2022年度(令和4年度)第2次補正予算案において、小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)の制度拡充案が示されています。
持続化補助金は小規模事業者が申請しやすく、累計の申請件数約160,000件、採択件数約100,000件という、経営者において有名な補助金のひとつです。
本記事では、持続化補助金を中心に顧問先における補助金申請を支援することで、事務所の業務の幅の拡大や顧問収入の増加に活かす方法を解説します。
目次
持続化補助金の拡充予定
持続化補助金は、小規模事業者における社会的な制度変更(賃金引き上げやインボイス制度の導入など)をうけて、販路開拓への取り組みを支援する補助金です。
申請件数は累計111,703件、採択件数は累計68,628件(一般型の採択結果)、平均採択率は61%です。
一般枠
第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 第7回 | 第8回 | 第9回 | 累計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
申請件数 | 8,044 | 19,154 | 13,462 | 16,126 | 12,738 | 9,914 | 9,339 | 11,279 | 11,467 | 111,703 |
採択件数 | 7,308 | 12,478 | 7,040 | 7,128 | 6,869 | 6,846 | 6,517 | 7,098 | 7,344 | 68,628 |
採択率 | 90.9% | 65.1% | 51.6% | 44.2% | 53.9% | 69.1% | 69.8% | 62.9% | 64.0% | 61.4% |
低リスク感染型ビジネス枠
第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 累計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
申請件数 | 7,827 | 10,125 | 8,056 | 8,243 | 6,208 | 11,728 | 52,260 | |||
採択件数 | 3,512 | 5,361 | 5,022 | 5,780 | 4,138 | 8,040 | 31,853 | |||
採択率 | 44.9% | 52.5% | 62.3% | 70.1% | 66.7% | 68.6% | 61.0% |
補助上限額は高額ではないものの、採択率が比較的高く、補助率も3分の2と高い補助金です。
2022年度第2次補正予算案において、拡充予定が示されています。
2022年度第2次補正予算案の概要
2022年度第2次補正予算案のうち、中小企業・小規模事業者等関連予算として1兆1,190億円が計上されています。
持続化補助金などを含む生産性革命推進事業に対しては2,000億円(国庫債務負担含めて4,000億円)が計上されるとともに、持続化補助金の補助内容の見直しが予定されています。
持続化補助金の拡充内容
2022年度第2次補正予算案では持続化補助金の見直しが入り、従来からの補助枠である「インボイス枠」が廃止される予定です。
かわりにそのほかの補助枠(「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」のいずれについても、補助上限額を50万円上乗せする「インボイス特例」が設けられます。
免税事業者がインボイス発行事業者となる場合は、持続化補助金の補助対象経費に税理士への相談費用が含まれます。
商工会議所や商工会と連携することで、顧問先以外の事業者からの相談にも取り組みやすくなります。
インボイス制度の開始は2023年10月1日です。
インボイス(適格請求書)を発行できる適格請求書発行事業者の登録期限は現時点では延長されておらず、2023年3月31日となっています。
適格請求書発行事業者の登録数は1,725,668件(2022年11月末日時点)に留まっており、今後、会計事務所の繁忙期に申請が急増すると予想されています。
また登録にかかる期間もe-Tax提出で約3週間かかります。
顧問先が期限までに対応できるよう、定期的に案内しましょう。
持続化補助金が採択されるポイント
持続化補助金は比較的採択率が高い補助金ですが、申請の約40%が不採択となります。
申請が採択されるためには、「採択率が高い補助枠で申請する」、「加点措置を活用する」といった、採択されるためのテクニックがあります。
加点措置を活用
持続化補助金は、採択を決める点数に加点される「政策加点」措置があります。
中でも、補助金申請システム「Jグランツ」を利用した「電子申請加点」、「経営力向上計画加点」は、顧問先において加点をとりやすい項目です。
経営力向上計画の概要
「経営力向上計画」の承認をうけておくと、持続化補助金での加点だけでなく、さまざまな政策的な優遇制度があります。
- 小規模事業者から中堅・中小企業まで対象が幅広い
- 承認件数が148,153件(2022年10月31日現在)と多く、参考事例が豊富
- 既存事業の改善が対象(新たな事業分野への取り組みが要件ではない)
- 即時償却など税制優遇措置がある
- 制度融資や事業承継時の手続きの特例措置がある
- 申請書類は約3枚
申請書類の作成負担が少なく、経営革新等支援機関の作成支援が措置されている経営力向上計画の認定を活用しましょう。
【参考】経営力向上計画策定の手引き(2022年8月31日)|中小企業庁
補助金申請支援で事務所の業務を拡充
顧問先の関心が高い補助金を切り口として、顧問先のインボイス対応などの改善を提案し、計画書作成支援業務を受注することで、事務所の業務の幅の拡大、顧問先からのアップセルが見込めます。
補助金申請支援で事務所の差別化と売上増加
税務・会計業務のみでは事務所の差別化は難しいため、補助金や資金調達を支援する取り組みが必要です。
補助金申請支援業務を強化するメリットは次の通りです。
顧問先の関心が高い補助金申請支援をきっかけに、顧問先の獲得や財務改善支援につなげましょう。
- 申請支援業務による収入の増加
- 顧問先の新規獲得
- 業務内容を深く把握し、さまざまな財務改善提案が可能
- 商工会議所や商工会、金融機関との連携強化による新規顧問先の紹介
会計事務所が必要とされる補助金は、持続化補助金だけではありません。
「事業再構築補助金」や「事業承継・引継ぎ補助金」においては、認定経営革新等支援機関の関与が必須とされています。
補助金申請支援の受注は販促活動が必要
補助金申請支援業務に力を入れるためには、顧問先の関心を把握し、顧問先が関心をもつ情報を定期的に発信することで受注に繋げます。
事務所としても、制度内容についての理解、事務所スタッフのスキルアップ、定型業務の効率化をおこないます。
差別化できる事務所となるためには、経営革新等支援機関推進協議会をご利用ください
会計事務所の本業である税務・会計業務や記帳代行のみでは、今後の事務所の売上高を伸ばしていくことは困難です。
顧問先の経営の改善を支援し、顧問先から選ばれる会計事務所となるためには、ほかの会計事務所との差別化がカギとなります。
事務所の差別化と効率化は、経営革新等支援機関推進協議会が全面的にサポートします。
経営革新等支援機関推進協議会とは、株式会社エフアンドエムが運営する、会計事務所の経営をサポートするサービスです。
財務診断サービスのツール『F+prus』や事務所スタッフのスキルアップカリキュラムの提供などをおこなっており、全国で1,696の会計事務所様(2022年11月現在)にご利用いただいいております。
- 各種申請書サンプルの提供
各種補助金の審査項目をふまえたサンプルで、初めてでも効率的に作成できます
- 添削サービス
申請書類をブラッシュアップすることで、採択の可能性もアップします
- 個別相談
申請書作成時のふとした疑問や質問にお答えします
経営革新等支援機関推進協議会のご利用は、月額33,000円(税込)の定額です。
顧問先企業様からもわかりやすいと好評で事業計画作成機能も付いている『F+prus』のご利用も可能です。
まとめ
持続化補助金は顧問先の関心が高い補助金であるとともに、税理士への相談費用が補助対象となるため、顧問先へ案内しやすい制度です。
また、持続化補助金などの補助金申請支援業務は、事務所収入の増加や顧問先の新規獲得だけでなく、顧問先への財務改善提案につなげやすいため、積極的に取り組みましょう。
事務所の差別化のためのPRや提案ツール、事務所スタッフへの教育訓練をお考えの会計事務所様は、経営革新等支援機関推進協議会へご相談ください。