多くの事務所経営者は「売上の向上」と「業務効率化」を別々に考えがちです。もし事務所の経営改善をおこなうとすれば、売上と効率化はセットで考えることが大切です。
本記事では、売上の向上と業務効率化をセットで考える方法や具体的な事例を交えて解説します。
売上向上と業務効率化をセットで考える方法
売上向上といっても業務遂行能力が高い従業員がいなければ、達成は難しく、業務の効率化だけでは不十分です。
売上向上と業務の効率化を同時におこなう具体的な方法をご紹介します。
新規顧客開拓と同時にスタッフ育成
新規顧客開拓には、既存顧客からの紹介や新規営業の他、Web広告やSNSの活用、自社メディアの運用をおこなう方法があります。
簡単に運用できるものもあれば費用をかけて中長期的に運用しなければ結果が出ないものなどさまざまです。
少ない人数の事務所にとっては、新規顧客開拓を効率的におこなえることが売上獲得の鍵となります。
そして、新規顧客開拓と同時におこなうべきことが「スタッフの育成」です。
もし事務所の業務を一部の人でおこなっていれば、マルチタスクをこなすことは難しく、売上も限定されてしまいます。
また、ベテランの従業員が辞めて、他の従業員がうまく引き継げなかった、苦手とする業務だった場合、事務所経営にも支障が出てしまいます。
とくに業務が属人的になることは、教育体制が整っていない事務所によくあるため、注意が必要です。
新規顧客開拓をおこないつつ、スタッフ育成に力を入れましょう。
「お試し財務支援プラン」の提示+財務分析ツールで効率化
新規の顧問先に、お試しの「財務支援」プランを用意し、顧問先の反応を見ながら事務所のサービスを販売する方法があります。
「財務支援」プランを提示している間に、顧問先の悩みや課題を聞いて、ソリューションの提案をおこないましょう。
財務支援には、事務所従業員が誰でも使えるように財務分析ツールを活用して効率的におこなうことが重要です。
既存顧客に定期的なアプローチ
既存顧客に定期的にアプローチをおこなって、抱えている悩みや課題がないかを確認します。
顧問先に解決できそうな悩みや課題があれば、提供サービスを紹介しましょう。
顧問契約をおこなっていれば、定期打ち合わせで悩みや課題を把握できますが、1度しかサービスを利用していない顧客が現在どのような悩みや課題を抱えているかはわかりません。
既存顧客や以前顧客だった企業に定期的にアプローチすることで、事務所のサービスを利用してくれる可能性が高まります。
サービスにバリエーションを増やして、客単価をあげる
事務所にサービスのバリエーションがなければ、顧客を取りこぼす可能性があるため、提供サービスのバリエーションを増やすことが重要です。
もし、新規顧客開拓をおこなっても事務所の提供サービスに顧客の課題が解決できるソリューションがなければ利用されません。
あらかじめ事務所で提供できるサービスを複数準備することで、顧客に対して適切なソリューションを提供できます。
提供サービスのバリエーションを増やしたら、顧客が購入したサービスのほか、関連するサービスの提案をおこないましょう。
価格は高くなるものの付加価値の高いサービスの提案は、客単価をあげることにもつながります。
事務所従業者に専門教育をおこない、売上高をあげる
大手の事務所になると従業員に対してシステム化された社内教育制度があるため、幅広い業務経験や、得意なスキルを見極めてさらに伸ばしていける体制を構築しています。
しかし、事務所の規模が小さいと従業員に対する教育制度が確立しておらず、本来活かせるはずの能力を活かしきれないことがあります。
事務所において、実務スキルがある従業員が他の従業員に対して定期的な勉強会や研修プログラムを取り入れることで、さまざまな事例やベストプラクティスを共有することができ、知識や技能研さんの機会につながります。
松山亮樹税務会計事務所様の事例
松山亮樹税務会計事務所様は、創業を考えている人や創業間もない企業に業務支援するサービスをおこなっており、中小企業庁の認定支援機関に登録されている事務所様です。
開業以来、補助金やMAS監査、業務の効率化などのサービスを顧問先に提供されています。
補助金の案件やその後の顧問契約につながった事例もお持ちです。
松山亮樹税務会計事務所様には、経営革新等支援機関推進協議会から定期的に補助金情報を提供させていただいたことで、顧問先に訪問する際に補助金の話をされるようになったそうです。
補助金に興味をもった顧問先は、そのまま案件につながりやすいとご評価をいただいております。
■松山亮樹税務会計事務所様の事業再構築補助金支援実績(一部抜粋)
年度 | 支援事業者数 | 採択事業者数 | 採択率(%) |
---|---|---|---|
令和2年度補正(第1回) | 10 | 5 | 50 |
令和2年度補正(第2回) | 7 | 3 | 42.9 |
令和2年度補正(第3回) | 9 | 8 | 88.9 |
令和2年度補正(第4回) | 6 | 4 | 66.7 |
令和2年度補正(第5回) | 5 | 5 | 100 |
一人で6件の補助金申請に対応(松山亮樹税務会計事務所様のお声)
補助金には、事業再構築補助金やものづくり補助金があり、主にシステム系の企業やシステム関係を販売する代理店に補助金活用の情報共有をおこなっていました。
ご紹介していくうちに補助金申請に対応する案件の依頼をいただくようになります。
補助金申請の案件を対応するには、経営革新等支援機関推進協議会が提供するサービスを活用しています。
テンプレートを活用して、申請に必要な書類を作成することで、一人で6件の補助金申請に対応できました。
その後、6件のうち、1件は別の事務所からのご紹介だったものの5件は顧問契約を結ぶことにつながりました。
補助金申請は単発業務ではあるものの高単価な支援業務です。
補助金申請を支援するノウハウを身につけることで、対応スピードが早くなるため、複数抱えても手掛けやすい案件となります。
また、補助金申請に対応することで顧問契約など次のサービス提供につなげることも可能です。
経営革新等支援機関推進協議会の会計事務所支援サービス「F+prus(エフプラス)」
経営革新等支援機関推進協議会では、月額33,000円(税込)で最新情報などの知識習得や実務支援、マーケティング支援、財務支援システムの4つのサービスをご利用いただけます。
2022年8月時点で1,611の事務所にご活用いただいております。
知識習得に向けたサービス
経営革新等支援機関推進協議会では、財務や補助金の最新情報や優遇税制支援の最新情報、従業員の教育サービスをご利用いただけます。
毎月会員限定のオンライン研修会の開催や、最新の実務支援やコンサルティングサービスの手法といった情報をご提供しております。
またいつでも視聴可能な動画コンテンツがあるため、好きな時間に必要な部分だけ学べることも特長です。
従業員の教育サービスは、事務所が企業支援をおこなうために必要な補助金や、公的制度、財務支援などの知識を一から学べ、「補助金・公的制度コース」と「金融・財務コース」の2つがあり、1コース約3カ月間の養成カリキュラムとなります。
事務所に必要な知識やノウハウを体系立てて習得できるため、知識の習得から実務経験に必要なスキルを身につけられます。
もし事務所内に教育環境が整備されていなくとも、経営革新等支援機関推進協議会のサービスを活用することで、スタッフの育成が可能です。
実務支援
経営革新等支援機関推進協議会の実務支援は、開業したばかりで実務経験が少ない事務所でも効率的な実務対応が可能です。
事務所が活用する補助金申請や経営力向上計画、先端設備等導入計画などの申請書に記載事例付きのサンプルを提供しており、サンプルを見ながら申請書を策定できるため、実務経験がないスタッフでも簡単におこなえます。
作成した申請書は添削サービスによってブラッシュアップや採択の可能性をあげることが可能です。
専門スタッフがチェックしているため、精度の高い申請書で受付機関に提出できます。
各案件の支援相談や実務相談をおこなう個別相談窓口も設置しているため、公的機関に直接質問しづらい、質問窓口がわかりづらい場合でも相談が可能です。
マーケティング支援
経営革新等支援機関推進協議会のマーケティング支援は、新規顧客開拓に活用できる販促ツールや、月次情報提供サービスやセミナー内容を提供しています。
顧問先に向けて補助金などの各制度を案内するチラシや、事務所が発信するメルマガ、セミナーなどに活用でき、さらに毎月テーマを変えているため、継続的な情報提供が可能です。
FASクラブは経営革新等支援機関推進協議会が顧問先に、補助金や資金繰りに関する最新情報を提供できるサービスです。
メールマガジンや会員専用Webセミナー、補助金・資金繰り専用の相談窓口、2か月に1度の情報誌の発行といったサービスを受けられます。
顧問先に定期的な情報発信をおこなう際に活用ができるサービスで、おすすめです。
財務支援システム「F+prus(エフプラス)」
経営革新等支援機関推進協議会の財務支援システム「F+prus(エフプラス)」は、顧問先の決算書を活用して金融機関が実施するような格付け診断がおこなえます。
23種類の会計ソフトに対応しており、決算データと返済データを用意し、F+prus(エフプラス)に取り込むことで診断がおこなえます。
活用できるサービスは以下の通りです。
財務診断報告書
顧問先の決算書データや借入明細から企業の借入の問題点を自動抽出でき、金融機関目線の財務格付け判定や借入金返済の最適化に向けたシミュレーション、イラスト付きの財務指標で解説できます。
事業計画書の策定
金融機関が求める事業計画書の策定が可能です。
顧問先の決算書データや借入明細から自動で事業計画書に反映されます。
また、金融機関に事業計画の内容で補足があればコメントを記載できます。
決算レポート
財務診断報告書や事業計画書から決算報告で活用できるレポートを作成できるため、金融機関にもご好評いただいております。
まとめ
事務所経営者は売上向上と業務の効率化をセットで考えることが大切です。
経営革新等支援機関推進協議会のご提供するサービスは、小規模から中規模の事務所を中心に導入いただいております。
人数が少ない事務所では「本当はやらなくては…」と思っていることでも人的リソースが限られているため、できないことが多いのが現状です。
経営革新等支援機関推進協議会のサービスは、月額33,000円(税込)でスタッフ教育や、顧問先への情報提供、財務診断そして事務所の実務支援をおこなえます。
持続可能な事務所経営をおこなうためにも、経営革新等支援機関推進協議会にぜひご相談ください。