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税理士は実務経験なしでもなれる?独立できる?

税理士は実務経験なしでもなれる?独立できる?

税理士として業務を行うためには、試験の合格・2年以上の実務経験・税理士会への登録の3つが必要です。
税理士を目指す人の多くは税理士事務所などで働きながら受験勉強しつつ、登録に必要となる実務経験を積んでいます。また実務経験を通じて税理士としてのスキルを磨き、事務所経営に必要なノウハウを身に付けます。

本記事では、税理士は実務経験なしでも登録でき、独立できるのかについて解説します。

税理士は実務経験なしでは登録できず独立開業もできません

税理士となるためには「税理士となる資格」を得て「税理士名簿に登録」されることが条件です。
①試験の合格(または試験免除など)、②試験合格者または試験免除者の場合は実務経験2年以上、③税理士会への登録が必須となります。
試験合格者は、実務経験が2年に満たない場合、試験に合格しても税理士として登録できません。
税理士となるための資格と登録要件の概要は次のとおりです。

【参考】税理士登録の手引(2024年4月25日)|日本税理士会連合会

税理士となるための資格

税理士資格を得るために最も一般的な方法は、税理士試験全11科目のうち5科目以上に合格することです。(試験合格)


「試験合格」など、税理士となることができる資格として「試験合格」「試験免除」「弁護士」「公認会計士」の4つが定められています。

  • 試験合格:税理士試験で5科目以上合格
  • 試験免除:税理士法により試験科目の全部について税理士試験を免除
  • 弁護士:弁護士または弁護士となる資格を有する
  • 公認会計士:公認会計士または公認会計士となる資格があり、法定の実務補習を修了

税理士登録するための要件は実務経験2年以上

試験合格者は日本税理士連合会の税理士名簿へ登録されると税理士として活動できます。この登録の要件として実務経験2年以上が求められています。

実務経験が求められる対象者は試験合格者と試験免除者です。弁護士または公認会計士が税理士として登録する場合、実務経験は要件となっていません。

税理士の実務経験として認められる業務、認められない業務

税理士の実務経験として認められる業務は、税理士法第3条第1項により「租税に関する事務または会計に関する事務で、政令で定めるもの」と定められています。

より詳しくは税理士法施行令第1条の3と税理士法基本通達に定めがあります。

  • 租税に関する事務
    税務官公署における事務のほか、その他の官公署および会社などにおける税務に関する事務(税理士法基本通達3-1)
  • 会計に関する事務で、政令で定めるもの
    貸借対照表勘定および損益勘定を設けて計理する会計に関する事務(特別な判断を要しない機械的事務を除く)(税理士法施行令第1条の3)

【引用】税理士法|e-GOV

【引用】税理士法施行令|e-GOV

税理士の実務経験となる「会計に関する事務」とは

実務経験に算入される「会計に関する事務で、政令で定めるもの」とは、『貸借対照表勘定および損益勘定を設けて計理する会計に関する事務(特別な判断を要しない機械的事務を除く)』と定められています。(税理士法施行令第1条の3)
具体的な内容は税理士法基本通達において次のとおり定められています。

実務経験に含まれる事務
  • 簿記の原則に従って会計帳簿などを記録し、その会計記録に基づいて決算を行い、財務諸表などを作成する過程において簿記会計に関する知識を必要とする事務
  • 簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務
  • 仕訳帳などから各勘定への転記事務
  • 元帳を整理し、日計表または月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
  • 決算手続に関する事務
  • 財務諸表の作成に関する事務
  • 帳簿組織を立案し、または原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務

【引用】税理士法基本通達 第2条《税理士業務》関係|国税庁


『特別な判断を要しない機械的事務』は実務経験において算入されません。
ただし定型的な事務であっても、簿記や会計記録を作成する事務は実務経験に含むこととなっています。

機械的事務は税理士の実務経験とはならない

実務経験の対象外となる『特別な判断を要しない機械的事務』とは、簿記会計知識がなくとも可能な単純作業のことです。会計システムへの単純な入出力や電卓での集計作業などが含まれます。

【参考】税理士登録の手引(2024年4月25日)|日本税理士会連合会

税理士としての実務経験はどこで?積みかたと実務経験の証明方法

税理士の実務経験について、働く場所や実務経験の証明方法は次のとおりです。

【参考】税理士登録の手引(2024年4月25日)|日本税理士会連合会

税理士の実務経験を積む場所は会計事務所と一般企業の2つ

実務経験として認められる業務は、主に会計事務所と一般企業の経理の2つです。また実務経験年数は、複数の勤務先の合計でよいとされています。
実務経験を積む勤務先によって、次のようなメリットデメリットがあります。

実務経験する勤務先メリットデメリット
中小規模会計事務所多様な業務を経験できる得意分野をもちにくい
大規模会計事務所得意分野をもちやすい経験できる分野が狭くなる可能性がある
一般企業の経理顧問先の立場で経験できる会計事務の経験が不足しがち

税理士登録するための実務経験の証明方法

実務経験が2年以上であることは、次の書類によって証明します。主な注意点は次の3つです。

  • 複数の勤務先の合算で実務経験を満たす場合、すべての勤務先から在職証明書を発行してもらう必要があります。
  • 一般企業で経理業務に従事している場合、職務概要説明書が必要です。会計業務以外の業務を兼任していることがあるためです。
  • 勤務形態が非正規雇用の場合、会計業務に従事していた時間を積上げ計算する計算書が必要です。
実務経験期間の充足を確認する書類
  • 在職証明書(第2号様式)
  • (一般企業の経理の場合)職務概要説明書、勤務先の組織図(税理士会所定様式)
  • (非正規雇用の場合)勤務時間の積上げ計算書(税理士会所定様式)

税理士登録において必要となる実務経験の計算方法

実務経験2年以上とは、通常の勤務時間のうち会計業務に従事していた期間が2年以上であることです。計算上、注意が必要となる点は次の3つです。

  • 会計業務以外の業務に従事していた時間は除く
  • 非正規雇用の場合、会計業務に従事していた勤務日数や勤務時間を積上げ計算する
  • 積上げ計算できる時間は1日7時間、1月154時間(2年で3,696時間)が上限となる

税理士は実務経験2年で独立できる?

税理士会への登録申請時に開業税理士として登録することができます。つまり実務経験2年で税理士として登録すると同時に独立開業が可能です。

現実は実務経験2年で税理士登録と同時に独立する人は、少ないとみられています。実務経験2年で独立する人が少ない理由は主に次のとおりです。

  • 経験が浅くスキルが不十分である可能性がある
  • 顧問先を確保する見通しが不透明
  • 開業資金が準備できていない
  • 事務所を経営するノウハウが不足しがち

まとめ

税理士は登録要件である実務経験2年以上で独立することが可能です。ただし、一般的には税理士登録後に数年から10年ほど実務を経験したうえで独立開業することが多いといわれています。準備不足の独立開業はうまくいかないリスクが高いためです。

開業リスクを抑えるためには、税理士事務所を経営するときに必要となるさまざまなノウハウを身に付けてからがよいといわれています。
独立開業に必要なノウハウとは集客やマーケティング、人材採用と育成、同業事務所との差別化などです。

「税理士としての経験年数は少ないが独立したい」「開業直後で集客に不安がある」など、事務所の経営に悩みごとがある会計事務所様は、経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。
全国約1,700事務所が参加する経営革新等支援機関推進協議会へお気軽にご相談ください。

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