会計事務所支援ブログ

小規模事業者持続化補助金の提案は税理士のサービス拡充のチャンスです

2025年5月1日から小規模事業者持続化補助金の第17回公募がはじまります。2025年の持続化補助金は<一般型><創業型>など4つの補助枠となり、補助率は2/3から3/4または定額、補助上限額は250万円(共同・協業型を除く)です。

本記事では、小規模事業者の顧問先が対象となる可能性がある<一般型 通常枠>と<創業型>の概要、顧問先に対する提案を通じて税理士が顧問先支援業務を拡充するポイントについて解説します。

小規模事業者持続化補助金の第17回公募概要【2025年5月公募開始】

小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)は、社会的な制度変更(賃金引き上げやインボイス制度の導入など)の影響を受ける小規模事業者が取り組む販路開拓などを支援する補助金です。

補助上限額は高額ではないものの、採択率が比較的高く、補助率も2/3と高い補助金です。

2025年に実施される持続化補助金の第17回公募は次の4種類です。

補助類型主な補助対象
一般型(通常枠)経営計画を作成し、商工会議所などの支援を受けながら取り組む販路開拓など

(災害支援枠)2024年(令和6年)能登半島地震などの直接被害および間接被害からの再建など
創業型特定創業支援等事業による支援を受けた、開業後3年以内の小規模事業者が取り組む販路開拓など
共同・協業型商店街振興組合など地域振興機関が10以上の小規模事業者の販路開拓を支援するためにおこなう展示会など
ビジネスコミュニティ型商工会議所・商工会の青年部がおこなう取り組みなど
【参考】⼩規模事業者持続化補助金のご案内|中小企業基盤整備機構

持続化補助金<一般型 通常枠>とは

持続化補助金の<一般型 通常枠>の主な内容は次のとおりです。

【参考】小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第17回公募 公募要領(第2版)(2025年4月25日)|小規模事業者持続化補助金事務局

持続化補助金<一般型 通常枠>の補助対象要件は主に3つ

持続化補助金<一般型 通常枠>の主な要件は次の3つです。

  • 経営計画を策定する
  • 販路開拓や販路開拓とあわせて生産性の向上に取り組む
  • 商工会・商工会議所から助言など支援を受けて事業を実施する

持続化補助金<一般型 通常枠>の補助率は2/3

持続化補助金<一般型 通常枠>の補助率は2/3です。ただし赤字事業者である顧問先が賃金引上げ特例に該当する場合は補助率が3/4に引上げとなります。

持続化補助金<一般型 通常枠>の補助上限額は250万円

持続化補助金<一般型 通常枠>の補助上限額は50万円です。特例の要件を満たすと補助上限額が上乗せされ、補助上限額の最大が250万円となります。

【持続化補助金<一般型 通常枠>の補助上限額】

  補助上限額補助上限の上乗せ額上乗せ後の補助上限額
特例の適用なし50万円 
インボイス特例50万円+50万円補助上限額100万円
賃金引上げ特例50万円+150万円補助上限額200万円
インボイス特例と賃金引上げ特例50万円+200万円補助上限額250万円

持続化補助金<一般型 通常枠>の補助対象経費

持続化補助金<一般型 通常枠>の主な補助対象経費は、事業計画を実施するための機械装置等費、販路開拓のためのWEBサイト関連費などです。建物費や車両購入費などは対象となりません。

持続化補助金<一般型 通常枠>の主なスケジュール

持続化補助金<一般型 通常枠>の申請締め切りは2025年6月13日となっており、主なスケジュールは次のとおりです。
なお商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書の発行受付締め切りは、公募申請締め切りの10日前です。発行を受けるためには、事業計画の内容などの確認と面談が必要です。余裕をもったスケジュールですすめるよう顧問先へ説明しておくことがおすすめです。

持続化補助金<一般型 通常枠>の主なスケジュール
  • 公募申請受付開始:2025年5月1日
  • 事業支援計画書の発行受付締め切り:2025年6月3日
  • 公募申請受付締め切り:2025年6月13日17時

持続化補助金<創業型>とは

持続化補助金<創業型>は、創業後3年以内の小規模事業者が対象です。創業型の補助率は2/3、補助上限額は200万円(特例適用時は250万円)です。本類型の概要をまとめると次のとおりです。

【参考】小規模事業者持続化補助金<創業型>第1回公募 公募要領(第2版)(2025年4月25日)|小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局

持続化補助金<創業型>の補助対象要件は主に4つ

持続化補助金<創業型>の主な要件は次の4つです。なお創業前である起業予定者は対象外となります。

  • 特定創業支援等事業による支援を受けた日および開業日(法人の場合は設立日)から公募締め切り日まで3年以内の事業者である
  • 経営計画を策定する
  • 販路開拓や販路開拓とあわせて生産性の向上に取り組む
  • 商工会・商工会議所から助言など支援を受けて事業を実施する

持続化補助金<創業型>の補助率は2/3

持続化補助金<創業型>の補助率は2/3です。

持続化補助金<創業型>の補助上限額は250万円

持続化補助金<創業型>の補助上限額は200万円です。インボイス特例の要件を満たす場合は50万円上乗せされ、補助上限額が250万円となります。

持続化補助金<創業型>の補助対象経費

持続化補助金<創業型>の補助対象経費は、機械装置等費やWEBサイト関連費、展示会などへの出展費などです。新たな市場へ参入、新たな顧客層を開拓する、販路開拓と共におこなう生産性向上などのために必要な投資が対象となります。

対象外となる主な経費は、単なる更新、建物費や車両購入費などです。

持続化補助金(創業型)のスケジュール

持続化補助金(創業型)の申請締め切りは2025年6月13日です。主なスケジュールは、上記の一般型と同じです。
申請にあたっては、「特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書」が必要となります。あらかじめ準備しておきましょう。

持続化補助金<一般型 通常枠>の主なスケジュール
  • 公募申請受付開始:2025年5月1日
  • 事業支援計画書の発行受付締め切り:2025年6月3日
  • 公募申請受付締め切り:2025年6月13日17時

持続化補助金で顧問先が採択されるためのポイント

持続化補助金は比較的採択率が高い補助金ですが、申請の約40%が不採択となります。

顧問先が申請で採択されるためには、「採択率が高い補助枠で申請する」、「加点措置を活用する」といった、採択されるためのテクニックがあります。

加点措置を活用

持続化補助金<一般型 通常枠>は、採択を決める点数に加点される「重点政策加点」4つと「政策加点」9つがあります。

中でも、補助金申請システム「経営力向上計画加点」は、顧問先へ税理士が提案しやすい加点項目です。

経営力向上計画を活用

「経営力向上計画」の承認をうけておくと、持続化補助金での加点だけでなく、さまざまな政策的な優遇制度があります。

経営力向上計画のメリット
  • 小規模事業者から中堅・中小企業まで対象が幅広い
  • 承認件数が148,153件(2022年10月31日現在)と多く、参考事例が豊富
  • 既存事業の改善が対象(新たな事業分野への取り組みが要件ではない)
  • 即時償却など税制優遇措置がある
  • 制度融資や事業承継時の手続きの特例措置がある
  • 申請書類は約3枚

申請書類の作成負担が少なく、経営革新等支援機関の作成支援が措置されている経営力向上計画の認定を活用しましょう。

【参考】経営力向上計画策定の手引き(2022年8月31日)|中小企業庁

補助金申請支援で事務所の業務を拡充

顧問先の関心が高い補助金を切り口として、顧問先のインボイス対応などの改善を提案し、計画書作成支援業務を受注することで、事務所の業務の幅の拡大、顧問先からのアップセルが見込めます。

補助金申請支援で事務所の差別化と売上増加

税務・会計業務のみでは事務所の差別化は難しいため、補助金や資金調達を支援する取り組みが必要です。

補助金申請支援業務を強化するメリットは次の通りです。

顧問先の関心が高い補助金申請支援をきっかけに、顧問先の獲得や財務改善支援につなげましょう。

補助金申請支援に取り組むメリット
  • 申請支援業務による収入の増加
  • 顧問先の新規獲得
  • 業務内容を深く把握し、さまざまな財務改善提案が可能
  • 商工会議所や商工会、金融機関との連携強化による新規顧問先の紹介

会計事務所が必要とされる補助金は、持続化補助金だけではありません。

「事業再構築補助金」や「事業承継・引継ぎ補助金」においては、認定経営革新等支援機関の関与が必須とされています。

補助金申請支援の受注は販促活動が必要

補助金申請支援業務に力を入れるためには、顧問先の関心を把握し、顧問先が関心をもつ情報を定期的に発信することで受注に繋げます。

事務所としても、制度内容についての理解、事務所スタッフのスキルアップ、定型業務の効率化をおこないます。

差別化できる事務所となるためには、経営革新等支援機関推進協議会をご利用ください

会計事務所の本業である税務・会計業務や記帳代行のみでは、今後の事務所の売上高を伸ばしていくことは困難です。

顧問先の経営の改善を支援し、顧問先から選ばれる会計事務所となるためには、ほかの会計事務所との差別化がカギとなります。

事務所の差別化と効率化は、経営革新等支援機関推進協議会が全面的にサポートします。

経営革新等支援機関推進協議会とは、株式会社エフアンドエムが運営する、会計事務所の経営をサポートするサービスです。

財務診断サービスのツール『F+prus』や事務所スタッフのスキルアップカリキュラムの提供などをおこなっており、全国で1,696の会計事務所様(2022年11月現在)にご利用いただいいております。

経営革新等支援機関推進協議会の補助金申請実務支援メニュー
  • 各種申請書サンプルの提供

各種補助金の審査項目をふまえたサンプルで、初めてでも効率的に作成できます

  • 添削サービス

申請書類をブラッシュアップすることで、採択の可能性もアップします

  • 個別相談

申請書作成時のふとした疑問や質問にお答えします

経営革新等支援機関推進協議会のご利用は、月額33,000円(税込)の定額です。

顧問先企業様からもわかりやすいと好評で事業計画作成機能も付いている『F+prus』のご利用も可能です。

まとめ

持続化補助金は顧問先の関心が高い補助金であるとともに、税理士への相談費用が補助対象となるため、顧問先へ案内しやすい制度です。

また、持続化補助金などの補助金申請支援業務は、事務所収入の増加や顧問先の新規獲得だけでなく、顧問先への財務改善提案につなげやすいため、積極的に取り組みましょう。

事務所の差別化のためのPRや提案ツール、事務所スタッフへの教育訓練をお考えの会計事務所様は、経営革新等支援機関推進協議会へご相談ください。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。