会計事務所が顧問先に提案する場合や新規顧客開拓に際して、補助金支援をおこなうことで次の仕事につながります。
また、企業が補助金支援を求めていることもあるため、積極的に補助金支援をおこないましょう。
本記事では、補助金支援が会計事務所にとって活路になる理由を解説します。
補助金支援業務とは
会計事務所がおこなう補助金支援業務をご紹介します。
認定支援機関の役割
認定支援機関とは中小企業等経営強化法で役割が定められており、中小企業に対して専門性の高い支援事業をおこなうことを定めたもので、経営革新等支援機関の通称です。
経営革新等支援機関推進協議会も認定支援機関の1つとして登録されています。
補助金申請業務
補助金を申請するには、公募要領を確認し、応募申請書を作成します。
申請に際しての必要書類は事業計画書、経費明細書、事業要請書などが必要です。
申請は記入例どおりでは採択されづらく、「どうすれば補助金が交付されるかわからない」と悩む経営者も多く、会計事務所として支援を望んでいることも珍しくありません。
金融機関からの依頼
企業が補助金の申請支援を受けるために金融機関に相談することがあります。
しかし、金融機関は、企業にさまざまなコンサルティングをおこなっているため、補助金支援を連携している会計事務所に依頼して、実際の申請支援は会計事務所がおこなう事例が増えています。
会計事務所とって、補助金申請支援は単発案件であるものの、企業と信頼関係を構築でき、その後に顧問契約につなげることができます。
金融機関と積極的に関係性を構築しておくことで、補助金支援業務の仕事をいただくことがあり、信頼関係ができれば金融機関から紹介を受けることも可能です。
事業再構築補助金を申請する場合、申請が採択されても実際に補助金が支払われるタイミングは設備投資をおこなった後になります。
実際に補助金申請の支援をする会計事務所が金融機関と顧問先の間に入ることで、事業再構築補助金の申請支援と設備投資資金の融資支援が進みやすくなります。
金融機関から受けた融資で設備投資をおこない、その後申請した事業再構築補助金が企業に支払われるため、その補助金を活用して金融機関に返済することが可能です。
補助金支援を事業にする方法とは
会計事務所が顧問先に補助金支援するとさまざまなメリットがあります。
補助金支援を事業にするには、現在どのような補助金があるのかを確認し、顧問先や取引先、新規顧客に向けて情報発信をおこなうことで案件の獲得につながります。
企業は補助金支援サービスを利用したい
コロナ禍により経営状態が厳しくなっている中小企業が多く、補助金申請をおこないたいと思っても採択率が低く、申請を諦める企業も存在します。
会計事務所で補助金支援サービスを始めれば、「相談したい」と考える企業が現れ、新規開拓にもつながります。
会計事務所による補助金支援を求めている企業は多く、積極的に支援サービスを展開することをおすすめします。
補助金支援業務をおこなうメリット
補助金支援業務自体は、単発契約となるため申請が終わり採択されると契約は終了します。
しかし補助金支援をおこなう企業は、財務面や返済面で問題を抱えていることも多く、補助金支援と合わせて財務コンサルティングサービスを提案することで、顧問契約につながる可能性があります。
伊藤誠悟税理士事務所様の事例
伊藤誠悟税理士事務所様は、愛知県名古屋市に事務所があり、2011年1月に設立した従業員7名の会計事務所様で、事業再構築補助金の申請支援を22件おこないました。
主な業務として、事業計画書の作成を中心にMAS監査を通して顧問先企業の事業目標達成支援に尽力されています。
株式会社ミカタの設立
伊藤誠悟様は、2020年8月に中小企業の事業目標達成支援をおこなう株式会社ミカタを設立されました。
株式会社ミカタ様は中小企業の新事業展開を支援することを目的としており、事業再構築補助金の内容と設立目的がマッチしたことで、事業再構築補助金申請の支援をおこなうようになりました。
集客の成果や、コロナによって中小企業の経営状態が厳しくなったことで、結果的に事業再構築補助金の申請支援を22件おこなえています。
事業再構築補助金の申請支援22件
事業再構築補助金の申請支援は、伊藤誠悟税理士事務所様の顧問先への郵送案内や、株式会社ミカタ様のホームページやSNSによる週一回の情報発信、経営者の会や取引先などへの情報提供によって案件を獲得されました。
当初はランディングページの作成を予定していたものの、予想以上に案件を獲得できたことで作成はおこないませんでした。
そのほか、顧問先であるシステム会社からのご紹介や金融機関からの業務提携によるご紹介などから案件をいただいています。
補助金申請は、伊藤誠悟税理士事務所様と株式会社ミカタ様が一体となって活動し、結果として、事業再構築補助金の1次公募で8件、2次公募が14件となりました。
申請支援は、顧問先からは2割程度で、ほかは顧問先や金融機関などからのご紹介です。
金融機関との業務提携
金融機関からの業務提携は、株式会社ミカタ様が金融機関に融資相談したことをきっかけに、補助金申請の案件を受けられないか相談・ご紹介となりました。
金融機関は企業から補助金相談があるものの、リソースの問題から受けられないことが多いといえます。
会計事務所から金融機関に業務提携を提案する際の鍵は、会計事務所の得意分野をしっかりと伝えることが大切です。
補助金申請後も視野に入れる
補助金申請で作成する事業計画書は、会議型のワーク形式をおこなって企業から時間をかけて引き出すようにされています。
ワーク形式でおこなう理由は、補助金採択後の事業イメージを高めることです。
実際に補助金採択後のイメージや展望がなければ申請しても採択が難しいといえます。
補助金支援は単体契約となるものの、事業後の展望やアドバイスをおこなうことで顧問契約や財務コンサルティングにつなげられます。
経営革新等支援機関推進協議会の会計事務所支援サービス「F+prus(エフプラス)」
会計事務所が顧問先や新規顧客に対して補助金の支援申請をおこなう場合、経営革新等支援機関推進協議会のサービスがおすすめです。
経営革新等支援機関推進協議会は最新情報などの知識習得や、実務支援、マーケティング支援、財務支援システム「F+prus(エフプラス)」の4つのサービスを月額33,000円(税込)で提供しており、2022年8月時点で1,611の会計事務所が活用されています。
知識習得に向けたサービス
会計事務所が知識習得に向けたサービスとして、補助金などの最新情報や会計事務所の社員教育としてご利用いただけます。
定例研修会を会員限定向けにおこなっており、現在申請できる補助金などの最新情報やコンサルティングサービスの情報を提供しており、動画コンテンツとなるため、好きな時間に必要な部分を視聴して研修がおこなえます。
従業員教育に向けたサービスとして「補助金・公的制度コース」と「金融・財務コース」の2つのコースから、企業支援に必要な補助金や、公的制度、財務コンサルティングなどの知識を体系的に学べます。
1コース約3カ月間のカリキュラムとなるため、会計事務所に必要な知識の習得から実務経験に必要なスキルまで身に着けることが可能です。
実務支援
実務支援は開業したばかりで実務経験がない会計事務所でも効率的に会計業務ができるサービスです。
会計事務所が顧問先に活用する補助金の申請支援や、経営力向上計画などの申請書を記載事例付きサンプルで提供しているため、サンプルを見ながら顧問先にあった申請書を作成できます。
事例としてご紹介した伊藤誠悟税理士事務所様も補助金支援契約書サンプルや申請書記載例などを活用されています。
作成した申請書は経営革新等支援機関推進協議会のスタッフによる添削サービスを活用できるため、申請書の採択率向上に役立ちます。
また、個人相談窓口を設置しており、各案件の支援や実務相談を会計事務所の従業員であれば利用できるため、気になった支援業務や実務のご相談が可能です。
マーケティング支援
マーケティング支援は会計事務所が顧問先や新規顧客開拓に活用できるサービスです。各制度を案内した販促ツールや会計事務所から発信するメルマガやセミナー内容を提供しています。毎月テーマを変えて情報提供しているため、継続的な情報発信に活用できます。
また、FASクラブは経営革新等支援機関推進協議会が提供する補助金や財務支援専用の顧問先に向けたサービスで、「企業へ定期的な情報発信」「相談がくる仕組み作り」「税務顧問以外での収益化」を実現できる内容です。
財務支援システム「F+prus(エフプラス)」
財務支援システム「F+prus(エフプラス)」は顧問先の決算書データや借入金の返済データを取り込むことで金融機関が実施するような格付け診断がおこなえるサービスです。
活用できるサービスは、顧問先の財務分析で提出する「財務診断報告書」の作成や金融機関が求める「事業計画書の策定」、「決算レポート」を作成できます。
F+prus(エフプラス)で顧問先の決算書データや借入金の返済データを取り込むことで「財務診断報告書」が作成でき、問題点を自動抽出してくれるため、わかりやすく的確な財務診断がおこなえます。
例えば、事業再構築補助金を申請し、設備投資資金を金融機関から融資を受ける場合、金融機関に提出する事業計画書はF+prus(エフプラス)で作成できます。
F+prus(エフプラス)は金融機関が求める内容で作成できるため、金融機関からも「わかりやすい」とご評価をいただいております。
まとめ
会計事務所や税理士事務所が補助金支援をおこなうことで財務コンサルティングサービスや顧問契約などにつながるため、顧問先や新規顧客開拓では積極的に提案することをおすすめします。
また、金融機関においても企業の補助金申請を実務面で会計事務所や税理士事務所に支援してほしいという要望があります。
積極的に金融機関に対して、補助金の申請支援がおこなえることを伝えることが重要です。金融機関との連携を深めて、補助金支援の受注や、紹介してもらった企業からの顧問契約につなげましょう。
会計事務所がスムーズに補助金支援をおこなう場合、経営革新等支援機関推進協議会のサービスがおすすめです。
月額33,000円(税込)で補助金支援だけではなく、企業の財務診断や財務コンサルティングもおこないやすくなり、また社員教育や、顧問先への情報提供、会計事務所の実務支援サービスもあります。
ぜひお気軽にご相談ください。