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【2023年10月】インボイス開始!税理士事務所から顧問先への説明ポイント8選

【2023年10月】インボイス開始!税理士事務所から顧問先への説明ポイント8選

2023年10月1日からインボイス制度が始まり、顧問先・税理士事務所ともに事務作業が急増します。2024年1月から義務化される電帳法における対応を含めて、顧問先の業務フローを再確認しましょう。

本記事では、顧問先における事務作業の説明ポイントをまとめて解説します。

インボイス制度における最近の改正点まとめ(2023年度税制改正関係)

2023年度税制改正に伴う改正は次の4点です。

登録制度の見直し

適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録について、3点の見直しがなされました。

  1. 登録通知書が間に合わない場合の取扱いの明確化
    2023年9月30日までに登録申請書を提出した場合、10月1日までに登録通知が届かなくとも、2023年10月1日に登録を受けたものとみなされます。
  2. インボイス発行事業者の登録期間の延長
    2023年10月2日以降もインボイス発行事業者の登録が可能です。
    登録申請書に登録希望日(提出日から15日以降の希望日)を記載し、その登録希望日から登録されたものとみなされます。
  3. 登録または取消しの申請期限の明確化
    登録または取消しの申請期限は、翌課税期間の初日から登録(または取消し)する場合、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までとなりました。

2割特例

免税事業者がインボイス発行事業者となった場合、仕入税額控除の額を売上税額の8割とする特例です。この特例措置の内容は次のとおりです。

  • 基準期間の売上高が1,000万円以下のインボイス発行事業者が対象
  • 事前の届け出は不要。消費税の確定申告書に2割特例の適用を付記するのみで適用
  • 業種にかかわらず、売上税額の一律20%が納付額
  • 一般課税、簡易課税を問わず適用可能
  • 特例措置の期間は2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属するそれぞれの課税期間
  • それぞれの課税期間ごとに2割特例を適用するか判断可能

少額取引

課税仕入金額が税込1万円未満の場合は、帳簿のみでインボイスの保存が不要です。この特例の内容は次のとおりです。

  • 基準期間の課税売上高が1億円以下、または前事業年度の開始の日以降6か月間での課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象
  • 課税仕入のうち2023年10月1日から2029年9月30日までの取引が対象
  • 1回の課税仕入金額が税込1万円未満である
  • 免税事業者からの仕入についても適用可能
  • 帳簿の保存は必要。『経過措置(少額特例)の適用』などの記載は不要。

少額な返還インボイスの交付義務免除

売り手側が負担する振込手数料など、1万円未満の返品や売上の値引きについてのインボイスが発行不要となりました。1万円未満の判定は商品ごとではなく、取引ごとの減額金額によります。

なお顧問先が売り手負担の振込手数料を支払手数料などで経費処理している場合においても、消費税法上は対価の返還(売上の値引き)として取り扱うことができます。この時は帳簿に適用税率や対価の返還としての記載が必要です。

【参考】消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(2023年4月改訂)|国税庁

インボイス発行者(売り手)側である顧問先への説明ポイント5点

インボイスの発行者として顧問先がおこなう作業について、以下の点についても説明すると効果的です。

登録番号の確認

登録申請後、顧問先に登録番号を確認してもらうとともに、事務所でも確認します。その際、次の点について注意を促しておくと効率的です。

  • 税理士事務所への『登録番号通知書』の写しの提出
  • インボイスとする証憑に表示している登録番号の確認
  • 登録番号通知書は原則として再発行されない
  • 取引先への登録番号の通知
  • インボイス発行までに登録番号通知が間に合わない場合の顧問先でのルール決め

登録番号通知が間に合わない場合の方法として次の3つが考えられます。

  1. 登録番号の通知後にインボイスを発行
  2. 登録番号がないインボイスを発行し、後日に差し替え
  3. 登録番号がないインボイスを発行しておき、後日、該当する請求書が特定できる情報と登録番号を紐付けした書面を取引先へ送付

インボイスとして発行する書類の選定

インボイスは必要事項が記載されていればよく、請求書や領収書などのいずれでも可能です。また1つの書類でなく、請求書と納品書のセットでインボイスの記載事項を充たす方法もあります。

適格請求書の必要記載事項

インボイスとして求められる記載事項を充たしていることを顧問先に再確認してもらいます。

記載事項をチェックする体制

顧問先が使用するインボイスについて、発行時に記載内容をチェックする責任者を決めてもらいましょう。
上記の例のように、請求書(経理)と納品書(営業)など複数の書類をもってインボイスとする場合は部署を跨ぐ可能性があるため、最終確認者を決めておくことが望ましいです。

発行、保存の業務フローの見直し

顧問先がインボイスを発行し保存する業務フローを点検してもらいましょう。

  • 発行、再発行

発行と記載内容を確認する担当者を決めてもらいます。

またインボイスに誤りがあった場合は、発行者からの再発行が必要です。インボイス制度開始後は請求書を受領した側での修正や追記が認められないためです。

  • 仕訳、会計データの設定

インボイス制度開始後は消費税区分が複雑化します。顧問先における仕訳や会計ソフトのフラグ設定を事前に確認してもらいます。また経過措置の適用など帳簿への記載事項についても再確認してもらいましょう。

  • 保存

インボイス発行者は控えを7年間保存する義務があります。また電子取引の場合は電子帳簿保存法における対応も必要です。顧問先における保存方法を再確認しましょう。

インボイス受取人(買い手)側となる顧問先への説明ポイント3点

インボイス受取人(買い手)側となる顧問先への説明ポイント3点

顧問先がインボイスを受け取る場合の説明ポイントは次の3点です。
インボイス制度の開始後は、インボイスを受け取る側における事務の増加が顕著です。消費税の申告に影響するため、顧問先によく理解してもらう必要があります。

請求書、領収書の受領時における確認

インボイスを受領する時の顧問先内での主な注意点は次のとおりです。

  • インボイスが必要な取引金額

支払額1万円以上の場合は原則としてインボイスが必要です。従来の3万円と異なるため、顧問先内でのルールを再確認してもらいます。

  • インボイス受領時の確認者と確認すべき内容

 請求書、領収書などを受領するごとに、下記の事項の確認が必要です。

 ・インボイス発行事業者の登録番号
 ・インボイスの記載要件
 ・消費税の税率と端数処理

インボイス発行事業者の登録は取消しが可能です。このためインボイスを受領するごとに登録番号が有効であるか確認する必要がありますが、現実的には難しいです。初めての契約時と継続中は年1回など顧問先内で確認作業をおこなう頻度と責任者を決めておく必要があります。

  • 再発行の依頼と管理

受け取ったインボイスに誤りがあった場合、発行者へ再発行を依頼するとともに、受領までの管理も必要です。

適格請求書とそれ以外の請求書の仕分け

証憑ごとにインボイスとそれ以外に仕分けする作業が発生します。

インボイス制度開始後は、次のように取引に応じた領収書類の仕分けが必要となります。

  • 領収書の保存が不要(帳簿のみでよい)
  • インボイス
  • 免税事業者からの領収書
  • インボイスが必要だが不適切なもの(記載誤りや受領した側での修正があるものなど)

また、インボイス制度導入に伴い消費税区分が複雑化し、会計システムのフラグにミスが発生する可能性が高まります。消費税区分、消費税率や端数処理、1インボイス記載の取引を複数の勘定科目で仕訳する時の端数処理など、経理担当者が惑わないよう細かな点についても顧問先と確認しましょう。

紙の保管と電子データでの保存

インボイスは7年間の保存義務があります。また改正電子帳簿保存法における対応も必要となるため、顧問先内での保存方法をあらかじめ決めておく必要があります。

税理士事務所における顧問先への対応ポイント

税理士事務所における顧問先への対応ポイント
コロナ借換保証制度でコロナ融資の対策を!税理士提案ポイントとは

インボイス制度開始に伴い、顧問先と事務所で相談しておくべきポイントがあります。

免税事業者である顧問先の方針

免税事業者である顧問先については、今後の方針を検討してもらいましょう。
当面は「免税事業者のまま」「課税事業者へ転換」「免税事業者のままとして、必要となる時に課税転換」の3通りの方針が考えられ、それぞれメリットデメリットがあります。

2割特例の適用期限である2026年9月30日までの日の属する課税期間が終了するまでに、顧問先の方針を決めることがおすすめです。

顧問先と事務所での業務の分担

インボイス制度において確認すべき事項は膨大となり、すべてを税理士事務所が確認することは困難です。

顧問先と事務所のそれぞれでおこなうべき作業の範囲を事前に取り決めておきましょう。

顧問料の見直しまたは自計化の案内

顧問先との作業分担を検討すると同時に、必要に応じて顧問料の見直しを相談しましょう。

顧問先によっては、会計システムの更新とともに自計化を検討できます。

経理事務が負担となる顧問先については、事務所での記帳代行をアウトソーシングすることも検討可能です。
紙の領収書を郵送するだけで記帳処理を代行するサービスであれば、顧問先と税理士事務所の両方の事務負担を大きく削減することができます。

インボイス対応は事務所のサービス拡充の契機

インボイスに関する事務の助言とあわせて顧問先への提案を強化することで、事務所の本業支援業務の拡充につなげることが可能となります。

  • 免税事業者からインボイス発行事業者となる顧問先は『小規模事業者持続化補助金』

課税転換対策として販路開拓に力を入れる小規模事業者が対象です。補助率は最大4分の3、補助上限額は最大250万円です。
【参考】インボイス制度への対応に取り組む皆様へ各種支援策のご案内|中小企業庁

  • 取引数が多い顧問先のDX化は『IT導入補助金』

IT導入補助金のデジタル化基盤導入類型は、会計システムのほかPCなどが対象です。補助率は最大4分の3以内、補助上限額は最大350万円です。
【参考】IT導入補助金2023|IT導入補助金 後期事務局

顧問先の一部と事務所における事務負担を軽減する提案も可能です。

  • 紙の証憑が主である顧問先は記帳代行サービスへのアウトソース

事務所で記帳代行している顧問先については、会計事務所向けの記帳代行サービスへのアウトソースを検討します。
「紙の証憑を郵送するだけ」「仕訳数にかかわらず定額制」など 事務所の業務を大幅に軽減することができる記帳代行サービス『おくるダケ記帳』も登場しており、検討することが可能です。

おくるダケ記帳

まとめ

インボイス制度は顧問先、事務所ともに事務作業が増大します。消費税額の計算にかかわるため、顧問先における適切な作業と事務所からのサポートが必要です。

インボイス対応と人手不足で繁忙が続く会計事務所では生産性の向上を図るとともに、生まれた時間を活かした顧問先への提案などによる付加価値化が求められています。

会計事務所の生産性向上は経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。

協議会は上記の『おくるダケ記帳』だけでなく、スタッフを即戦力化する研修サービス『ACADEMY』など、会計事務所の生産性と付加価値向上を通じた差別化を図るためのノウハウやツールを月額30,000円(税抜)で提供しています。

会計事務所の生産性向上と本業支援業務の拡充などによる差別化の取り組みは、経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。