税理士が開業して間もない頃は、なかなか顧客が獲得できないことは当然です。
しかし税理士として独立したからには顧客をどんどん増やして安定収入を得たいものです。
どうしても開業当時は周辺住民とのかかわりも少なく案件受注も容易ではないと思われます。
まずひとつひとつ周りの方にいかに貢献するかが大切です。
本記事では税理士が顧客を獲得するために必要なこと、これだけはしてはいけない失敗事例を紹介します。
目次
税理士の顧問料の相場
税理士が新規に顧客を獲得する目的は売上として顧問料をいただくことに他なりません。
一般的に顧客が個人の場合「3万以下」が相場といえます
税理士事務所周辺の現状分析
税理士が顧客を獲得するためにはまず現状分析から始めます。
事務所地盤のヒト・モノ・カネを調査します。
まずは地道に挨拶まわりで地域の人の声を聞きましょう。
ヒト・・・税理士が得意な分野を生かせる地域に事務所を構える。
顧客層がわかれば税理士に見合った仕事が得られます。
モノ・・・事務所を構える地域で発展している産業を調査します。
商店街なのか工業地域なのか、法人が多いのか個人が多いのかで 税理士のスキル発揮度合が違ってきます。
カネ・・・ 事務所地盤のお金の動きを知りましょう。
都市銀行が多いのか地方銀行や信用金庫が強いのかによって、資金ニーズが異なり、財務支援・補助金支援などのアプローチ方法が変わります。
税理士が顧客獲得で失敗する事例
税理士が顧客を獲得する際にうまくいかず契約が取れない事例があります。
特に開業したての税理士はノウハウが蓄積されていないため、思わぬところで失敗してしまいがちのため注意が必要です。
何もしなくても顧客が来ると思っている
税理士事務所の看板をあげれば、顧客が自然と思い込み、営業活動をしない方がいらっしゃいます。
税理士事務所に勤務時代の顧客をそのまま引き継いで始めるという税理士もいらっしゃいますが、限界があります。
全国に約7万5千人いる税理士の競合と差別化していかなければ、独立後の発展は難しいでしょう。
事務所を構える場所の選定が甘い
税理士が顧客を獲得するために、立地条件の良い場所を選定しがちです。
「ここに事務所を構えれば自然と顧客がつくだろう」との見込みで営業を始めても、他の税理士の地盤と競合してしまい、顧問契約ができなかった事例があります。
差別化が図れていない
人通りがいいなどの理由で事務所を構えても、税理士事務所は数多くあります。
これから、顧問税理を探そうとしている顧客は、「あまり知らない税理士はやめよう」ということになりかねません。
旧態依然の税務・会計業務のみを軸にサービス展開をしている事務所は少なくありません。
「私の税理士事務所は〇〇が売りです」という売り文句がなければ、顧客との新規契約は難しいといえます。
専門分野に特化しすぎる
先述の差別化と相反するかもしれませんが、再現性のある一般的な業務受注に重きを置いた営業が、専門分野に特化したものより、顧客獲得数が多いと言われています。
開業間もない頃はよりまずは汎用性をもった幅広い業務で開始すべきといえます。
顧客ニーズのリサーチ不足
税理士が顧客獲得で失敗する事例として、事業の形態、顧客に悩みニーズを読み取っていないことが挙げられます。
最近はインターネットが普及し、オンライン で税理士を依頼することも可能です。
しかし実際には近隣の税理士事務所に依頼をおこなう事例が多く、インターネット集客を主におこなうと安易に考えると、新規案件を受注できない可能性があります。
顧問料の設定が安すぎる
独立したばかりの税理士は顧客を獲得したいがために顧問料下げ、いわゆる「薄利多売」の営業をしてしまいがちです。
一時的には顧客が増えますが、多忙になるだけで、思った通りの収益があげられなくなります。
最悪の場合、過剰な業務量で事務ミスが起こり賠償責任へ発展する場合もあるため注意が必要です。
レピュテーショナルリスク
レピュテーショナルリスクとは、企業の評判に関わるリスク全般です。
税理士の場合、受注した案件のミスで顧客から損害賠償請求がなされることで顧客に悪評が流れ、経営が悪化してしまうことがあげられます。
税理士が損害賠償責任を負った場合、悪評が経営に与える影響は大きく、損害賠償請求が起こされるパターンは次の2通りです。
- 債務不履行に基づく損害賠償・・・顧客との間に提携する税務顧問契約の中での委任契約の受任者としての義務違反をした場合
例:委託されている税務処理を正確に作成しなかった
- 不法行為に基づく損害賠償・・・ 税理士としての善管注意義務に違反した場合
例: 税理士が粉飾決算書を作成し金融機関より融資を受けた会社が倒産した
人脈がないため
税理士が顧客を獲得することに失敗する事例として、人脈がないために顧客が増えないことがあります。
リサーチを十分にし「ここで事務所を構えれば、顧客ニーズもあるし契約が増える」と見込んでも、今までの「地域への貢献」の実績がないと顧客獲得が難しいといえます。
税理士が新規顧客を管理する手法
税理士が顧客を獲得するためには、既存客や見込み客を含めて顧客を管理する必要があります。
顧客を管理することは「顧客を大切にする」ことです。
新規契約に注力するだけでなく、契約をお断りすることも視野に入れなければなりません。
新規顧客を受け入れる場合と、お断りをする場合を解説します。
新規開拓する際のポイント
税理士が顧客を新規に開拓することは、成熟した税理士業界では容易なことではありません。
しかしながら、独立したからには、すぐにでも営業を始めたいものです。
新設法人は、顧問税理士が未だ決まっていないケースがあるため、魅了的なアプローチ先といえます。
特に、設立後1年経過した多くの法人は、売上実績を勘案し「税理士をつけるかどうか」を検討しているといわれています。
2021年に新規設立された法人数は14万4,622社あります。
事務所周辺の法人を管理して新規管理顧客としてリストアップしましょう。
専門性と汎用性を打ち出して、税理士事務所代表者として自信をもった営業活動が求められます。
顧客を断る際のポイント
税理士が思い通りの価値を提供できないと思われる顧客獲得は控えるべきといえます。
独立したばかりの税理士が顧客を獲得するために、時には、顧問料を下げて契約を獲得しがちです。
税理士の事務処理能力を把握し、既存の顧客に最大限の価値を提供しなければなりません。
自分に合わない仕事はストレスの原因ともなるため、年間、月間、週間、一日のタイムスケジュールを分析し、付加価値の高いサービスの提供を検討しましょう。
税理士がオンラインで顧客を獲得する方法
税理士が顧客を獲得する方法はさまざまあります。
インターネット環境を使った顧客獲得方法はターゲットを絞り込んで宣伝できます。
以下に、オンラインで効果的に顧客を獲得する方法を紹介します。
ホームページを作成
税理士が顧客を獲得する方法として、ホームページを作成し集客を狙う方法が挙げられます。
しかし、一からホームページを作成する事は専門知識が必須です。
また、やみくもにホームページを作成しても、顧客が閲覧してくれるとは限りません。
粗末な構成のホームページであれば、むしろ顧客獲得に悪い影響が出ることも予想されます。
ホームページを制作する上で必須の項目は以下の通りです。
- 誰にでもわかるサービス内容
- わかりやすい料金体系
- プロフィール
- 事務所概要
- セールスポイント(事務所の強み)
- アクセス
- 問い合わせフォーム
ラジオ広告
税理士が顧客を獲得するためにラジオ広告を利用するメリットは以下の通りです。
- テレビ広告より安価な費用で制作できる
- 放送時間や地域を細分化することでターゲットとなるリスナー層に訴求できる
- テレビ広告と違いチャンネルを変えられにくく、ターゲットに届く可能性が高い
メルマガ
税理士が顧客を獲得するためにメルマガを利用するメリットは以下の通りです。
- 1件で大量のメール送信ができ、1件あたりのコストが安くできる
- 新しい情報をすぐに届けられる
- 事務所が想定しているターゲットに絞って情報を配信できる
- 継続的かつ定期的に情報を配信でき、顧客に税理士の存在を意識づけできる
税理士がオフラインで顧客を獲得する方法
税理士が顧客を獲得する方法として、インターネット環境などを使用しないオフラインでの手法があります。
一度に多数の方にお届けできませんが、末長いお付き合いができる顧客に出会える可能性が高いと言えます。
紙媒体DM
税理士が顧客を獲得するためにDM(ダイレクトメール)を利用するメリットは以下の通りです。
- パンフレットや小冊子であるため顧客の手元に残り、後日の問い合わせを期待できる
- サービス内容をわかりやすく伝えることができる
- インターネット環境がない顧客層にもアプローチできる
顧客からの紹介
既存の顧客から新しい顧客を紹介してもらう手法があります。
地道ながら安心できる手堅い手法として考えられています。
顧客から紹介してもらう手法のメリットは以下の通りです。
- 既存の顧客からの紹介であるため、長期的な契約が期待できる
- 既存顧客が税理士の仕事に満足している証拠であるため、既存の顧客とも取引が深耕できる
- 顧客獲得コストが低い
経営革新等支援機関推進協議会をご利用ください
経営革新等支援機関推進協議会は、新規に顧客獲得を目指す税理士にさまざまなマーケティング支援ツールを取り揃えているサービスです。
オンラインとオフライン手法の双方を準備しています。
是非ともご利用ください。
また、経営革新等支援機関推進協議会は中小企業経営力強化支援法に基づく「経営革新等支援機関」に認定された会計事務所の活動を全面的にバックアップします。
税理士が顧客獲得するためのツールはもちろん、顧客に満足してもらい長期契約を実現するための会計支援プログラムがあります。
さらに定期的なメルマガ配信による事務所通信で継続的なオンラインでの情報発信が可能です。
制度案内のチラシ作成のサービスを利用してオフラインでの強みも発揮できます。
まとめ
税理士が顧客獲得に失敗した事例を交えながら、新しく顧客を獲得するための手法を紹介しました。
開業間もない税理士は、いわゆる「白地」の地域に事務所を構え、経営基盤を確立していくこととなります。
顧客獲得手法は多様化しているため、顧客もさまざまな観点から税理士を選んでいます。
人脈づくりとまわりに自分の想いを伝える有効な手段を得るために、ぜひ経営革新等支援機関推進協議会が提供しているマーケティングツールをご検討ください。
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