税理士は68.4%が独立開業しています。
税理士は独占業務があり、生涯にわたり活躍できるなど、独立開業に向いた職業であり、所属(勤務)税理士や科目合格者の中には、将来税理士事務所を独立開業したいと考える人も多いでしょう。
しかしながら、独立すれば必ず成功するとは限らず、独立開業に不安を感じることもあるかもしれません。
本記事は、税理士として独立開業するときに感じる不安、開業に失敗する原因、独立してから後悔しないための対策などについて解説します。
目次
税理士が独立開業前に感じる7つの不安

国税庁の発表によると、税理士登録者数81,280名のうち開業税理士は55,578名となっており、全体の68.4%を占めています。(2024年3月末時点)
税理士は独占業務があるなど、独立開業に向いている職業ですが、所属(勤務)税理士や科目合格者が独立に不安を感じている場合もあります。不安であると感じる主な理由は次のとおりです。
独立後の収入(年収)
最も不安を感じる点は将来の収入です。
中小企業数の減少と税理士数の増加、低価格事務所の増加や顧問料の下落などが不安要因であるといわれています。
開業後の顧問先獲得
開業後に顧問先を獲得できるか不安になることがあげられます。
所属税理士と異なり、開業税理士は自ら顧問先を獲得する必要があるためです。開業したばかりの頃は、顧問先を獲得する人脈が少なく、安定して受注を獲得できないかもしれないと不安になることがあります。
経験不足
独立後、自分の経験だけで顧問先からの相談や業務に対応できるかという不安です。
経験が不足している業務を単独で遂行できるかわからない、経験不足で顧問先からの相談に十分に対応できないかもしれないなどの不安が多いといわれています。
開業後のスタッフの確保
開業後のスタッフ、監査担当者を確保できるかという不安です。
入力作業や事務をおこなうパートタイム従業員は確保できても、監査担当者が採用できるかわからないという不安があるといわれています。
独立開業時のトラブル
在籍している事務所を退所するときに、トラブルとならないか危惧することがあります。
人手不足の事務所を円満に退職できるか、退所時に顧問先を自らの事務所へ移してもらうことが可能であるかなどが理由としてあげられています。
独立後のワーク・ライフバランス
独立後に忙しくなりすぎるのではないかという不安です。
独立開業後は顧問先を獲得するために自ら営業する、事務所の事務を処理する、税制改正にあわせて知識をアップデートするなど、「多忙となるのでは?」と不安になるといわれています。
税理士業界の将来への不安
将来的な税理士業界全体について不安を感じる人もいます。
記帳業務や申告書作成のための集計作業などが自動化され、今後ますますAIの浸透により税理士が活躍できる場が縮小するのでは、という漠然とした不安があるといわれています。
税理士事務所が淘汰される!?休廃業率は全業種ワーストの5.6%

税理士として独立しても、必ず成功するとは限りません。税理士業界は競争と淘汰の時代に入っています。
帝国データバンクの調査によると、2024年における税理士事務所の休廃業・解散発生率は5.61%となり、全業種ワーストです。また2023年の休廃業率は5.24%であり、2年連続して5%を超えました。税理士事務所の休廃業が増加している背景は、次の3つであるといわれています
- 税理士の高齢化
- 税理士間の競争激化
- 顧問料の低下と人手不足に対し、インボイス制度の導入による事務の増加
【参考】全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024 年)|帝国データバンク
上記の状況を踏まえると、独立しても苦戦する税理士事務所の特徴として次の3つがあげられます。
- 定型業務や事務作業が効率化されていない
- スタッフの長時間労働が常態化している
- 顧問先が求めるサービスを提供できず、顧問料の引き上げが進んでいない
税理士が独立を不安に感じる解消法は『事前検討』『入念な準備』
顧問先が税理士に対し求めるニーズは多様化しています。従来の税務・会計業務だけでなく、顧問先の財務改善や資金調達、高度な税務・会計サービスが一層求められています。
顧問先における新しいニーズに対応できる税理士事務所にとっては成長の好機であるといえるでしょう。
これからの時代に対応できる税理士事務所として独立するためには次の事項を事前に検討し、しっかりと準備しておきましょう。
税理士事務所への顧問先のニーズをつかむ
顧問先からみると、税理士は経理や会計のプロであると同時に、最も身近な相談相手です。
中小企業庁の調べによると、中小企業経営者が社外へ相談したい経営課題のうち『財務』の相談相手は税理士が43.1%を占めています。そのほか『生産・製造』や『ICT活用』など多岐にわたり、税理士を相談相手として考えています。
特に近年は、中小企業の多くが人手不足における対応としてバックオフィス業務のIT化・DX化を考えています。『中小企業白書』によると、中小企業の約1/4はIT化における相談相手として税理士をあげています。

税理士事務所ができることは多数ある!
税理士が中小企業に対して提供できるサービスは多く、顧問先のニーズや事務所の得意分野に応じて対応することができます。税理士事務所が提供できる主なサービスは次のとおりです。
- 税理相談
- 財務改善コンサル
- 事業再生コンサル
- M&A、事業承継コンサル
- 経理業務コンサル
- 相続、資産税コンサル
実はブルーオーシャン?補助金などの活用支援をおこなう事務所は約8%
多くの税理士事務所において、顧問先の補助金・助成金申請へのサポートに力を入れているといわれています。
しかしながら中小企業庁のアンケートによると、経営革新等支援機関である税理士事務所のうち『施策活用(補助金申請含む)』をおこなっている事務所の割合は8.3%、税理士法人についても14.5%にとどまります。
経営者の関心が強い補助金申請支援を強みとするなど、同業事務所との差別化が可能な余地があると推測できます。
【参考】2023年度(令和5年度)認定経営革新等支援機関に関する任意調査報告書|中小企業庁
税理士が独立開業で後悔しないための準備
多くの同業事務所の中から顧問先に選ばれる事務所となるためには、顧問先を集める集客力と事務所の差別化が重要です。
税理士として独立する前に事務所の方針を決めておくことで、独立前の不安を解消できる可能性があります。
税理士事務所としての方針、特色を決めておく
事務所を差別化するために、独立後の事務所の方針を決めておきましょう。例えば次の観点から方針を決めることがあげられます。
- 価格重視または手厚いサービス
- 特化型または顧問型
新規顧問先獲得のための集客・マーケティングを考えておく
集客ツールやマーケティングツールを検討しておきましょう。
税理士紹介会社のサービスを検討しておく、税理士事務所向けに提供されているマーケティングツールを比較検討しておく、などがあげられます。
営業力を磨いておく
顧問先を獲得するために、営業スキルを磨いておきましょう。
顧問先数が多くなるほど、顧問料収入が安定します。マーケティングとともに、顧問先を紹介してもらうための人脈形成としては、金融機関や商工会と連携するなどがあげられます。
IT・DXに詳しくなっておく
IT化やDX化に積極的に取り組みましょう。
自事務所内の定型業務や事務作業を効率化でき、スタッフの長時間労働を減らすことが可能となります。また顧問先におけるIT化を支援する、IT化に対応できない同業事務所から顧問先を獲得するなどの可能性につながります。
運転資金を確保しておく
運転資金として経費の半年分などの手元資金を蓄えておきましょう。
顧問先を増やし収入が安定するまで時間がかかる可能性があります。収入が安定するまえに事務所の資金繰りを維持できない事態とならないよう、運転資金を準備しておきましょう。
相談相手を見つけておく
独立後のさまざまな悩みを相談できる相手を見つけておきましょう。
また成長している同業事務所を参考とすることで、事務所経営のノウハウを吸収できる可能性があります。税理士が集まる団体に参加することがおすすめです。
顧問先から選ばれる事務所へ経営革新等支援機関推進協議会がサポート
税理士として独立する前は、将来の収入や顧問先獲得などが不安となるかもしれません。
税理士業界は競争が厳しくなっていますが、顧問先のニーズに対応できる事務所は顧問先から選ばれ、成長する事務所となれる時代であるといえます。
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