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コロナ借換保証制度でコロナ融資の対策を!税理士提案ポイントとは

コロナ借換保証制度でコロナ融資の対策を!税理士提案ポイントとは

コロナ関連融資(民間ゼロゼロ融資)の元金返済がこれから本格化します。人手不足、物価高など厳しさを増す事業環境の中で元金返済が増えるため、資金繰りが厳しくなる顧問先が増加する可能性があります。
本記事では、顧問先の資金繰り改善に有効な『コロナ借換保証制度』を税理士が提案する時のポイントを解説します。

コロナ借換保証制度の概要とシミュレーション

コロナ借換保証制度の概要とシミュレーション

コロナ関連融資の実績は約318万件、約60兆円(政府系融資の約111万件、約21兆円と、信用保証協会保証実績の約207万件、約39兆円の合計。2022年12月末時点)が供給され、多くの企業で負債が増加しました。
【参考】2022年において講じた中小企業施策|中小企業庁

コロナ関連融資により借入金が増加した中小企業への支援策として『コロナ借換保証制度』があります。

コロナ借換保証制度の概要

コロナ借換保証制度の概要

『コロナ借換保証制度』は、民間金融機関によるゼロゼロ融資を信用保証協会の保証付き融資で借り換えることができる制度です。概要は次のとおりです。

  • 制度上限額が1億円と高額(民間ゼロゼロ融資上限額である6,000万円を超える)
  • 保証期間は最大10年間、据置期間は最長5年間
  • 保証料率が原則0.2%から
  • 売上が増加していても利益率が5%以上低下している場合は対象
  • 経営行動計画書の提出が必要
  • 利用後5年間、金融機関の伴走支援が条件

【引用】コロナ借換保証を開始します|中小企業庁

コロナ借換保証制度は返済期間と据置期間を長く設定できるため、借り換え後の元金返済額を抑えることができます。

コロナ借換保証制度の活用例

コロナ借換保証制度を利用する際のシミュレーションは以下のとおりです。

【シミュレーション例】ゼロゼロ融資3,000万円を4,000万円で借り換えした場合

(単位:万円)当初
借入
元本
現在
借入
残高
元金
返済
(1年目)
元金
返済
(2年目)
元金
返済
(3年目)
現状:コロナ融資
(期間8年間。当初3年据置後、5年間で返済)
①コロナ融資3,0003,000ー600ー600ー600
コロナ借換保証
(期間10年間。当初2年据置後、8年間で返済)
①コロナ融資3,000(完済)000
②コロナ借換保証4,0004,00000ー500
追加資金調達1,000    
元金返済削減効果  600600100

上記の場合は下記の3つを同時におこなうことができます。

  • 追加で1,000万円を資金調達
  • 据置期間を設け、当面の元金返済年600万円を削減
  • 融資期間を長期とし、元金返済を年100万円軽減

コロナ融資(ゼロゼロ融資)の返済開始はこれからがピーク

コロナ融資(ゼロゼロ融資)の返済開始はこれからがピーク

コロナ融資(ゼロゼロ融資)を利用した企業のうち34%の企業が、これから元金返済の開始時期を迎えます。

コロナ融資の返済開始は2023年夏以降に本格化

ゼロゼロ融資利用企業の返済状況は次のとおりです。

ゼロゼロ融資利用企業の返済状況
ゼロゼロ融資利用企業の返済状況

【参考】中小企業政策審議会金融小委員会(第10回)事務局説明資料|中小企業庁より作成

民間金融機関のコロナ融資(ゼロゼロ融資)の返済開始のピークは、2023年7月に49,527件、2024年4月に51,423件といわれています。(2023年3月末時点)

コロナ関連融資の返済ピーク

なお2023年7月に返済開始を予定している49,527件は、2022年3月末時点の51,628件から4.1%の減少です。同じく2024年4月予定の51,423件についても、同時点における52,480件と比較して2.0%の減少に留まっています。
これから返済対策が必要となる顧問先が増える可能性があります。

【引用】中小企業政策審議会金融小委員会(第10回)事務局説明資料(2023年6月29日)|中小企業庁金融課

【参考】中小企業政策審議会金融小委員会(第7回)事務局説明資料(2022年11月1日)|中小企業庁金融課

コロナ借換保証制度の利用状況

コロナ借換保証制度の利用実績は次のとおりです。(制度開始日2023年1月10日から2023年6月23日までの速報値)

  • 利用実績件数(保証承諾件数)累計53,139件
  • 利用実績金額(保証承諾金額)累計1兆3,407億円
  • 金額別(保証承諾金額)構成比
保証承諾金額構成比
5,000万円以下81.1%
5,000万円超1億円未満17.2%
1億円1.7%

【引用】中小企業政策審議会金融小委員会(第10回)事務局説明資料(2023年6月29日)|中小企業庁金融課

これから元金返済を開始するゼロゼロ融資利用企業数457,517件(2023年3月末時点)と比べると、今後、利用を検討すべき企業が多いことがわかります。

コロナ借換保証制度を提案する時のポイント

コロナ借換保証制度は企業にとってメリットが多い制度です。資金繰りに悩む顧問先への提案を積極的に検討しましょう。

コロナ借換保証制度を提案すべき顧問先

積極的に提案したい顧問先のイメージは次のとおりです。

  • 簡易キャッシュフローを上回る元金返済の軽減が必要
  • 直近1か月間の売上高総利益率(または営業利益率)が前年同月または直近決算と比較して5%以上減少しているなど利益率が低下
  • 経営行動計画書の作成に協力的
  • 顧問先自身と取引金融機関が伴走支援に協力的

コロナ借換保証制度を提案する時の注意点

税理士として顧問先へ提案する時は次に注意します。

  • 借入金の明細と利用している保証制度
    現状での返済を継続したほうが良い借入があります。顧問先が詳細を把握していない場合も多いため金融機関への照会が必要なこともあります。
  • プロパー融資の金利条件
    財務面が良好な顧問先はプロパー融資の金利のほうが安い場合があります。
  • 無利子ではない、利子補給の返戻が発生することがある
    借換保証による新規借入は無利息とはなりません。
  • 信用保証協会保証付きの借入の延滞歴
    コロナ借換保証制度であっても、そのほかの保証制度と同じく保証料の支払能力や過去の返済履歴を含めて審査されます。
  • コロナ借換保証制度利用後、5年間の伴走支援への協力意思

  伴走支援は顧問先から取引金融機関への業績説明が必要です。

  • 保証料率が0.2%とは限らない

セーフティネット保証認定やCRDスコアによって保証料率が変わります。

(愛知県信用保証協会の例)

【引用】伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)|愛知県信用保証協会

また横浜市など地方公共団体が独自に保証料を補助する場合があります。

(横浜市信用保証協会の例)

【引用】伴走型経営支援特別資金|横浜市信用保証協会

コロナ借換保証制度を最大限活かすポイントは「超長期の融資期間」と「長期の据置期間」の設定です。これらを金融機関側から見ると審査がより難しくなるうえ、伴走支援が負担となります。

顧問先にとって有利な条件で金融機関からの合意を得るためには次の3点が必要です。

  • わかりやすく、整合的な事業計画
  • 無理のない資金繰り(返済)の見通し
  • 的確で具体的、モニタリングが可能なアクションプラン

税理士から顧問先へ提案する時は上記の点を税理士がサポートすることが好ましいことを丁寧に説明することがおすすめです。

経営行動計画書の作成を支援

経営行動計画書は見開き1枚の簡素な様式です。

経営行動計画書サンプル

【引用】経営行動計画書のサンプル|中小企業庁

経営行動計画書の作成は税理士の関与が望ましいです。計画書に以下のポイントを網羅した記載が求められるためです。

  • 事業内容と課題について、的確でわかりやすい記載
  • 課題の解決と整合的である具体的なアクションプラン
  • 合理的、実現可能な収支計画、返済計画

「事業内容」は具体的に記載します。記載例の『自動二輪車販売』であれば、新車・中古車の売上割合、品揃えの特色、整備の有無などを盛り込みます。

「課題と具体的なアクションプラン」は整合的とします。記載例の『新規顧客への営業強化』であれば、例えば「半径20キロメートル以内の大学生向けにチラシを頒布する」など、具体的な方法を追加します。

「収支計画と返済計画」については実現可能な水準とします。利用後に金融機関を通じて保証協会へ報告する必要があります。

資金繰り改善の提案は『借換』『追加融資』、最後に『リスケ』

資金繰り改善の提案は『借換』『追加融資』、最後に『リスケ』

顧問先の資金繰りを改善する方法は「借換」「追加融資」、そして「リスケ」の3つです。それぞれメリットデメリットがあるため、顧問先に最適な方法を提案します。

 メリットデメリット
借換返済金額の軽減が可能です
借入金が増えません
同時に追加融資も可能です
金融機関の審査が必要です
追加融資金利が低いケースもあります金融機関の審査が必要です
借入金と返済金額が増えます
リスケ返済金額の軽減が可能です追加融資は困難となります
債務者区分が下がります

借入金を増やさずに元金返済負担を軽減できる「借換」を優先的に検討し、提案しましょう。

顧問先への提案は経営革新等支援機関推進協議会がサポートします

顧問先への資金繰り改善提案の拡充は、事務所の受注増加につながります。一方で事務所スタッフのマルチタスク化や教育訓練が必要となります。

税理士事務所における本業支援業務の拡充は、経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。

協議会は顧問先への補助金・財務支援をおこなうために必要なサービスを一気通貫で提供(月額30,000円(税抜))しており、1,699事務所が利用しています。(2023年6月時点)

協議会おすすめのサービス
  • 顧問先の資金調達環境を最適化するための財務支援システム『F+prus』
    CRDスコアに準拠した財務分析、コンサルティング内容の自動抽出、事業計画書や資金繰り予測の生成まで、新人スタッフも即戦力化できるパッケージです。
  • 事務所スタッフの教育訓練をまるごと体系化『ACADEMY』
    補助金・公的制度や金融・財務を1から学べる実践型カリキュラムを提供しています。
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まとめ

コロナ借換保証制度は長期の融資期間と据置期間が認められるなどメリットが多い公的支援策です。
また税理士にとっても、計画書の作成やモニタリングを受注しやすく、事務所の差別化につながります。

原料高による利益率の低下やコロナ融資の返済開始に伴い資金繰りが悪化している顧問先を中心に、資金繰りを改善する提案を積極的に検討しましょう。

顧問先への財務改善支援や本業支援業務拡充のための事務所の生産性向上のお悩みは、経営革新等支援機関推進協議会にご相談ください。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。