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非上場株式の評価見直しはいつ?税理士が確認したい3つの論点

非上場株式の評価見直しはいつ?税理士が確認したい3つの論点

「自社株の評価が変わるなら、今すぐ贈与すべきでしょうか」。非上場株式の評価見直しは、事業承継を控えた経営者にとって気になる話題です。国税庁は2026年4月から有識者会議で検討を進めています。ただし、議論されている提案と、現在の申告で使うルールは分けて理解する必要があります。本記事は相続税・贈与税の株式評価を対象に、現行方式と顧問先への説明手順を整理します。

非上場株式の評価方法はどう決まるのか

方式主な考え方確認する点
類似業種比準方式類似業種の株価と配当・利益・純資産等を用いる大会社の原則。会社規模・株主区分を確認
純資産価額方式資産・負債等から価額を算定小会社の原則。帳簿純資産そのままではない
併用方式類似業種比準と純資産価額を組み合わせる中会社の原則。区分によって割合が異なる
配当還元方式配当に着目して評価同族株主等以外など、適用要件を確認

取引相場のない株式は、株主区分と会社規模に応じて、類似業種比準方式、純資産価額方式、両方式の併用、配当還元方式などで評価します。今回の議論は、現行方式による評価額の差や経済環境とのずれを検証し、より公平で予測可能な制度を目指すものです。

上表は現行方式の概略です。特定の評価会社、選択可能な方式、詳細な要件は国税庁の評価手順で確認してください。

【出典】国税庁 | 「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の開催について

【出典】国税庁 | No.4638 取引相場のない株式の評価

【出典】国税庁 | No.4638 取引相場のない株式の評価

なぜ評価方法が見直されているのか

国税庁の会議開催資料は、令和6年11月の会計検査院検査報告における指摘を踏まえ、相続税法の時価主義の下で適正な評価制度の在り方を検討するとしています。非上場株式には取引所で日々成立する株価がないため、一定のルールで評価する必要があります。そのルールが会社の実態を適切に反映しているかが、検討を読む際のポイントです。

顧問先への影響を知るには、「制度が変わるらしい」という情報だけでは足りません。現在どの方式を使っているか、その方式で利益や資産の変化が評価にどう反映されるかを整理しておくと、公表された見直し案と比較しやすくなります。

【出典】国税庁 | 「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の開催について

見直し議論を読む3つの論点:評価差・会社規模・配当還元

第一は、各評価方式の間で評価額にかい離が生じている点です。会社の経済的な実態をどのように税務評価へ反映するかが問題になります。第二は、規模の大きな会社ほど類似業種比準価額の適用割合が高く、相対的に低い評価になり得る点です。第三は、配当還元方式で用いる還元率と、近年の金利水準との関係です。これらは国税庁が会議開催資料で引用した会計検査院検査報告の指摘であり、将来の計算式が決まったという意味ではありません。

この3点を顧問先に説明するときは、「すべての会社で株価が上がる」とまとめないことが重要です。現在の評価方式、利益水準、配当、資産構成が違えば、確認すべき影響も違います。変更内容が公表された後に比較できるよう、現行評価の計算根拠を保存しておきましょう。

【出典】国税庁 | 「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の開催について

「いつから変わるか」は議論・通達・適用日を分けて確認

確認できた国税庁の会議一覧には、令和8年(2026年)9月16日開催の第6回までの資料が掲載されています(同日の議事要旨は本稿確認時点では未掲載)。第6回の資料には「第7回会議以降での想定論点」が示されており、議論は継続中です。委員の提案は、国税庁が決定した制度そのものではありません。最終案、通達の公表、適用される課税時期がそろって初めて、顧問先への具体的な適用を判断できます。

また、令和8年(2026年)4月1日以後用の評価明細書が存在することを、今回の有識者会議の結論が施行された証拠と扱ってはいけません。これは通常の様式更新であり、見直しの反映ではありません。様式変更と評価制度全体の見直しは、それぞれの改正資料で確認します。

【出典】国税庁 | 審議会・研究会等

計算前の判定順序:株主→会社規模→特定の評価会社

最初に確認するのは、株式を取得する人の株主区分です。次に、原則的評価方式を使う場合の会社規模を、総資産価額・従業員数・取引金額等から判定します。「売上が少ないから小会社」と一つの数字だけで判断しないようにします。

そのうえで、比準要素数1の会社、株式等保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社など、特定の評価会社に該当しないか確認します。一般的な方式の比較表だけで計算を終えると、この判定を見落とすおそれがあります。国税庁の明細書と評価手順に沿い、どの区分を選んだかを説明できるようにします。

【出典】国税庁 | No.4638 取引相場のない株式の評価

【出典】国税庁 | B2-1 取引相場のない株式(出資)の評価明細書

相続税評価とM&Aの売買価格は同じではない

相続税・贈与税の評価は、税務上の基準に沿って申告価額を計算する作業です。一方、M&Aでは将来の収益、買い手との相乗効果、借入金、交渉条件なども価格に影響します。相続税評価額が、そのまま第三者への売却価格になるわけではありません。

株式を誰から誰へ、相続・贈与・売買のどの形で移すのかを先に決めましょう。「非上場株式の評価方法」という検索だけで得た計算式を、異なる取引へ流用することが誤りの原因になります。

顧問先面談でそろえる資料と説明例

まず株主名簿と議決権の関係を確認し、次に決算書、法人税申告書、配当の履歴、土地・有価証券等の明細を集めます。前回の評価書があれば、今回との相違を株主構成、利益、純資産、含み益に分けると説明しやすくなります。

面談では「見直しが議論されていますが、新しい計算方法を前提に贈与を急ぐ段階とは限りません。まず現行制度の株価と納税資金を確認し、変更が公表された際に比較できる資料を整えましょう」と伝えます。これは説明文の例であり、実際の相談事例ではありません。

仮に税務上の株式評価総額が1億円で、20%上がる場合の評価差額は2,000万円です。ただし、これは感応度を確認する仮定であって改正予測ではなく、税額の増加でもありません。取得する株数、他の相続財産、控除、税率等を反映した税額試算を別に行います。

贈与を急ぐ前に比較するのは、株価だけではない

承継予定の株数と議決権、後継者以外の相続人への配慮、納税資金の出所、承継後の経営権を同時に整理します。評価額を下げることだけに注目して株式を分散させると、後継者が意思決定しにくくなる場合もあります。

面談用の比較メモには「現状を維持」「予定していた承継を実行」「公表資料を確認して再検討」の選択肢を置き、それぞれの必要資金と未確定事項を記載します。制度変更への対応と、家族・事業の事情による承継判断を分けることが、短期的な報道に振り回されない支援につながります。

会計事務所が次の面談までに準備すること

現行制度に基づく試算と、評価上昇時の感応度分析を並べます。贈与・譲渡を急ぐのではなく、事業承継税制、納税猶予、生命保険、自己株式取得などを専門家と比較してください。

非上場株式の見直しについてよくある質問

非上場株式の評価見直しはいつからですか?

本稿で確認した会議資料だけでは、新制度の一律の適用開始日は確定できません。国税庁の改正通達と適用時期の公表を確認してください。

会社が小さければ配当還元方式ですか?

会社規模だけでは決まりません。取得する株主の区分などを確認します。

見直し前に贈与すると必ず有利ですか?

断定できません。現在の贈与税、承継方針、納税資金も含めて比較する必要があります。

まとめ

非上場株式の評価見直しは、方式間の評価差、会社規模、配当還元を軸に読むと論点を整理できます。先に行うべきなのは、新制度を推測した贈与ではなく、現在の株主区分・評価額・納税資金の確認です。顧問先との承継方針の整理には、事業承継支援システムの案内もご活用ください。

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