税理士事務所として成功するためには、顧客から選ばれ続けることが必要です。
成功している税理士事務所には秘訣があります。
本記事では、独立開業で成功する税理士事務所のポイントについて解説します。
目次
税理士事務所の独立開業
税理士事務所の開業時にやることは次のとおりです。
開業前の準備
開業前の準備は漏らさずにおこないます。
税理士登録とともに開業する場合と、勤務先事務所から独立開業する場合で、必要な手続きが異なります。
- 税理士登録
- 税理士会への登録区分(開業税理士)への変更
- 開業資金の準備
- 開業後の事務所の方向性(差別化)を決める
- 勤務先からの顧問先の引き継ぎ準備
- 事務所の確保、システムの選定、事務所スタッフの採用など
まず開業後の顧問先との主な接触を、事務所への来所とするか、あるいは、顧問先への訪問とするかを決めます。
来所を主とする場合は、事務所の立地などを検討します。
顧問先の利便性や家賃などを総合的に検討し、慎重に考えます。
顧問先への訪問を主にする場合は、自宅で開業することもあります。
開業後に必要なこと
開業時の顧問先へのお知らせに加えて、今後力を入れるサービスの紹介など、マーケティングを同時におこないます。
勤務先事務所から引き継いだ顧問先に対しても、独立開業後に提供するサービスについて紹介します。
開業税理士の年収は?担当件数は?
開業税理士の事務所は、事務所人数1~4人で平均売上高は約2,000万円、1人あたりでの平均売上高は約800万円と推測されます。
担当件数は、平均雇用税理士数約3名の場合で、法人約30件と個人事業所約20件の顧問契約が平均といわれます。
1人あたり20件~30件が目安と推測されます。
担当件数の増加は顧問料や顧客単価とのバランスを考慮しながら事務所スタッフの確保が必要です。
税理事務所の独立開業に必要な費用
税理士事務所の開業費用はさまざまです。
特に広告宣伝費用は十分なコストが必要といわれます。
事務所(敷金、保証金、家賃)
自宅開業時を除くと、約50万円が目安です。
立地や物件により大きく異なります。
事務機器、事務用品
約10万円が目安です。
机、椅子、来客用のソファは中古品も活用できます。
PC、システム、ソフトウエア
初期費用として約10万円が目安です。
システムの選定は、顧問先のデータとの連携や使いやすさが大切です。
今後の税制改正を想定して、クラウド型も検討します。
広告宣伝費用
約10~50万円が目安です。
顧問先への郵便のみであれば少額です。
事務所のホームページ開設は約10~30万円が目安です。
税理士会入会費
約15~20万円が目安です。
入会する税理士会支部によって金額、手続きが異なります。
開業費用の総額と開業資金の準備
税理士事務所の開業費用は、約200万円といわれています。
勤務先の事務所から顧問先を引き継ぐ場合は、勤務先事務所へ金銭の支払いが発生することもあります。
開業後の運転資金も必要です。
自己資金のみで不安な場合は、開業費用の借入を検討します。
地方公共団体の制度融資、日本政策金融公庫(国民生活事業)の創業融資などがあります。
創業融資の支援は、税理士へのニーズが高い分野のひとつです。
資金調達を実体験することで、顧問先への支援ノウハウも蓄積できます。
顧問先から選ばれる税理士事務所となるためには
本業支援業務
販路開拓や経費削減へのアドバイス、資金繰り改善のための税制優遇制度や公的補助金などの支援をおこないます。
認定支援機関の登録
中小企業支援の専門家である経営革新等支援機関の認定を取得します。
登録後の実績は、中小企業庁のホームページ内にある認定経営革新等支援機関検索システムにおいて公開されます。
「事務所の得意分野」「どのくらいの支援実績があるか」を顧問先や見込み先へ説明できます。
顧問先への営業
事務所の開設のお知らせは、顧問先や顧問見込み先への広告宣伝の好機です。
開業後も継続的に事務所から情報発信することで、顧問契約や支援業務の受注につなげましょう。
税理士事務所の開業は差別化と効率化
税理士登録者数は80,467人、税理士法人拠点数7,457拠点(2023年1月末時点)となっており、一貫して増加しています。
また、顧問先のDX化は今後も進展します。
DX化が進むにつれて、従来の税務・会計業務が必要とされる場面は縮小します。
税理士事務所として独立開業し成功するためには、多くの事務所との違いをアピールし、税務・会計業務以外の分野にも力を入れる必要があります。
税務・会計業務以外の得意分野は事務所によりさまざまですが、成功している事務所に共通するポイントは、「差別化」と「効率化」です。
事務所の差別化とは
事務所の差別化は、顧問先が経営上の問題を相談しに来る事務所、特定の分野に強い事務所などが考えられます。
一般的な中小企業の経営者は、経営全般の相談相手として税理士を頼りにしています。
まずは顧問先への財務分析を切り口に、事務所がどのようなサービスが提供できるか、どの分野が得意であるかをアピールし、実績を積みましょう。
効率的な事務所経営
税務・会計業務に加えて本業支援業務をおこなうためには、事務所経営を効率化します。
定型業務の効率化、広告宣伝の定型化、事務所スタッフへの教育によりマルチタスクをすすめます。
経営革新等支援機関推進協議会では税理士開業後のサポートが可能です
事務所の効率化と付加価値化は、経営革新等支援機関推進協議会のサービスがサポートします。
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが提供する、税理士事務所・会計事務所様向けの顧問先支援をサポートするサービス(月額33,000円:税込)です。
顧問先への販促ツールと情報発信の仕組み作り、補助金申請や財務分析に基づく資金調達支援など顧問先への本業支援業務まで、事務所経営をトータルでサポートしており、1,694の会計事務所様(2023年2月時点)にご利用いただいています。
顧問先から選ばれる財務コンサルタントとなるために、新人でも即戦力となる財務分析を切り口に、事務所の効率化と付加価値化を実現できます。
まとめ
事務所を開業し、顧問先から選ばれ続ける事務所となるためには、「マーケティング」「効率性」「差別化(業務の付加価値)」が重要です。
顧問先への「マーケティング」は、顧問先が関心をもつ仕組み作りがポイントとなります。
事務所の「差別化」は、財務分析や補助金申請支援、資金繰り改善の支援が切り口です。
差別化のための事務所の「効率化」は、定型業務の自動化と知識習得・教育訓練の外注化で実現できます。
税務・会計業務だけではない財務コンサルタントとなるために、経営革新等支援機関推進協議会のサービスが全面的にサポートします。
知識の習得から実務の体験までをパッケージ化しています。
販促ツールを定型化し、月次の情報提供とセミナー開催を自動化できます。
金融機関目線の格付診断と計画書作成を自動化しています。
新人スタッフも即戦力化できます。