会計事務所支援ブログ

税理士として独立開業!成功する税理士がやっている開業のポイント

税理士として独立開業!成功する税理士がやっている開業のポイント

税理士や科目合格者の方の中には独立開業を考えている方も多いでしょう。『税理士は将来性がない』という流言がある一方で、成功している税理士も多くいます。

本記事では成功している税理士に学ぶ、開業税理士として成功するための独立開業のポイントを解説します。

税理士としての独立開業の前におこなう準備

税理士として独立開業する前の準備は多く、開業準備期間としては数か月から1年間かかるといわれています。
事務所開設後しばらくの成否を左右する開業準備においては、次の3点が重要です。

  • ハード、ソフトウェアを準備する
  • 顧問先を明確化し、アピールできる長所を磨いておく

税理事務所の数は全国で29,438か所にのぼります。顧問先を獲得してゆくためには、ほかの事務所の差別化が必要です。

また顧問見込みの顧客層に事務所を認知してもらう広告宣伝が重要です。

  • 営業スキルの向上と事務所運営のための事務への慣れ

開業後は事務所のバックオフィス作業や営業を自らおこなう必要があります。事務所を維持するために必要な事務を身に付けておきましょう。

税理士の開業前の準備

税理士事務所を開設するための主な準備は次のとおりです。

  • 事務所の選定
  • 開業資金の確保
  • 名刺、PC、会計システム、ホームページなどの準備
  • 事務所の内装工事、什器類の購入
  • 税理士登録または開業税理士への変更の登録
  • 顧問先との顧問契約

顧問先のターゲット、事務所のアピール点を明確化

税理士数の増加、顧問先におけるニーズの多様化、会計のDX化などにより、従来の税務・会計業務とは異なる強みが会計事務所に求められています。
税理士事務所の差別化の方向性は大きく下記の3つと言われています。

  • 資産税、海外取引など専門分野に強みがある専門分野型
  • 財務分析や経営コンサルティングなど幅広い業務をおこなう、経営者の相談相手型
  • 起業やIT業界など特定の顧客層に強い特化型
税理士が独立開業を後悔する原因はコレ!後悔しないための5つの準備

税理士の独立開業時に注意すること

開業する時に忘れがちな2つの注意事項があります。

  • 業務報酬額を適正な水準とすること

低価格での業務に時間を割かれ、付加価値が高い業務に集中する余裕がなくなります。

  • バックオフィス業務、差別化が難しい業務を効率的に処理できる体制を整える

開業後は思うように時間が取れないことが増えます。
税理士事務所向けの広告宣伝の代行サービス、紙の領収書を郵送するだけの丸投げ型の記帳代行サービスなどを活用し、付加価値が高いサービスに集中しやすい環境を検討しておきましょう。

税理士の独立は厳しい?顧問先に選ばれる税理士となる方法とは

開業後の成功は『広告宣伝』『営業』『付加価値の提供』

開業直後は収入が不安定となる可能性があるため、売上の増加が最優先の課題です。
独立開業して成功している税理士の共通点は次の3点です。

  • 広告宣伝、マーケティングに力を注いでいる

自事務所を認知してもらい、顧問見込み先や顧問先が関心を持つ情報を届け、自事務所へ誘導する流れをつくります。

  • 顧問先の獲得、顧問先へのさまざまな業務の提案に注力している

顧問先が具体的に業務を発注するよう意思決定してもらうために、事務所が提供できるサービスを具体的に説明する必要があります。

  • 顧問先へ付加価値を提供している

顧問先の業績や資金繰り改善の助言が典型例であり、以下の例があげられます。

・財務分析レポートを提供し、金融機関目線での財務改善事項を明確化し、改善策を提案する

・借換による資金繰り改善を提案し、金融機関への説明資料の作成や金融機関の面談への同席などのサポートをおこない、実現につなげる

税理士の開業を成功させる広告宣伝の具体例

成功する税理士の広告宣伝は『人脈の活用』『デジタル媒体の効果的な利用』、『顧問先における具体的なメリットの提案』などの特徴があります。

人脈をつくるための活動例

開業税理士との主な人脈づくりとして次の例があげられます。

  • 顧問先の経営者からほかの経営者を紹介してもらう
  • 商工会議所などの商工団体に加入し、税務相談会の相談員をおこなう
  • 事務所の開業資金を借入するなどにより、金融機関とのパイプを作る
  • ほかの士業、中小企業支援機関と連携する(司法書士、行政書士、中小企業診断士、よろず相談所など)
  • 不動産会社、フランチャイズ本部などほかの業界と連携する

開業前から始める広告宣伝の例

可能な場合は、独立開業までの過程をSNSなどで発信する方法があります。飲食店などが開店準備をSNSに投稿するのと同じ手法です。
動画による発信はアピール力が高いため、上手に運用することで次のメリットがあります。

  • 開業準備ノウハウに関する情報を発信することができる
  • 同じく開業を準備している税理士仲間や開業への共感者を見つけることができる
  • 事務所開設後のSNS運用や動画編集の練習となる

WEBの活用例

インターネットの活用はメリットが多い広告宣伝です。ローコストで自由に発信でき、24時間情報を提供可能であり、情報の蓄積も容易です。
情報発信量が少ない場合はSNS、多くの情報を長くストックする場合はホームページといった使い分けが有効です。

最近はSNSを活用する税理士が増えてきています。

開業時から開業後も広告宣伝で活用を検討したいSNSは、主要なアプリによって利用者層が異なります。開業後の顧客層にあったアプリを中心とすることがおすすめです。

【引用】誰でもらくらくSNS活用ガイドブック|日本政策金融公庫

顧問先に対しておこなう『情報提供』と『提案』の例

広告宣伝のための情報提供は、その情報を受信した人におけるメリット、どのような行動が必要であるかなどをわかりやすく表示します。

上記のチラシ例のように、内容をコンパクトに記載するとともに、関心を持った人がより詳細に確認するためにホームページの2次元コードなどを設定しておくことがおすすめです。

開業で成功する税理士の営業テクニックとは

開業税理士にとって重要な業務が営業です。営業努力を成約に結び付けるためにはポイントがあります。営業上のトークでおすすめのテクニックは以下のとおりです。

媒体+トークで営業する

情報発信に追加のひと手間をかけることで、顧問先が行動しやすくなります。
DMを送信後、電話・メールなどで『送りましたよ。この点が貴社に有効と考えております』の一声を伝えるだけでも顧問先が意識します。

営業トークは具体的な内容を伝える

顧問先の行動につながるトークは、具体的な内容を伝達しています。
(トークの例)
「今回お送りしたDMは、新しくできた『省力化投資補助金』のご案内です。以前お聞きした自動掃除ロボットの購入が補助対象となる可能性があるため検討してみましょう。」

成約につながる営業トークのポイント

トークのおすすめ例(〇)とあまり良くない例(×)は次のとおりです。

おすすめ例

〇「今回購入予定の自動配膳ロボットは省力化投資補助金の対象機種であるため申請を検討しましょう」

〇「今期は500万円の黒字の予測です。節税と同時に退職金準備ができる小規模企業共済の一括納付を検討してはいかがでしょう」

〇「当事務所は財務分析が得意です。顧問契約前に財務診断レポートを試してください」

良くない例

×「何かあれば連絡してください」

×「困ったらご相談ください。なんでも聞きます。」

×「当事務所のサービスは良いです。なんでもできます。顧問契約してください。」

良い例は次の内容を伝えています。

  • 顧問先の行動を踏まえて、関心が高いテーマについて具体的に説明している
  • 相手が関心を持ちやすいテーマについて、具体的な対策を提案している
  • 顧問契約よりも前に、ハードルが低いアクションで行動を促している

良くない例は、相手へ伝えている内容が曖昧です。

  • 期限もテーマもなく、相手の行動に任せている
  • 相談したらどうなるのか、次が見えない
  • 顧問先におけるメリットが不明なまま、最初からハードルが高い行動を要求している

付加価値の提供による事務所の差別化で生き残る方法

税務・会計業務のみでの差別化は困難となっています。これからも顧問先から選ばれ続ける事務所となるためには、顧問先の課題解決をサポートするなどの付加価値の提供が求められています。

顧問先におけるニーズの把握

顧問先のニーズを把握する方法として次の例が挙げられます。

  • 月次監査の際に経営上の課題を話してもらう
  • 顧問先へ悩みごとのアンケートをおこなう
  • 補助金情報などを継続的に発信し、リアクションがあった顧問先をピックアップしておく
  • 補助金申請や金融機関提出用のための資料作成をサポートし、今後の投資予定を把握する
  • 事務所における対応例を開示し、類似のニーズの有無を確認する

顧問先への継続的な情報発信とともに、顧問先から自事務所へ連絡がくる仕組みづくりが効果的です。例えば経営革新等支援機関推進協議会が提供している『FASクラブ』は事務局からの情報発信と事務所への問い合わせを組み合わせたサービスなどを検討できます。

【引用】サービスの仕組み|FASクラブ

同業者の付加価値業務の推進を参考

顧問先の経営改善につながる業務はさまざまです。ほかの税理士事務所で成功している事例は開業後も大変参考となります。
TKCや経営革新等支援機関など参加事務所が多い団体においては、ベストプラクティスを共有するセミナーなども頻繁に開催されており、大変参考となります。

【参考】ベストプラクティス事例発表会|経営革新等支援機関推進協議会

ほかの専門家との連携によるサービス拡充

経営者が悩むさまざまな内部課題に応じて、ほかの支援機関と連携した本業支援が効果的です。

経営者の悩みごとで上位となる『販路開拓』『人材採用・育成』などは、例えばよろず支援拠点やプロ人材拠点などとの連携が検討できます。

【引用】2023年版中小企業白書|中小企業庁

まとめ

成功している税理士は、顧問先に対する付加価値業務の提供と、それを可能とする事務所の効率化、広告宣伝の仕組み作りができていることが多いです。

税理士事務所の開業準備や現在経営している事務所の差別化にお悩みの税理士さまは、1,709事務所が参加している経営革新支援等支援機関推進協議会にお気軽にご相談ください。

協議会は会計事務所の補助金申請支援や財務支援などの「やりたい」を「できる」とするノウハウと仕組みを提供しており、事務所の開業からのスタートダッシュをサポートします。

ABOUT US

経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。