2025年に実施される「ものづくり補助金」19次公募要領が2025年2月14日に公表されました。「ものづくり補助金」は幅広い業種が対象となる有名補助金であり、申請を検討している顧問先も多いと思います。
19次公募は補助枠の見直し、基本要件の改正などがおこなわれており、税理士から顧問先へ提案するときに注意が必要です。
本記事では、ものづくり補助金19次公募における改正点、税理士から顧問先へ提案するときのポイントについて解説します。
目次
ものづくり補助金(2025年版)19次公募の主な変更点5つ
ものづくり補助金事務局は、2025年2月14日にものづくり補助金19次公募要領を発表しました。公募締め切りは2025年4月25日(金曜日)17時です。
2025年のものづくり補助金は補助率1/2または2/3、補助上限額4,000万円となっています。
19次公募の主な改正点は次の5つです。
【参考】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第19次公募)|ものづくり補助金事務局
補助枠(申請類型)は2枠
ものづくり補助金19次公募の補助枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つです。
従来の「省力化(オーダーメイド枠)」は廃止され、新たに「中小企業省力化投資補助金(一般型)」(オーダーメイド型)が創設されています。ただし制度趣旨が異なる点に注意が必要です。
基本要件(給与支給総額)の変更
補助枠共通の基本要件のうち「給与支給総額の年平均成長率」が+2.0%以上へ変更されました。(従来は+1.5%以上)
19次公募の基本要件をまとめると次のとおりです。
なお基本要件②と③については目標未達時に補助金返還義務があると明記されています。
【参考】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第19次公募)|ものづくり補助金事務局
基本要件(一般事業主行動計画の策定・公表)の追加
19次公募の基本要件として、従業員21名以上の企業は『次世代育成支援対策推進法第12条に規定する一般事業主行動計画を策定・公表』することが加わりました。
補助上限額の引上げ
製品・サービス高付加価値化枠の従業員数区分に『従業員数51名以上』が新設され、この区分は補助上限額が2,500万円(大幅賃上げ特例適用時は3,500万円)となります。
同時に、従業員数21名以上50名以下の場合、補助上限額が旧通常類型から引き上げられています。
グローバル枠の補助上限額は18次公募と同じ4,000万円です。
収益納付の廃止
収益納付は19次公募から廃止されました。
ものづくり補助金(19次公募)の補助率・補助上限額・補助対象経費
ものづくり補助金19次公募の補助率などは次のとおりです。
【参考】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第19次公募)|ものづくり補助金事務局
ものづくり補助金(19次公募)の補助率・補助上限額・補助対象経費
19次公募の補助率・補助上限額・補助対象経費をまとめると次のとおりです。
【2025年ものづくり補助金(19次公募)の補助上限額・補助率・補助対象経費】
補助枠 | 製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 |
---|---|---|
補助対象経費 | (必須) 機械装置・システム構築費 (任意) 技術導入費、専門家経費、運搬費、 クラウドサービス利用費など | (必須) 同左 (任意) 同左 <輸出に関する事業のみ> 海外旅費、通訳・翻訳費、 広告宣伝・販売促進費 |
補助上限額 (大幅賃上げ特例適用時) | 750万円から2,500万円 (850万円から3,500万円) | 3,000万円 (4,000万円) |
補助率 | 1/2(最低賃金引き上げ特例適用時は2/3) ただし小規模企業2/3、再生企業2/3 | 1/2(最低賃金引き上げ特例適用時は2/3) ただし小規模企業2/3 |
大幅な賃上げによる補助上限額引き上げの特例
補助上限額が+100万円から+1,000万円引き上げられる「大幅賃上げの特例」の条件は、次の3つの要件すべてを満たすことです。
- 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
- 事業所内最低賃金が、毎年、事業実施都道府県の最低賃金+50円以上の水準
- 上記の賃上げ計画を交付申請までに従業員へ表明
最低賃金引き上げによる補助率引き上げの特例
「最低賃金引き上げ特例」に該当する場合、補助率1/2が2/3へと引き上げられます。
最低賃金引き上げ特例とは、2023年10月から2024年9月までの間において3か月以上、補助事業実施場所の全従業員のうち30%以上が事業実施都道府県における最低賃金+50 円以内となっている企業が対象です。
ものづくり補助金の採択率・採択倍率の推移
ものづくり補助金の採択率は約50%で推移していましたが、前回の18次公募では採択率が35.8%(採択倍率は約2.8倍)へ低下しました。19次公募の申請を検討している顧問先に対しては、公募締め切りである2025年4月25日までにしっかりと準備するよう説明しておきましょう。
ものづくり補助金の最近の採択率の推移は次のとおりです。

ものづくり補助金を申請する顧問先へのサポートのポイント
ものづくり補助金は前回(18次公募)の採択データを参考とすると、3件中2件が不採択となってしまいます。19次公募へ申請を検討している顧問先に対しては、事前にしっかりと準備し申請できるよう早めの提案がおすすめです。
税理士がものづくり補助金申請をサポートするときのポイントは次の6つです。
早めの情報収集、早めの提案
ものづくり補助金19次公募の締め切りは2025年4月25日17時です。締め切りまでに審査員が納得する申請書を作成できるよう、顧問先へ早めの案内をしましょう。
ものづくり補助金は卸小売業、サービス業、農業も対象
ものづくり補助金は卸小売業や農業などが対象となり、さまざまな顧問先へ案内できます。
事務局のホームページに多数の採択事例が公開され、顧問先への提案時などに参考事例として活用できます。非製造業の事例としては、卸売業6業種182件、小売業6業種150件、農林水産業4業種68件などが公開されています。(2025年2月時点)
加点措置の提案
ものづくり補助金19次公募における加点措置は15種類です。顧問先が該当するか事前に確認しておきましょう。主な加点措置は次のとおりです。
- 経営革新計画の承認
- パートナシップ構築宣言の公表
- DX認定の取得
- 健康経営優良法人の認定
- 事業継続力強化計画の認定
- 中小企業庁「成長加速化マッチングサービス」の登録
【参考】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第19次公募)|ものづくり補助金事務局
専門家の活用
ものづくり補助金で採択されるポイントのひとつは、審査員が見てわかりやすい資料を作成することです。忙しい経営者にとっては負担となるため、専門家の活用を提案することがおすすめです。
ものづくり補助金の申請において認定支援機関の関与は任意ですが、外部の支援がある申請の採択率は高くなります。採択されるためには外部の支援機関の活用がより確実であることをアピールできます。
顧問先にあわせた補助金活用を提案
顧問先の計画に合わせて、そのほかの補助金が該当するか確認しましょう。補助金は制度ごとに特徴があり、顧問先に応じて提案できます。顧問先にあわせて活用を検討したい主な補助金は次のとおりです。
投資計画の特徴 | 補助金の例 | 主な補助率 | 主な補助上限額 |
---|---|---|---|
建物費が高額 | 中小企業成長加速化補助金 | 1/2 | 5億円 |
大型の設備投資 | 大規模成長投資補助金 | 1/3 | 50億円 |
省力化投資が主 | 省力化投資補助金(一般型) | 1/2、2/3 | 1億円 |
DX化投資が主 | IT導入補助金 | 1/2から4/5 | 450万円 |
新規事業の開始 | 新事業進出補助金 | 1/2 | 9,000万円 |
税制優遇措置の併用を提案
補助金活用に加えて、税制優遇制度についても活用を提案できます。
中小企業経営強化税制であれば補助金を活用した設備投資について特別償却(15%、25%)または税額控除(1%、2%)を受けられる可能性があります。
【参考】2025年度 経済産業関係 税制改正について|経済産業省
補助金・助成金・税制優遇制度の活用提案は経営革新等支援機関推進協議会がサポート
本業支援業務を拡充することで事務所の差別化をアピールできます。
顧問先への案内はポイントを踏まえた販促ツールを活用します。
提案に効果的なツールを活用
販促ツールをすべて事務所内で作成する場合は時間や手間が負担です。また制度の改正頻度が高いため、税理士事務所向けの販促ツールの利用が効率的です。
税理士事務所からの販促チラシの例として次の素材があります。

上記の素材はパワーポイントで加工しやすく、事務所名や料金を変更するだけですぐに使える販促チラシです。
事業再構築補助金、経営革新計画などへの応用
申請書類に記載する内容は、ほかの公的支援策の申請書類と似ていることが多く、そのほかの支援策の申請への応用が可能です。
下記はものづくり補助金の申請書類の記載項目の一部です。
ものづくり補助金で加点措置がある経営革新計画の様式は次のとおりで、ものづくり補助金と似ています。

会計事務所の差別化は経営革新等支援機関推進協議会がサポート
経営革新等支援機関推進協議会は、補助金・財務支援をおこなうために必要なサービスを一気通貫で提供しています。
経営革新等支援機関推進協議会は株式会社エフアンドエムが提供する会計事務所向けの支援団体です。
月額30,000円(税抜)の定額で、補助金申請支援や新人でも即戦力となる財務分析ツール、事務所スタッフ向けの教育研修プログラム(サブスクサービスの対象外)などを提供しており、全国約1,720事務所が利用しています。(2024年12月時点)
補助金申請支援業務をサポートするサービスにおいては、採択ポイントをおさえた記載例サンプルの提供や事前添削を受けることができます。
ものづくり補助金申請書の記載例サンプルは次のとおりです。

販促ツールの提供から事務所へ相談が来る仕組み作りまで、本業支援業務の拡充は経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。
まとめ
ものづくり補助金は幅広い業種で採択されており、顧問先が取り組む新たな製品・サービスの開発に活用できます。
顧問先の付加価値向上を支援する公的支援策の提案は事務所の差別化につながる重要な取組みであり、積極的に推進しましょう。
事務所の生産性向上や本業支援業務を拡充などのお悩みは、経営革新等支援機関推進協議会へお気軽にご相談ください。
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または
1名あたり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県最低賃金の年平均成長率(2019年度を基準とし、2020 年度から2024 年度の5年間)以上増加