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2023年(令和5年)分確定申告の変更点。税理士の説明ポイントとは

2023年(令和5年)分確定申告の変更点。税理士の説明ポイントとは

令和5年分の確定申告がまもなく始まります。今回はインボイス制度導入後はじめての確定申告となるため、申告書について一部改正がなされています。

本記事では2024年提出の2023年分確定申告における変更点を解説します。

2023年分の確定申告は3月15日までに提出

2023年分(令和5年分)の所得税および復興所得税・贈与税の確定申告は2024年2月16日(金)から2024年3月15日(金)までです。

個人事業主の消費税等(消費税および地方消費税。以下同じ。)の申告と納付は、2024年4月1日(月)までとなります。

期限に余裕をもって申告できるよう、早めに顧問先と調整しましょう。

2023年分確定申告の変更点

2023年分の確定申告等の様式や手引きが国税庁から発表されました。2023年分の確定申告書における主な変更点は次の2点です。

  • インボイス制度に対応する登録番号欄の新設
  • マイナポータルとの連携範囲の拡充

第1表、第2表の変更点

第1表については変更ありません。

第2表については下記の2点が変更されています。注意が必要な顧問先は、国外居住の扶養親族がいる場合と株式に関する確定申告を行う場合です。

  • 配偶者や親族に関する事項の変更

国外居住欄の記載が変更されました。

【引用】2023年分所得税および復興特別所得税の確定申告の手引き|国税庁

  • 住民税・事業税に関する事項

特定株式の収入欄がなくなりました。

【引用】2023年分所得税および復興特別所得税の確定申告の手引き|国税庁

青色申告決算書(青色申告事業者)の変更点は2つ

青色申告決算書についての変更点は主に2点です。

  • 地代家賃の内訳は2ページへ移動

従来は3ページに記載していた地代家賃の内訳欄が2ページへ移動されています。

【引用】2023年分 青色申告決算書(一般用)の書き方|国税庁

  • インボイス制度の適格事業者登録番号の記載欄が新設

3ページに記載する売上(収入)金額の明細、仕入金額の明細についてインボイス登録事業者の番号を記載する欄が設けられました。

なお、売上先・仕入先の登録番号または法人番号を記入した売上先・仕入先については所在地の記入を省略することができます。

【引用】2023年分 青色申告決算書(一般用)の書き方|国税庁

収支内訳書(白色申告事業者)もインボイスに対応した様式へ

白色申告事業者の収支内訳書についても、2ページにインボイス登録番号を記載する欄が設けられました。

【引用】2023年分 収支内訳書(一般用)の書き方|国税庁

マイナポータルとの連携範囲が拡大

マイナポータルとの連携対象が2024年1月以降に拡大される予定です。2023年分確定申告から、マイナポータル経由で一括取得したデータを申告書へ自動入力する範囲が拡大されます。

  • 給与所得、公的年金の源泉徴収票
  • 株式の特定口座
  • 医療費
  • ふるさと納税
  • 生命保険、地震保険、社会保険
  • iDeCo
  • 小規模企業共済掛金
  • 住宅ローン控除関係書類

【引用】令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!|国税庁

『2割特例』の自動計算が可能

国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーについて、簡易課税制度や2割特例の申告書を作成する場合の消費税額を自動計算するシステムへと変更されました。

【引用】令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!|国税庁

顧問先への案内ポイント

顧問先への案内ポイント

顧問先にとっても、2023年分の確定申告はインボイス制度導入後はじめてです。免税事業者から課税事業者へ転換した顧問先を中心に十分な確認が必要となるため、ポイントをおさえた確認が必要です。

早めの依頼、早めの着手

まずは税理士から顧問先への早めのアクションが第一です。
顧問先がとまどいやすい下記の変更事項を中心に、事前に顧問先における確認を依頼しておきましょう。

  • 消費税の端数処理

消費税の計算は1インボイスにつき税率ごとに1回に変更されています。

  • 修正インボイスの確認

受け取ったインボイスに誤りがある場合は、発行者からの修正インボイスの受領が必要です。インボイス受領側における追記や修正は禁止されています。

  • 領収書などにおけるインボイス発行事業者番号の記載

インボイスの記載要件を満たす書類が見積書と請求書など複数の書類となることがあります。

  • 3万円未満の支払についての領収書

3万円未満の支払についても領収書が必要です。

  • クレジットカードで支払った場合の領収書

クレジットカードの利用明細書はインボイスとして認められないため、領収書が必要です。

  • 口座振替による支払先からのインボイス番号の通知書の受領

家賃など口座振替による支払先についてはインボイスとしての要件を充たす通知書と契約書を保存しておく必要があります。

  • 保存が必要な書類

インボイスとして認められる要件を満たす書類は、請求書のみ、見積書と請求書の組み合わせなど、取引先によって異なります。

受領が必要な書類の明確化、共有化

顧問先から受領が必要となる書類を事前に明確とし、受領状況がわかるようにしておきましょう。例えばクレジットカードで支払った経費についての領収書、領収書にインボイス発行事業者の番号が記載されていない取引先からの請求書などインボイス登録番号がわかる書類です。

不慣れなインボイス対応は顧問先・事務所の双方で確認

インボイス制度開始に伴う変更点は顧問先における確認だけでなく、事務所においても再確認が望ましいです。すべてを税理事務所で再確認することは困難であるため、顧問先と事務所でそれぞれチェックする範囲について相互に再確認しておきましょう。

紙の領収書の顧問先はアウトソーシングを検討

紙の領収書が多い顧問先については、事務に時間がかかります。繁忙期における事務所スタッフの負担を軽減するためには、紙の領収書を送るだけで記帳代行が可能なサービスの利用が効果的です。

の領収書が多い顧問先に対しては、確定申告の事務負担を顧問先・事務所ともに削減できる対策として提案してみましょう。

繁忙期は事務所の効率化・付加価値業務の推進に取り組むチャンスです

例年、確定申告開始時期となる12月から法人の確定申告が集中する6月まで、会計事務所の繁忙期が続きます。

会計事務所の繁忙期は業界における人手不足の原因の1つともいわれているため、繁忙期の業務削減でほかの事務所と差をつけることが可能です。

また、繁忙期の業務負担を軽減し、生まれた時間を使って、より付加価値が高い顧問先への本業支援業務などに投入することで、事務所の差別化へつなげることが可能です。

会計事務所の繁忙期対策と付加価値業務の推進をすすめるため、経営革新等支援機関推進協議会は記帳代行業務を劇的に削減する『おくるダケ記帳』サービスを開始しています。

気になる料金はサービス内容で2種類。仕訳数に応じた料金加算がない定額制のみで安心して利用できます。

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まとめ

2023年分(令和5年分)の確定申告が間もなく始まります。

2024年申告の2023年分確定申告の変更点は大きくないものの、インボイス制度導入後初の確定申告であり、顧問先における戸惑いやトラブルが予見されています。顧問先、会計事務所との間で細かな点も気兼ねなく調整する関係を築く好機ととらえ、顧問先の起票・記帳業務の改善提案などにつなげることも可能です。

人手不足の中で繁忙期を迎える会計事務所は、繁忙期こそ業務量の負担を軽減する対策をおこない、スタッフが働きやすい環境づくりをすすめましょう。

全国1,700以上の事務所が参加する経営革新等支援機関推進協議会が、事務所の効率化と収益向上をトータルでサポートします。

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