2022年には各業界に原材料高騰の波が押し寄せています。
原材料高騰で経済にマイナスの影響を受けつつも、価格転嫁せずに耐え忍んでいる企業も少なくありません。
顧問先がこのような状況にある場合、会計事務所ではどのような支援ができるのでしょうか。
本記事では、価格高騰の概要や、企業の影響状況(データ)、顧問先にできる支援策を解説します。
目次
【2022年】原材料高騰の理由とは
原材料の高騰が、企業経営にダメージを与えています。
2022年には、食料品からティッシュペーパー、タイヤ、ガソリン、銀歯まで多岐にわたる商品が値上がりしています。
特に食料品の値上げは深刻で、農林水産省のデータによると、「小麦加工品・大豆加工品」や「油脂・調味料」の小売商品価格は、2022年に入って大きく変動。
下図では、小麦粉や食用品(なたね油)の上昇率が目立っています。
なぜ、原材料高騰が起こっているのでしょうか?
理由として、「新型コロナウイルス」「ロシアのウクライナ侵攻」「気候変動」「急速な円安」とさまざまな要因が挙げられます。
例えば「気候変動」による干ばつで、アメリカやカナダなどの小麦が減産し、需要に対して供給が追いつかず、値上がりしました。
それぞれの要因が複雑にからみ合い、各品目の高騰につながっていると考えられます。
しかし、値上げ解消の時期は予測しづらいため、関連する国内企業は、早急な対策を講じなければなりません。
原材料高騰で経営にマイナス影響のあった企業は9割超
東京商工リサーチの調査によると、「原油・原材料の高騰によって、経営にマイナスの影響はあったか?」という質問に対し、企業は以下のように回答しています。
「影響を受けている(68.65%)」、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる(24.36%)」と9割を超える企業がマイナスの影響を受けています。今後も影響を受けない企業はわずか7%でした。
価格転嫁できていない企業は6割
一方、原材料高騰によって価格転嫁する(コスト上昇を商品の価格に反映させること)に踏み切った企業は、4割に止まります。残りの6割は、消費者への影響を防ぐために上昇分を自社で負担しています。
急激に悪化する資金繰りへの対策が求められる
このような負担は資金繰り悪化として、企業の財務に重くのしかかります。原材料高騰もいつまで続くか分かりません。
国も対策を講じており、経済産業省は「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」を踏まえ、金融関係団体に資金繰り支援を要請しています。
中小企業のみならず、大企業・中堅企業も含めて、資金繰りの厳しい事業者に対し、貸し渋り・貸し剥がしをおこなわないことはもちろん、誤解が生じないよう事業者の立場に立った柔軟な支援を求めています。
また、セーフティネット貸付のさらなる金利引下げや、政府系金融機関による実質無利子・無担保融資等の延長も盛り込まれました。
会計事務所にできる顧問先へのサポート
会計事務所は、顧問先に対して主に3つのサポートが可能です。
セーフティネット制度の活用
セーフティネット(経営環境対応資金)とは、日本政策金融公庫が実施する融資制度です
資金使途:運転資金や設備資金
貸付期間:運転資金8年以内・設備資金15年以内
融資限度額:7.2億円(中小企業事業)
金利:上限1.55%⇒0.65%~0.3%
【参考】経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)│日本政策金融公庫
無利子・無担保貸付制度の活用
無利子・無担保貸付制度とは、商工中金や日本政策金融公庫などの政府系金融機関による制度です。
コロナウイルスの影響により売上高が一定程度減少した事業者に、信用力や担保に関係なく一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施します。
コロナウイルスによる影響を受け、一時的な業績悪化(最近1ヵ月の売上高又は過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高が前4年のいずれかの年の同期比5%以上減少した等)となった事業者(事業性のあるフリーランスを含む)
貸付期間:設備20年以内、運転20年以内(うち措置期間5年以内)
上限額:中小事業・商工中金 6億円
金利:当初3年間 基準金利 -0.9%、4年目以降基準金利(利下げ限度額:中小事業・商工中金3億円)
早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業)の活用
早期経営改善計画策定支援とは、認定支援機関による支援です。経営改善計画を策定し、その計画を金融機関に提出することで、早期の経営改善を支援するもの。
「ビジネスモデル俯瞰図」や「資金実績・計画書」、「アクションプラン」、「数値計画(損益系計画)」などを策定し、専門家に支払った費用の2/3を国が補助します。
【参考】早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業)|中小企業庁
会計事務所のサポートを円滑化する「財務コンサルティングシステム」
顧問先にこれらの制度を活用してもらう、サポート業務を円滑化するため、おすすめしたいサービスが「財務コンサルティングシステム F+prus(エフプラス)」です。
中小企業向けの財務分析システムとして、さまざまな機能を備えています。
2022年7月時点で1,602の会計事務所に導入されており、14日間の無料トライアルも実施しています。
- コンサルティング内容の自動抽出
- 全23種類の会計ソフト対応
- 金融機関の融資判断に準拠する事業計画書の自動生成
- 事業計画書のチュートリアル機能
- 財務コンサルティングサービスのパッケージ化
- システム活用のための教育カリキュラム
以下では、顧問先の資金繰りサポートに使える機能を解説します。
財務支援手法のパッケージ化
F+prus(エフプラス)の財務支援では、「資金繰りの改善と安定」「借入内容の最適化」「金融機関との良好な関係構築」を実現。
現状分析からプランの作成・実行、予実管理でチェックしつつ、また現状分析に進むというサイクルを回します。
支援すべき施策の自動抽出
顧問先の「決算データ」と「返済データ」をシステムに取り込むだけで、どのように財務改善すべきか、支援すべき施策を自動で抽出できます。
また、金融機関目線での「企業の財務格付け」の判定ができ、資金調達環境の改善に向けたアプローチも把握できます。返済額がある場合は、返済計画を最適化するシミュレーションもおこなえます。
事業計画作成のチュートリアル機能
事業計画書の作成は、「会計データ」をインポートするだけで完成します。また、金融機関が融資判断で重視する指標を自動で計画書に反映。
コメント挿入機能で、金融機関に知ってもらいたい事業計画のポイントを伝えられます。
事業計画書の作成に戸惑ったら、「次にやるべきこと」をシステムからお知らせしてくれるため、実務経験の浅い従業員でも安心です。
F+purs(エフプラス)の導入事例
税理士法人弓家田・富山事務所様は、飲食業の財務支援で「計画の策定」や「毎月の予実管理」にF+prus(エフプラス)を活用されています。
金融機関へもシステムで作成した計画書や予実管理表を提出。
計画書への「債務償還年数」や「自己資本比率」、「資金繰り状況」の自動表示で、金融機関にも「わかりやすい」と評価をいただいております。
原材料高騰の今こそ顧問先を増やすチャンス
本記事では、原材料高騰で影響を受けた企業の実態、省庁や金融関係団体による支援策を解説しました。
9割もの企業が影響を受けている、あるいは受けると予測しており、資金繰り面のサポートは緊急の問題です。
ただ、見方を変えれば、支援策を活用してもらうために顧問先を増やすチャンスともいえます。
「財務コンサルティングシステム F+prus(エフプラス)」の導入により支援業務を効率化・円滑化し、顧問先のサポートを実現してはいかがでしょうか。
社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している事業者又はそのおそれのある事業者のうち、原油価格上昇をはじめとした原材料・エネルギーコスト増の影響を受けており、かつ、最近における売上高総利益又は売上高営業利益率が前年比に対して5%以上減少している事業者