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税理士の業務はAIでいらなくなる?税理士がAIを活用する方法を解説

税理士の業務はAIでいらなくなる?税理士がAIを活用する方法を解説

税理士の業務は進化したAIで代替可能となるといわれています。AIの進化によって多くの業務が自動化される時代においても、会計事務所がAIを活用することで顧問先から選ばれ続けることが可能です。

本記事では、AI時代に税理士がAIを活用して生き残る方法を解説します。

AIの進化で税理士の業務がいらないといわれる理由

AIの進化で税理士の業務がいらないといわれる理由

AIで税理士の業務がいらなくなるといわれる根拠として次の2つがあげられています。

論文の影響

世界的に有名となった論文『THE FUTURE OF EMPLOYMENT』(雇用の未来)があります。この論文は、機械学習で著名な教授Michael Osborne(マイケル オズボーン)が2013年9月に発表しました。

702職種についての『Computerisable』(AIによる代替が可能な確率)を記載しており、税務・会計に関する主な職種はAIにより代替すると主張されています。

  • Tax Preparers(確定申告代行者)99%
  • New Accounts Clerks(新規の会計係)99%
  • Data Entry Keyers(データ入力係)99%
  • Bookkeeping, Accounting, and Auditing Clerks(簿記、会計、監査の担当者) 98%
  • Payroll and Timekeeping Clerks(給与支払い事務の担当者)97%

【引用】『THE  FUTURE OF EMPLOYMENT』|Michael Osborne

IT先進国の例

東欧のIT先進国であるエストニアが事例としてあげられています。エストニアにおいては、マイナンバー制度の浸透、簡素な税制、行政手続きの全面的なIT化によって、税理士という職業がほとんどなくなったといわれています。

AIで不要となる業務、AIの進化でも必要な業務

AIで不要となる業務、AIの進化でも必要な業務

税務・会計分野においては、既に会計システムの浸透や電子帳簿保存法など、税務・会計の定型的な業務のIT化が進んでいます。

データ処理を得意とするIT化に加えて、人間の判断を模倣するAIの機能向上により税務相談などのニーズが縮小すると予測されていますが、それでもなお必要とされる業務があります。

AIの進化で不要となる定型的な業務

AIが得意とする作業は、定型的あるいは単純な作業です。

具体的には、平易な記帳代行、単純な財務分析、ビッグデータの分析などです。

AIの進化でも必要とされる業務

AIが不得意とする作業は今後も必要とされます。AIが不得意な作業とは、開発、発想、複合的な解釈、そしてAIそのものを開発運用する作業です。

具体的には、複雑な税制や文言の解釈、多面的な提案、コミュニケーションが求められる作業、税制改正にあわせたAIの再設定などです。

ChatGPTは税理士に勝てる?

ChatGPTは税理士に勝てる?

AIの進化の1つとして『ChatGPT』があります。ChatGPTとは人間との会話により近い対話が可能な人口知能チャットボットのことです。

ChatGPTは次のメリットがあり、急速に普及しています。

  • 誰でも簡単に、無料で使用
  • インターネットから高速での情報収集
  • 会話に近い文章の自動作成

正確さは不足

メリットがある一方で、次のデメリットも指摘されています。

  • 情報の正確さが不充分
  • 質問の意図を汲むことができない
  • 不明確な質問に対しては誤った回答がある

ChatGPTはインターネットから情報を自動収集し、文章を生成します。収集した情報の正確さを判断する水準は高くありません。

急速に進化する可能性

ChatGPTの回答水準は今後急速に改善するといわれています。機能向上に伴い、簡単な税務上の質問などはAIに代替される可能性があります。

税理士がAI、ChatGPTを活用する方法

税理士がAI、ChatGPTを活用する方法

会計事務所においてもAIやChatGPTを活用することで業務を効率化できます。

単純作業はAI、付加価値業務は税理士

AIが効率的におこなう作業と人間がおこなう作業を分担します。
AIで定型業務を効率化し、余裕ができた時間を活用して付加価値が高い業務に集中することができます。

AIが行う作業とは次の例です。

  • 領収書の画像読み込み
  • 単純な仕訳切り

AIでは不十分な作業や対応できない業務は税理士が対応します。

  • 判断が必要となる業務(飲食代を計上する勘定科目の選定など)
  • 税務に関する相談における対応
  • 税制改正における対応
  • 顧問先の税務、経営に対する助言、支援

AIの進化で税理士が求められるスキル

AIの進化に伴い、税の専門家としての業務を見直す必要があります。AIを活かしつつ活躍する税理士に必要となるスキルは次のとおりです。

  • AIを使いこなす能力
  • AIで対応できない想像力、思考力
  • 対面コミュニケーション能力

AIを活用する業務

データの読み込みや自動仕訳などの機能がある会計システムが既に提供されています。記帳代行業務で負担となる領収書の読み込み、仕訳切りなどが自動化されています。

また顧問先からの領収書の徴求、画像データ化、データの保管、顧問先への不足資料の依頼まで丸ごと委託するサービスも登場しており、事務所の定型業務を大幅に削減することができます。

ChatGPTの活用は情報収集と文案作成

会計事務所がおこなう本業支援業務においてもAIを活用できます。AIの特徴は情報の自動収集、文章の自動生成であるためです。

例えば次の業務においてはAIの活用が可能です。

  • 顧問先の業務内容、業界知識の収集
  • 税法に関する単純な回答
  • 補助金申請書類の文案

例えば、はじめて担当する顧問先に関するポイントを簡単に絞り込むことができます。

ChatGPT活用例

AIが生成した文章は不十分あるいは不正確な情報が含まれることが珍しくありません。また上記の例のように不明瞭な回答となることも多くありますが、文章のアウトラインは効率的に作成できます。

AIの活用は、AIが作成した文章を基礎に、信頼できる情報源を確認したうえで修正する方法で効果を生みます。

顧問先から選ばれる会計事務所となるために

顧問先から選ばれる会計事務所となるために

顧問先のIT化やAIの進化に伴い、税務・会計事務所に対するニーズは税務や経営へのアドバイスへと変わっていきます。

複雑かつ高頻度に改正される税制や条文を解釈し、顧問先の感情を汲み、個別の提案ができる専門家は今後も必要とされます。顧問先から頼りにされる事務所となるためのポイントは次の3点です。

定型業務の削減

領収書の収集や平易な仕訳などを効率化することで業務時間を削減できます。

事務所としてやるべきこと、やらなくてもいいことを取捨選択し、業務フローを見直し、顧問先の自計化水準の向上、記帳代行業務のアウトソースなどをおこないます。

事務所スタッフのレベルアップ

余裕が生まれた時間を活用して、顧問先への本業支援など付加価値が高い業務を推進するために事務所スタッフを育成します。

税理士事務所のスタッフ向けに、補助金や助成金の申請書類を作成支援するカリキュラムや財務分析ノウハウを身に付ける研修などを提供している会社もあります。

高付加価値サービスの拡充

顧問先への本業支援サービスを拡充します。財務改善アドバイスや資金調達への支援、補助金や助成金申請への支援などです。

補助金の一部においては認定支援機関の関与が必須とされているため、認定を得て実績を積むことがおすすめです。

経営革新等支援機関推進協議会が事務所の高付加価値化をサポート

税理士などの会計事務所の本業支援業務の推進は、株式会社エフアンドエムが提供するサービスである経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。

経営革新等支援機関推進協議会は本業支援業務を推進するためのサービスが月額30,000円(税抜)で利用でき、1,699事務所が参加しています。(2023年6月現在)。

新人スタッフも即戦力化できる財務分析ツール、補助金申請書類の作成のサポートなどのサービスが、事務所の高付加価値化をサポートします。

まとめ

働き方改革、インボイスや電子帳簿保存法改正における対応など、会計事務所も生産性の向上が必要です。事務所の生産性を向上させるためには、AIを活用することで定型業務を削減し、付加価値が高いサービスを強化します。

生産性が高い事務所においては、業務フローの見直しとアウトソーシングの活用で業務時間を削減し、生まれた時間を事務所スタッフのスキルアップと高付加価値業務の拡充に取り組んでいます。

事務所の経営のお悩みは、経営革新等支援機関推進協議会にお気軽にご相談ください。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。