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中小企業への資金繰り支援が終了!2024年7月以降の資金繰り対策とは

中小企業への資金繰り支援が終了!2024年7月以降の資金繰り対策とは

中小企業向け資金繰り支援策が7月から変更されました。
政策の重点が資金繰りから経営改善へと変わったため、中小企業は自ら資金繰りを改善することが求められます。

本記事では2024年7月以降に使える中小企業向け支援策の活用法と、資金繰り改善策について解説します。

コロナ対策の中小企業向け資金繰り支援は12月で終了予定

コロナ禍の影響を受けた中小企業への資金繰り支援策が、相次いで縮小されます。コロナ借換保証は6月末に廃止され、日本政策金融公庫などが取り扱っている国のコロナ資本性劣後ローンは、12月末までの延長となりました。
2024年3月に経済産業省が公表した、資金繰り支援策の見直しスケジュールをまとめると次のとおりです。

コロナセーフティネット保証4号【2024年6月終了】

コロナ禍で売上高が減少している中小企業を認定するセーフティネット保証4号は、2024年6月に原則として終了しました。
例外として、能登半島地震の影響を受けている地域においてのみ、災害セーフティネット保証4号が継続されています。

コロナ借換保証【2024年6月終了】

銀行など民間金融機関からのゼロゼロ融資を借り換えできるコロナ借換保証制度についても、2024年6月30日に原則として終了しています。

ただし能登半島地震の影響を受けている石川県内の企業についてのみ、2024年12月31日まで申し込み受付が可能となっています。

経営改善サポート保証【2024年12月終了予定】

経営改善サポート保証(感染症対応型)とは、経営サポート会議などの支援を受けて経営改善計画を策定した企業を対象に、最大2億8,000万円(別枠)の保証協会保証付きの借入が可能となる制度です。
取り扱い期限は2024年12月31日までとなっています。

コロナ特別貸付【2024年12月終了予定】

日本政策金融公庫などが取り扱っている国のコロナ融資が見直しされ、7月以降は金利引き下げ幅が縮小されました。取り扱い期限は2024年12月31日までです。

コロナ資本性劣後ローン【2024年12月終了予定】

コロナ資本性劣後ローンは日本政策金融公庫などが取り扱っている、期限一括返済型の制度融資です。コロナ禍の影響を受けて借入が増えた中小企業向けに創設されましたが取り扱い期限は2024年12月31日となっています。

2024年7月以降の資金繰り支援制度は「経営改善」「再生支援」に重点

政府は2024年7月以降の中小企業支援の重点を、コロナ禍の影響からの「経営改善」と「再生支援」としています。
ゼロゼロ融資の利用などで増加した借入の返済に悩む中小企業の財務体質改善を支援するため、次の5つの政策が打ち出されました。

信用保証協会による支援の強化

信用保証協会が主体的に中小企業を支援する能力の拡充が打ち出されました。主な内容は次の2点です。

  • 中小企業活性化協議会や事業承継・引継ぎ支援センターとの連携強化
  • 事業者選択型経営者保証非提供制度(保証料上乗せにより経営者保証なしとする制度)の活用

中小企業活性化協議会の支援強化

中小企業活性化協議会とは収益力の改善などの取り組みをサポートする公的な機関です。主にリスケ(返済軽減)が必要な状態となっている中小企業の再生計画作成や、金融機関との調整をおこないます。
2024年3月からは、よろず支援拠点や事業承継・引継ぎ支援センターとの連携強化、事業再生支援人材を確保する制度が設けられました。

中小企業向け再生ファンドの活用

中小企業向けに事業再生支援や投融資をおこなう再生ファンドが拡充されました。
中小企業再生ファンドについてはなじみがない経営者が多いですが、主要な再生ファンドが投資している企業のうち、63%が売上高10億円未満の中小企業です。

民間金融機関からの支援の強化

銀行など民間金融機関が中小企業の改善をサポートする機能の重視が掲げられました。

また2024年2月から『民間金融機関による早期経営改善計画策定支援』が開始されています。この制度では、認定経営革新等支援機関である金融機関の支援を受けて経営改善計画を策定する場合、計画策定支援費用の3分の2、最大15 万円が補助されます。

「社保」「税金」滞納倒産を避ける!?事業再生情報ネットワークの創設

事業再生情報ネットワークとは、税金や社会保険料を滞納している中小企業における再生計画を、年金事務所や税務署などと情報共有する仕組みのことです。急増している“社保倒産”を避けることが期待されています。

資金繰り支援策の利用は今すぐ検討【取り扱い期限は2024年12月まで】

中小企業向け資金繰り支援策が縮小された2024年7月以降は、12月まで延長されている支援策の活用を検討しましょう。
延長されている支援策2つの活用法は次のとおりです。

経営改善サポート保証による借換

経営改善サポート保証とは、金融機関などと事業計画を作成することで保証協会保証付きの借入が円滑となる制度です。6月末に廃止されたコロナ借換保証制度よりも限度額が高額であり、コロナ融資の借換などに利用できます。コロナ借換保証と比較した制度概要は次のとおりです。

コロナ資本性劣後ローンの借入

資本性劣後ローンは日本政策金融公庫などが取り扱っている国の制度融資の1つです。

借入期間中は利息の支払いのみである、コロナ融資の借換に利用できる、などのメリットがあります。

資金繰りを抜本的に見直すために経営者へ提案したいこと

資金繰りは会社の資金の出入りを見直すことで改善することが可能です。
抜本的な資金繰り改善方法を見つけるために、顧問先の経営者へ提案したい簡単なチェックポイントは次のとおりです。

資金繰り改善のヒントは「利益-返済」

まず、次の計算から顧問先へ説明してみましょう。

資金繰り改善のヒント

(利益+減価償却費)―借入金返済

プラスの場合:企業に残るお金で返済できています。

マイナスの場合:企業に残るお金では借入金返済に追い付かず、常に追加融資が必要な状態となっています。

資金繰り表の作成で改善策を見つける

資金繰りを改善させるために、資金繰り表の作成がおすすめです。

顧問先におけるお金の出入りを整理することで、なぜお金が残らないのかを客観的に把握することが可能です。

資金繰り表を作ったことがない、資金繰り表の見方がわからない顧問先に対しては資金繰り表作成を提案しましょう。

融資の審査期間は平均1か月?資金ショートする前に打ち手を検討

資金繰りを見直すと借入が必要となる時期がわかります。追加で借入するときであってもすぐに融資が実行されるとは限りません。

中小企業庁が発表した資料によると、借入を申し込みしてから融資が承諾されるまでの審査期間の平均は、およそ1か月となっています。

資金ショートで黒字倒産あるいは緊急融資を申し込みする事態となる前に、余裕をもったスケジュールでの借入申し込みを提案しましょう。

資金繰り改善策は新規借入・借換・リスケ

資金繰りを改善させる方法は新規の借入だけでなく、借換やリスケ(リスケジュール)などの方法があります。それぞれの主なメリットデメリットは次のとおりです。

新規借入のメリットデメリット

メリットデメリット
追加の資金を調達できる借入と返済額が増える

借換のメリットデメリット

メリットデメリット
・借入が増えない
・同時に追加の借入することができる
・借り換えすることで返済額が少なくなり、負担が軽減する可能性がある
・返済期間が延びることで支払い利息が増える可能性がある

リスケのメリットデメリット

メリットデメリット
・借入を増やさずに元金返済を減らすことができる・返済期間が長くなり、利息の支払総額が増えることがある
・追加での借入が難しくなることが多い

資金繰り改善提案は協議会がワンストップでサポート

コロナ禍対応としての資金繰り改善策が相次いで廃止され、2024年12月まで継続されている支援策についても延長されるかどうかは不透明です。

顧問先は自ら資金繰りを見直し、経営を継続するために打ち手を実行することが求められます。

顧問先への資金繰り改善提案は、全国1,700以上の会計事務所が参加する経営革新等支援機関推進協議会がトータルでサポートします。

例えば協議会が提供する財務分析ツール『F+prus』(エフプラス)であれば、決算書に基づく財務分析・資金繰り改善シミュレーション・事業計画生成までをパッケージで提案可能です。

企業財務診断報告書
借り換えによる資金繰りシミュレーション

税務会計を中心に周辺業務対応による顧問先へのワンストップサービスの実現を目指す会計事務所さまは協議会へお気軽にご相談ください。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。