会をご利用ください
税務・会計業務以外に、補助金申請への支援業務を獲得し拡大していくためには、マーケティング力が必要です。
顧問先に対して、常に新しい情報を定期的に発信することが望ましいですが、自事務所のみで毎回作成することは大変です。
また、補助金は制度ごとに採択のポイントがありますが、多数の採択事例を読みこなすことは大きな負担です。
申請をサポートし、事務所での採択実績を増やすためには、採択実績が豊富で、審査員の目線を理解している他社のサポートを得ることが早道です。
経営革新等支援機関推進協議会(月額33,000円:税込)は、株式会社エフアンドエムが提供する、会計事務所様の顧問先支援をサポートするサービスです。
事務所経営から顧問先支援ツール(顧問先への販促ツール)の提供などをおこなっており、1,696の会計事務所様(2022年12月時点)にご利用いただいています。
事務所差別化のための財務コンサルティングシステム「F+prus」(エフプラス)、補助金申請書類の様式提供と添削まで、事務所の差別化と効率化を一気通貫でサポートします。
- 案件チェックシート(専門家が採択の可能性をAからDで判定)
- ヒアリングシート(事務所スタッフの誰でも簡単なヒアリングができる)
- 申請書サンプル(審査員の目線を踏まえたサンプル、採択率の向上をサポート)
- プレ審査・添削(審査員目線で審査項目ごとにわかりやすく点数化)
- 財務コンサルティングシステム「F+prus」(エフプラス)
決算書をインポートし、事業計画や資金繰り見通しを自動生成する機能
まとめ
事業再構築補助金の拡充によって、対象となる顧問先が増加すると予想されます。
事業再構築補助金は顧問先の関心が高く、認定支援機関の関与が必須の補助金であるため、顧問先へ積極的に案内しましょう。
補助金申請支援業務や事務所経営の差別化、事務所スタッフの効率的な教育訓練にお悩みの事務所経営者様は、経営革新等支援機関推進協議会のサービスがサポートします。