税理士登録者数は増加し続けており、顧問先の集客が欠かせません。
税理士事務所が提供するサービスを効果的に訴求し、顧問先や見込み先を獲得するマーケティングの巧拙が事務所の経営を左右します。
本記事では税理士事務所でおこなうべきマーケティングについて解説します。
目次
税理士事務所におけるマーケティングの基本
税理士登録者数が80,692人(2023年3月時点)となっています。
今後も顧問先を維持し獲得していくためには、事務所の差別化と顧問先へのマーケティングが欠かせません。
税理士事務所における4Pと4C
集客の基本的な考え方として4Pと4Cがあります。
4P | 4C | |
(事務所からの視点) | (顧問先からの視点) | |
Product(サービス) | Customer Value(価値・ニーズ) | |
Price(価格) | Customer Cost(コスト) | |
Promotion(宣伝) | Communication(コミュニケーション) | |
Place(場所) | Convenience(利便性) |
注意すべき点は次の2つです。
- 報酬水準は、受注する業務の範囲やほかの事務所とバランスをとる
- 事務所のサービスを宣伝することで、顧問先におけるニーズの把握につなげる
例えば顧問先からの報酬が少ない場合、次のようにサービス内容とあわせます。
- 受注する業務の範囲を絞り込むまたは自計化をすすめる
- 月次監査をオンラインでおこなう
- 補助金申請支援など別のスポット業務を受注する
また事務所のサービスは、顧問先に認識してもらうことがスタートです。
顧問先が関心をもつ内容を案内することで、事務所への相談につなげます。
顧問先が関心をもつコンテンツマーケティング
事務所のサービスを顧問先に知ってもらうときはコンテンツマーケティングが有効です。
顧問先や見込み先が知りたいと思う情報(コンテンツ)を提供し、顧問先からの接触を促す手法です。
具体的には次の例があります。
- 補助金に関するセミナー
- 新規開業者(起業者)向けの税務業務の勉強会
- 電子帳簿保存法の改正内容の案内と対応策の提案
- 事務所での本業支援事例の紹介
これらのコンテンツをDM、メルマガ、ホームページ、チラシなどの宣伝媒体に盛り込み、顧問先などからの接触につなげます。
顧問先をよく知る
顧問先へ具体的に提案するためには、顧問先をよく知ることが必要です。
次の機会を利用して顧客の強みや課題を深堀りします。
- 顧問先が反応したマーケティングツールのテーマを把握する
- 月次監査時の面談で、顧問先の悩みや今後の展開をヒアリングする
- 財務分析結果の課題を顧問先と共有し、解決策の相談にのる
具体的な課題解決策の提案
顧問先の課題に対して、事務所が提供するサービスを具体的に提案します。
例えば次の事例です。
- 電帳法改正のセミナー参加者へ会計システム導入とIT導入補助金を提案
- 事業承継セミナー参加者について事業承継税制を案内
- 賃金引きあげ予定先に対して業務改善助成金を紹介
顧問先への迅速な提案のため、事務所のサービスメニューの作成、実績の整理などを事前におこなっておきます。
顧問先から選ばれる税理士事務所とは
事務所を差別化するための考え方として次の3つがあげられています。
- ほかの事務所が手薄な新規開業者や副業の申告などに取り組む
- 特定の分野に強みをもつ
- 顧問先が抱えるさまざまな課題に幅広いサービスを提供する
ターゲット層に応じた得意分野
例えば新規開業(創業)者を中心に税務・会計業務を受注するなどです。
新規開業者が接触することが多い次の業界へのアピールも必要です。
- 不動産会社
- 業務用什器備品販売会社
- 商工団体(商工会議所など)、地方公共団体
顧問先の悩み事による差別化
特定分野の悩み事に集中した方向性です。次のような例です。
- 資産税
- M&A
- 海外取引税務
見込み先が広範囲となるため、インターネットでの広告が欠かせません。
ビジネスドクター的な存在
顧問先の財務改善、補助金、資金繰りなどさまざまな相談に対応するスタイルです。
経営者が支援してほしい課題と事務所からの提案方法
顧問先が支援してほしいと思う課題へのアピールが効果的です。
課題としては次の4項目が目立ちます。
- 事業計画策定
- 事業承継、M&A
- 販路開拓、マーケティング
- 経営改善、資金繰り
事業計画の策定や資金繰りの相談はニーズをもつ顧問先が多くかつ税理士などの士業が対応しやすいテーマです。
事業計画書の作成は多用途に応用
事業計画書の作成については、報酬以外にもさまざまなメリットがあります。
- 顧問先の強み、課題への深い理解と顧問先からの信頼の獲得
- 補助金など公的支援策申請時の申請書類へ応用
- 金融機関との関係の強化
事業承継、M&Aは外部と連携
事業承継においては後継者決定企業の72.9%、後継者未決定企業の52.0%が顧問税理士、公認会計士に相談しています。
【引用】リーフレット「事業承継のこと、税理士に聞いてみてください」|日本税理士会連合会
事務所のみでの完結は困難なケースが多いため、事業承継・引継ぎ支援センターや『担い手探しナビ』などの外部連携により支援します。
販路開拓、マーケティングは連携機関を活用
商工会議所などの商工団体、地域金融機関がおこなう商談会などのイベントへの参加が案内できます。
経営改善、資金繰りは公的支援制度を提案
資金繰り改善のための『コロナ借換保証制度』などが提案できます。
【関連記事】コロナ融資後の借換保証を徹底解説【2023年1月最新版】
顧問先から選ばれ続けるために必要な4つのこと
顧問先へのアピールと実績を積みあげるために事務所で必要なことは次の4点です。
- 広告宣伝
- 顧問先の分析
- 顧問先への提案
- 事務所の生産性向上
広告宣伝力は仕組み作りでカバー
事務所の販促は、DM、メルマガ、チラシ、ホームページなど複数のメディアを組み合わせて発信します。
顧問先へのアピールのポイントは次の4点です。
- 顧問先が関心をもつテーマ
- 定期的
- わかりやすく説明
- 顧問先への提案
定期的な情報提供は、素材の選定や作成などが負担となります。税理士事務所向けの販促ツールを提供するサービスの活用も検討します。
分析力は定型化から始めると効率的
財務分析は顧問先への提案の第一歩です。
財務分析ツールは既に広く利用されているフォーマットを活用することで次のメリットがあります。
- 顧問先がわかりやすい
- 金融機関が気にする指標に対応
- 事務所スタッフの習熟が効率的
提案力は教育訓練で習熟
具体的な提案は事務所スタッフへの教育と習熟が必要です。
座学から実践的な練習までを一括して提供するサービスを利用することで、教育訓練をアウトソースできます。
処理能力は定型業務時間の削減で
顧問先へ付加価値を提供するサービスを強化するためには、定型的な業務にかかる時間の削減を図ります。記帳代行業務などのアウトソースなどを検討します。
税理士事務所の差別化は経営革新等支援機関推進協議会がサポート
税理士事務所の集客や生産性向上のお悩みは経営革新等支援機関推進協議会のサービスがサポートします。
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが提供する会計事務所をサポートするサブスクサービスです。
月額33,000円(税込)で、集客から実績作りをサポートしており、1,689事務所(2023年5月時点)にご参加いただいております。
経営革新等支援機関推進協議会は税理士事務所の顧問先支援をサポートするさまざまなサービスがあります。事務所の生産性を向上させるツールのうち3つをご紹介します。
事務所スタッフを即戦力化する財務分析ツール『F+prus』
- 顧問先がわかりやすい構成
- CRDスコアに準拠し、金融機関の目線で評価
- 専門知識がなくとも、財務診断報告書、事業計画書、資金繰りシミュレーション、イベント管理表までを生成
補助金、優遇税制、金融などの集客を自動化する仕組み『FAS CLUB』
- 会員登録した企業様への最新情報の提供、セミナーの開催案内を自動化
- 相談窓口は事務局が代行
- 会員企業様からの問い合わせを会計事務所様へ取り次ぎまでを仕組化
(サブスクサービスの対象外)
記帳入力、インボイス対応を代行『おくるダケ記帳』
- 書類はすべて送るだけ
- 事前設定は一切不要
- 85,000件の記帳処理をしている株式会社エフアンドエムが記帳
(サブスクサービスの対象外)
まとめ
税理士事務所はマーケティングによる集客と、顧問先のニーズに合わせた本業支援業務の拡充が必要となっています。
事務所が提供するサービスについての価格と内容のバランスをとりつつ、顧問先や見込み先へ積極的にアピールします。
マーケティングに伴う事務負担は各種のツールを提供するサービスを活用し、付加価値がある業務にかかる時間を確保します。
税理士事務所経営の集客の仕組み作りや効率化、スタッフの教育訓練まで、税理士事務所経営は経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。