税理士事務所が顧問先を獲得する紹介チャネルとして銀行などの金融機関があります。
しかし「接点がない」「営業方法がわからない」と思っている税理士もいらっしゃるでしょう。
本記事では金融機関と関係を構築するメリットデメリットやテクニック、注意点について解説します。
目次
税理士が銀行など金融機関と連携するメリットデメリット
金融機関と上手に付き合うことで、事務所と金融機関の双方にメリットがあります。事務所における主なメリットは次のとおりです。
- 顧問先を紹介してもらえる可能性がある
- 計画策定などのスポット受注を期待できる
- 経営者向け勉強会や相続セミナーなどの講師として呼ばれる
- 顧問先における資金調達を金融機関へ相談しやすくなる
- 金融商品について詳しくなり、顧問先からの金融商品に関する質問へ助言しやくなる
金融機関との付き合いにおいてデメリットとしてあげられる内容は次のとおりです。
- すぐに顧問先を紹介してもらえるとは限らない
- 金融機関や担当者により連携姿勢に差がある
- 金融機関との接触時間が必要となる
上記のとおり金融機関との連携は実を結ぶまでに時間がかかる可能性はあるものの、デメリットが少ない営業方法であるといえます。
金融機関側における税理士と連携するメリット
金融機関にとって税理士との連携は下記のようなメリットがあります。
- 顧問税理士の変更が必要な場合、より適した税理士を紹介することができる
- 金融機関に代わって融資取引先の財務改善を指導してもらえる
- 計画書の策定などをサポートしてもらえる
- 税務会計などでわからないことを尋ねやすい
- 相続や事業承継など各種セミナーの講師を依頼できる
- 借入希望がある顧問先を紹介してもらえる
金融機関から紹介される税理士事務所がやっているポイント
金融機関が顧問先や計画書作成などの業務を紹介する場合、特定の事務所に集中することは珍しくありません。
金融機関と上手に付き合い、業務の受注につなげている事務所が実施している主な取り組みは次のとおりです。
決算報告・事業計画説明の同席
取り組みの代表例は“顧問先の決算報告や事業計画説明への同席”です。金融機関への報告時に税理士が同席するメリットは次のとおりです。
- 顧問税理士が同席することにより安心感を得られる
- 細かな質問に対してもその場で対応できる
- 専門用語などをわかりやすく顧問先へわかりやすく伝える調整役となってもらえる
- 顧問税理士から融資取引先への支援内容を確認できる
- 顧問税理士が財務分析や本業支援業務に詳しいかなどを確認できる
- 報告の機会を活かして、金融機関との自然な接点を増やすことができる
- 税務顧問以外の業務に力を入れていることを金融機関へアピールできる
【関連記事】開業1年で金融機関から協業の申し入れの秘密は
自事務所のサービスをアピール
多くの税理士事務所の中から自事務所を選んでもらうためには、事務所のサービスや強みを金融機関に理解してもらうことがスタートです。主な取り組み方法としては次の例があげられます。
- 事務所のホームページを作成しておく
- 事務所を紹介するプレゼン資料を用意しておく
- 補助金申請、事業計画策定などの実績を説明する資料を作成しておく
また事務所について説明するときは、相手側に応じて説明内容を工夫しましょう。
例えば金融機関本部に対しては、審査が難しい案件の計画書作成をアピールする、営業支店向けの場合は、顧問先における資金調達への支援に注力していることを強調するなどです。
顧問先の融資申込みを紹介
金融機関からの紹介を促す有効策のひとつが顧問先への融資を紹介することです。
金融機関は常に融資取引先を探しているため、融資案件を紹介してもらえる事務所に対しては業務を依頼しやすくなります。
継続して接触する
一度挨拶したのみでは印象に残りにくく、事務所の強みが伝わりにくいため、継続的に接触することが大切です。
紹介された業務で実績を積む
金融機関が業務を紹介する際、最初は補助金・助成金の申請支援など小口案件の紹介から始まることが多いといわれています。
小さな業務であっても紹介を受けた業務の実績を積むことで信頼感が増し、税務顧問先の紹介などへつながります。
税理士が金融機関から紹介されるための注意点
税理士事務所が金融機関との関係を構築する際に注意しておく点があります。それは金融機関側の考え方や行動を理解することです。
金融機関の行動への理解
金融機関によって税理士の連携姿勢はさまざまであり、注意しておきたい点は次の3つです。
- 金融機関によっては税理士の同席を好まないことがある
- 過去のやり方との違いを拒否しない
- 主役は顧問先であることを優先する
①のとおり、金融機関によって姿勢が異なります。
一般的に地方銀行や信用金庫などでは歓迎されることが多いといわれていますが、税理士の同席を歓迎しない理由として、顧客情報の取り扱いが厳格である、経営者個人について話題とする可能性があるなどがあげられます。
②にあげているとおり、金融機関の行動は変わります。例として、近年は事業用資金の預金口座の開設が難しくなっていることなどがあげられます。金融機関側の事情についても理解する姿勢が好まれるでしょう。
③について、金融機関は経営者自身の口から説明してもらうことを好むため、税理士は経営者のサポーターである姿勢で面談に臨むことが有効です。
金融機関が重視する指標を踏まえる
金融機関が重視する財務指標についての理解が必要であり、金融機関への決算報告時に備えて確認すべき主な内容は次のとおりです。
- 債務償還年数、自己資本比率や債務超過解消年数などの財務指標
- 現金預金や借入金の増減
- 営業債権や棚卸資産が増加している場合はその原因
- 仮払勘定、経過勘定科目が多額である場合はその理由
- (融資の相談の場合)資金使途、資金効果
「困ったときにご連絡ください」が評価される
金融機関の行職員は忙しいため、「なんでもいいので紹介してください」という営業スタイルは敬遠されがちです。
普段は控えめな接触を継続しておき、「当事務所は経営力向上計画の認定に力を入れており、顧問先から好評を得ています。この分野で困りごとがあれば気軽に連絡してください」という姿勢が好感されやすいでしょう。
また金融機関へ営業する際は、税理士への依頼を提起するキーパーソンに注意しておくと効果的です。顧問税理士の変更が必要と判断する、あるいはセミナー講師を選定するなどの際の発言力が強い人物は支店長のみと限りません。貸付担当のベテランや渉外担当役席であるケースなどさまざまです。
金融機関からの紹介で顧問先を増やすためには「経営革新等支援機関推進協議会」のサービスが役立ちます
金融機関との関係構築を目指す第一歩としてのおすすめは、決算報告への同席です。
特に金融機関が重要視する財務良好先の報告時における同席が最も効果的であり、支店長などの重要人物との接触や、営業店の重要先が信頼する事務所であることなどをアピールしやすくなります。
金融機関への報告時は単なる決算数値の報告だけでなく、財務分析や事業計画の説明を同時におこなうことで一層の効果を期待できます。
経営革新等支援機関推進協議会が提供する『F+prus』(エフプラス)であれば、見やすくわかりやすい帳票構成であるため、金融機関のりん議添付資料として使用されてることもあり、顧問先・金融機関ともに歓迎される可能性が高くなります。
まとめ
税理士が金融機関との関係を構築することで、顧問先を紹介してもらえるなどのメリットが期待できるため、積極的な関係構築を検討しましょう。
金融機関との連携にこれから取り組む場合は、財務分析結果を添付した決算報告や策定した事業計画の説明への同席によって自然に関係を深めることが可能です。
『融資に強い』税理士事務所となるために、経営革新等支援機関推進協議会が提供する、顧問先や金融機関がわかりやすい財務分析・事業計画生成ツール『F+prus』や、補助金申請などの情報発信素材を活用しましょう。
経営革新等支援機関推進協議会は、月額30,000円(税抜)で事務所のサービス拡充にお役立て可能です。お気軽にご相談ください。