御堂筋税理士法人は職員数60名(うち税理士15名)の総合事務所です。グループ売上高は2021年から2023年までの2年間で約40%成長し、売上高の65%を税務・会計以外のサービスが占めています。
御堂筋税理士法人の代表社員、才木正之氏と小笠原知世氏による、高付加価値を上げ続ける職員を育てる組織運営と人材育成、顧問先対応や小規模事務所の成功戦略を紹介します。
目次
税理士事務所の付加価値を生み出す!組織運営の秘訣〜経営トップ層と職員の繋がり〜
御堂筋税理士法人が急成長している秘訣は、「経営トップ層の考えを職員へ浸透させていること」、「職員の成長を後押しする支援体制を充実させていること」の2つです。
経営トップ層の考えを浸透させている例として、職員が次の時間単価で考えて行動するように体制を整えていることがあげられます。
- 入社1年目から3年目:15,000円/時
- 入社4年目から5年目:20,000円/時
- 入社6年目から7年目:25,000円/時
- マネージャー :30,000円/時
上記の時間単価でわかるとおり、職員が高い付加価値を上げ続けるためには、職員のスキルアップが欠かせません。当事務所は、職能要件書に必要なスキルと求められる水準を明確に表示し、求められる水準となるよう職員の成長を支援する体制を整えています。
当事務所の組織運営と人材育成における具体的な取り組み内容として、次の5つを紹介します。
労働時間の”15%”は学習の時間にあてる
当事務所は職員の月間労働時間の15%をトレーニング時間とし、業務時間中に知識やノウハウのインプットとアウトプットをおこなっています。『知識こそが、いいサービスを提供するための「仕入れ」である』と考えているためです。
例えば月24時間のトレーニング時間の場合、下記のプログラムを受講させています。
- SAトレーニング:7時間
- コックピット会議(経営スキル):3時間
- 月次1on1ミーティング:2時間
- 幹部育成研修:4時間
- 税務についてのR&D勉強会:2時間
- ロープレ研修:2時間
- チームについてのR&D勉強会:4時間
コックピット会議で経営的視点を養う
毎月1回、全職員が参加する経営会議をおこなっています。
中小企業の経営者を支援する職員に、経営者の視点を身に付けてもらうことが目的です。
また自社の経営状態を可視化することで、職員自身が課題を発見し、変革をおこなうための学びの場となる効果が期待できます。
自律分散型の組織構成
当事務所は、各チームが戦略を考えて実行する、自律分散型の組織構成としています。
すべての工程において、職員全員が顧問先へなにができるかを「検証・実践・改善」できる体制を整えるためです。
毎月1on1を実施
全職員を対象に毎月1on1ミーティングを実施し、コーチングとティーチングを徹底しています。
このほかにも、新卒職員を対象とする週次の1on1ミーティング、入社6か月以降の新卒職員を対象とする1toGroupミーティングを実施しています。
このような取り組みは、既に何年も続けているため、コーチングが社内文化となるまでに浸透しています。
税理士事務所がミッション・ビジョン・バリュー浸透させる方法
当事務所ではクレドを定め、次の4つのシンプルなキーワードを掲げています。
- Person『自彊不息』生涯にわたる自己成長
- Team『ええやん!』わが社は実験台
- Stance『さすが!』リーガルマインド&プロフェッショナリズム
- Mind『経済と道徳』物心両面の幸福を求めて
とにかく簡単にして会話に盛り込む
経営トップ層の考えであるクレドは、全職員へ浸透することが大切です。
当事務所はクレドを職員に浸透させるために、次の取り組みをおこなっています。
- クレドのワード・内容を普段の会話に盛り込む
- 事務所内にクレドを掲げる
- 四半期ごとに経営陣と話し合う『クレドトーク』を実施する
- 『クレドアワード』により職員を表彰する
- 顧問先へ説明する機関誌に盛り込む
人事評価に繋げる
当事務所は人事考課・査定にクレドの項目を含めています。
クレドを人事評価へ盛り込むことで、職員がクレドを意識して行動しやすくなります。
税理士事務所が売り上げ10億を生み出す秘訣〜顧問先との繋がり〜
当事務所は顧問先に対し、士業事務所ではなく「サービス業である」と意識しています。サービス業としてお客さまである顧問先との繋がりを大切にするため、次の2点を重視しています。
顧問先との繋がりで大事なのは即レス
顧問先との信頼関係を築く基礎として、顧問先からの質問や連絡に対し、直ちに反応することを大切にしています。
即レス・即対応は職員の誰もができる、あたり前のことであり、顧問先からの信頼を高めるベースとなると考えています。
従業員規模5名・15名の税理士事務所で重視すべきこと
職員数が限られる事務所の場合、「業種特化」「未来投資」の2つを重視すべきであると考えられます。
ニッチな業種特化
少人数事務所の場合、自分自身や得意分野と関連性がある業種、さらに細分化した顧客層へ特化することをおすすめします。
ニッチな分野に強みをもつことで、その分野の専門家であるとお客さまから評価され、「しっかりと理解してもらえそう」と感じてもらいやすくなると考えているためです。
人材への投資
職員数が15名ほどの事務所の場合は、人材への投資が大切であると考えられます。人材への投資として「相応の給料水準で処遇する」「次世代を担う人材を採用する」などがあげられます。
給料水準の引き上げは現有職員のモチベーションを向上させるほか、採用においても効果があると考えています。
採用担当者を据え置く
採用の担当者、採用のプロを置くことも大切です。将来への人材投資がスムーズとなるためです。
経営革新等支援機関推進協議会では採用・教育を支援!
御堂筋税理士法人が成長を続けている秘訣は、「経営トップ層の考え方を職員へ浸透させること」「職員の成長を支援するさまざまな取り組みをおこなっていること」です。
「職員研修を充実させたいけれど、準備が大変」「未経験者への教育時間が確保できない」「求人を出しても応募がこない」など、会計事務所経営様が抱える人材採用・人材育成の悩みごとは、経営革新等支援機関推進協議会へご相談ください。
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