会計事務所支援ブログ

経営コンサルタント業務を税理士が拡充する方法とは

経営コンサルタント業務を税理士が拡充する方法とは

経営コンサルティングを業務としておこなう税理士事務所は多くあります。税理士は、日頃の業務を通じて顧問先の状況を客観的に把握しており、豊富な専門知識を活かして顧問先における課題の解決をアドバイスしやすいためです。
本記事では、経営コンサルタント業務を税理士がおこなうメリット・デメリット、拡充するためのポイントについて解説します。

税理士は経営コンサルタントができない!?と言われる理由

税理士は経営コンサルタントができない!?と言われる理由

経営コンサルタント業務をホームページなどで掲げている税理士事務所は珍しくなく、実際に、顧問先から頼りにされている税理士事務所は多いです。
一方で「税理士は経営コンサルティングができない」と言われることもあります。

経営コンサルタント業務ができない税理士が多いと言われる理由

「税理士は経営コンサルティングができない」と言われる主な理由は次のとおりです。

  • 税務以外についての専門的な知見が豊富な税理士は少ない
  • 税理士の多くは企業を経営した経験がない
  • 多人数のスタッフがいる税理士は少ない

経営コンサルタントと税理士の違い

経営コンサルタントと税理士は、主に次の3点が異なります。

(資格の有無)

  • 経営コンサルタントは資格制度がありません。中小企業診断士の資格をもつ場合が多いですが、必須ではありません。
  • 税理士は税理士試験に合格するなどの資格制度があります。

(業務の違い)

  • 経営コンサルタントは、顧問先における経営上の課題を解決するためにアドバイスをおこない、顧問先における実行をサポートすることです。
  • 税理士がおこなう経営コンサルタント業務は、税務・会計などの専門家としての立場から顧問先へアドバイスすることが多くみられます。

(専門性の違い)

  • 経営コンサルタントの多くは独自に得意分野をもって活躍しています。顧問先の課題は経営戦略、商品開発、生産、販売、人事など幅広く、加えて各分野において深い知識が求められることが多いためです。
  • 税理士は税務や財務に高度な専門性をもっており、人事や販売などを得意とする税理は少ないと言われています。

税理士が経営コンサルタント業務を強化するメリットデメリット

税理士が経営コンサルタント業務を強化するメリットデメリット

中小企業庁が発表している「小規模企業白書」によると、中小企業の経営者のうち約6割が「最も身近な相談相手は税理士」と考えています。また税理士が経営コンサルタント業務を手掛けることで「収入増加」と「事務所の差別化」を図ることができます。税理士が経営コンサルタント業務に力を入れるメリットデメリットをまとめると次のとおりです。

【参考】2020年版 小規模企業白書|中小企業庁の第3-2-52図

メリットは「収入増加」と「差別化」、課題は「人手不足」

経営コンサルタント業務を拡充するメリットは次のとおりです。

(メリット)

  • 税務業務に加えて、経営コンサルタント業務による収入を獲得できる
  • 顧問先あたりの収入が増える
  • 経営コンサルティングによって顧問先が成長できる
  • 経営コンサルティングができる事務所として、新規顧客開拓をすすめやすくなる
  • 税務業務以外のスキルが身につく事務所として、人材採用において有利となる
  • 顧問先の成長に直接的に貢献でき、スタッフがやりがいを感じやすくなる

(課題)

  • スタッフのスキルアップ
  • 顧問先へのサービスの周知(マーケティング)
  • 顧問先からのヒアリング、提案書作成、提案時間などの負担

税理士が取り組みやすい経営コンサルタント業務とは

中小企業に対する経営コンサルタント業務として、税理士が提案しやすい例は次のとおりです。

  • 財務コンサルティング
  • 経理コンサルティング
  • 事業承継コンサルティング
  • IT化・DX化コンサルティング
税理士によるコンサルティング業務とは?業務内容や取り組み方法を解説

税理士が経営コンサルタント業務を拡充する8つの方法

税理士が経営コンサルタント業務を拡充する8つの方法

税理士が経営コンサルタント業務を拡充するために取り組みたいポイントは、次の8つです。

生産性の向上

スタッフのスキルアップや顧問先への提案に時間を割くことができるよう、事務所の定型業務を効率化することが不可欠です。

コンサルティングツールの活用

経営コンサルティングに活用できる、さまざまなツールが多くの企業から提供されています。事業計画書やアクションプラン作成ツール、フレームワークのテンプレート、人事評価シートなどが代表的です。
コンサルティングツールを活用することで、事務所がおこなう経営コンサルタント業務の品質を安定しやすくなります。またテンプレートを利用することで、勘や経験による対応でなく、MECE(漏れなく、ダブりなく)な分析が円滑となります。

自事務所の事業計画書作成

自事務所についての事業計画書を作成することもおすすめです。
経営者が自発的に作成する事業計画書は、経営理念、経営ビジョン、事業戦略、組織構造、アクションプランなどを重視することが多くなります。
一方、税理士が業務としておこなう経営計画書の作成は、金融機関への提出を前提としていることが多く、数値を重視する傾向が高くなります。
税理士にとって馴染みのある計画書と、経営者が考える計画書では、差異が生じることがあるため、事務所経営者としての目線で計画書を作ってみることで、経営者視点を理解しやすくなるでしょう。

税務・会計業務以外のサービスを拡充する

税理士の本業務である税務以外のサービスに積極的に取り組んでみましょう。例として、補助金や助成金の活用提案などがあげられます。税務以外のサービスを拡充することで、次のメリットが期待できます。

  • 顧問先におけるニーズを把握しやすい
  • 経営ノウハウを実践的に得ることができる
  • スタッフの士気向上につながる
  • 新しいことに取り組んでいる事務所として評価される
  • 税務・会計以外の業務をおこなっている事務所として他事務所と差別化できる

中小企業支援機関と連携する

顧問先から人事や販売について助言を求められることもあるでしょう。
税務と異なる分野については、各分野において専門知識や支援施策をもつ公的支援機関、税理士以外の士業、金融機関などと連携することがおすすめです。さまざまな専門家と連携することで、新規顧客を紹介してもらう効果も期待できます。

実績をアピールする

経営コンサルタント業務の実績は、事務所のホームページやSNSなどでアピールすることがおすすめです。経営コンサルタント業務に取り組んでいることがわかりすく、実績がある分野が顧問先から明確となります。また経営コンサルタント業務をおこなった際の苦労話や悩みなどは、実際の業務を通して理解しやすくなります。

実績作りのために、経営者向けのセミナーや金融機関、業界団体などが主催するセミナーの講師を積極的に引き受けることもおすすめです。若い経営者向けのセミナー、バックオフィスのDX化に関するセミナーなどがあげられます。セミナー実績が豊富であると、該当分野が得意な税理士と見られやすくなります。

経営コンサルタントのサービス内容・料金を明確とする

経営コンサルタント業務を実施する際は、サービスの内容、報酬額などを明確とします。
どのようなサービスが提供されているか、顧問先がわかりやすく、月額顧問料の範囲外の業務であることなどを明示することで、トラブル防止につながります。

得意分野を明確とする

どのような課題や経営状況に対して、どのような強みがあるかなどを明確にアピールしましょう。
漠然と経営コンサルタント業務をおこなっているとアピールするのみでは、特徴や強みが曖昧となり、顧問先からの期待感も薄れてしまいます。

税理士で独立開業は不安?失敗原因と後悔しない対策とは

経営コンサルタント業務の拡充は経営革新等支援機関推進協議会がサポート

従来の税務・会計業務に加えて、財務支援や事業承継支援、補助金などの公的支援策の支援などを拡充しようとお考えの会計事務所様は、経営革新等支援機関推進協議会がトータルでサポートします。
経営革新等支援機関推進協議会では、会計事務所様が使いやすい販促ツールと情報発信の仕組み、補助金申請や財務分析に基づく資金調達支援などを月額30,000円(税別)でご利用いただけます。

全国約1,700の会計事務所様が利用する経営革新等支援機関推進協議会へ、お気軽にご相談ください。

ABOUT US

経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。