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税理士の顧問先の増やし方は?メリットデメリットと取組方法を解説

税理士の顧問先の増やし方は?メリットデメリットと取組方法を解説

税理士の中には「営業しなくとも顧問先が増えるだろう」と考える人もいます。しかし、税理士が80,000人を超える時代において、“待ちの姿勢”のままでは顧問先が増えるとは限りません。

本記事では顧問先を増やす取組方法におけるメリットデメリット、ポイントなどを解説します。

税理士が顧問先を増やす7つの方法とメリットデメリット

税理士が顧問先を増やす代表的な方法は次の7つです。それぞれのメリットデメリットをまとめると以下のとおりです。

税理士紹介サイト

税理士紹介サイトとは、税理士を探している人と登録している税理士をマッチングさせるポータルサイトのことです。
月額費用が低廉または不要であり、成約時に報酬を支払う費用体系が主流であるため、営業コストを抑えられます。

メリットデメリット・
・集客を任せられる
・税理士を探す意思が強いユーザーからの接触が多い
・遠隔地に対してもアピールできる
・自社ホームページよりも即効性がある
・価格競争となる可能性がある
・サイトにより成約実績が異なる
・掲載費用または成約報酬が必要
(一般的に2万円から50万円程。
 年間顧問料の75%が目安)
・自事務所の特徴をアピールするテクニックが必要

Googleビジネスプロフィール

Googleビジネスプロフィールとは、Googleマップの検索結果に自事務所の情報を表示させる手法のことです。
事務所名、場所、連絡先などだけでなく、対応業務や写真、動画、口コミなどを掲載することができ、上位に表示されると多数のアクセスを期待できます。

メリットデメリット
・特定の地域で税理士を探している見込み先にアピールできる
・広告費が不要
・口コミ評価により信頼を得やすい
・効果が表れるまで時間がかかる
・悪い口コミが投稿される可能性がある  

ホームページ

事務所のホームページは名刺や看板などと同様に重要なツールです。

メリットデメリット
・大量な情報を掲載可能
・24時間宣伝可能
・オリジナリティを反映しやすい
・作成、運用に費用がかかる
(ゼロ円から200万円程)
・常に更新が必要

SNS、動画運用

YouTube 、Facebook、X(Twitter)のほか Instagram、TikTokなどを活用する方法です。
中でもYouTubeは税理士の知名度向上や集客と親和性が高く、登録者数10万人以上などの有名チャンネルも多くあります。

メリットデメリット
・指名依頼につながりやすい
・ツールごとに異なるユーザー層にあわせたアピールが可能
・メッセージのみ、動画がメインなど用途にあわせツールを変えることできる
・専門的な内容であっても、動画によってわかりやすく説明しやすい
・ユーザー層にあわせた使い分けが必要
・閲覧者数を増やすまで時間がかかる
・閲覧者からの反応を得るテクニック、
動画編集ノウハウなどが重要
・運用を委託する場合は費用が発生
(3万円から30万円程)
・頻繁に更新する必要がある

顧問先からの紹介

既存の顧問先から知り合いの事業者などを紹介してもらう方法です。

メリットデメリット
・事務所の業務内容などを知っている可能性が高い
・顧問先の同業者など業種の特化へつながりやすい
・見込み先の素性が明確なことが多い
・費用がかからない
・紹介者によっては断りにくい
・不正確な口コミを頼りにアプローチされる可能性がある

銀行、商工団体、支援機関からの紹介

銀行などの金融機関、商工会議所などの団体、よろず支援拠点などの専門支援機関、あるいは連携しているほかの士業事務所から紹介を受ける方法です。

メリットデメリット
・ニーズが明確であることが多い
・費用がかからない
・紹介してもらうまでに自事務所の信頼を高める必要がある

セミナーの開催

事務所がセミナーを開催、あるいは金融機関などが開催するセミナーの講師として参加することで、参加者との顧問契約につなげる方法です。

見込み客と対面しながら話ができるため、見込み客にとって安心感が高い集客方法です。

メリットデメリット
・テーマによって見込み先を絞り込むことが可能
・税理士の人柄や性格などを知ってもらいやすい
・開催費用、資料の準備などの負担が重い
・契約につながる見込みが判断しづらい

税理士がオンラインで顧問先を増やす4つのポイント

税理士がオンラインで顧問先を増やすコツは次の4つです。

ホームページは必須

ホームページの開設は必須といえます。
ホームページがない事務所は、見込み先や事務所求人への応募者が「本当に業務をやっているか」「DX時代に対応できるか」などの不安感を抱く可能性があります。

ホームページは柔軟な運用が可能です。詳細な情報や解説動画の掲載、スタッフを募集するための採用サイトの構築など、あらゆる場面における基礎として活用できます。

Googleビジネスプロフィールの充実

Googleビジネスプロフィールの効果的な使いかたは、ホームページと連動させて集客を安定させるためのツールとすることです。
次のようなプロフィール情報を充実させることでアクセス数の増加を期待できます。

  • 業務の内容、ホームページへのリンク、得意とする業務
  • 事務所やスタッフの写真・動画、顧問先からの口コミ
  • 検索結果数が500から1,000程となるキーワード(「地域名×税理士」など)

SNS運用は目的に応じたコンテンツを載せる

SNSはツールによってユーザー層が異なるため、事務所がターゲットとする顧客層にあわせて使い分けます。SNSを活用する際に共通するポイントは次の4つです。

  • 集客につながるまで、一定期間の継続的な投稿・掲載が必要
  • 情報発信を多頻度でおこなう
  • ユーザーが知りたい情報を提供することを優先する
  • 悪い評価・口コミが広まる可能性があることを常に念頭に置く

ツールごとの主な特徴や使いかたは次のとおりです。

主なツール主な特徴主な使いかた
YouTube・幅広いユーザー層
・税理分野はニーズが強い
・動画でわかりやすく説明できる
・税制や補助金申請のコツなどの解説動画の発信
・動画による税理士の顔や人柄などのアピール
・ホームページ、セミナーへ誘導
Facebook・中高年のユーザーが多い
・面識がない人とグループでつながることができる
・広告を利用することで個別にアプローチが可能
・顧問先の経営者仲間などとのつながりを構築
・税理士個人のブランディング
X(Twitter)・若年から中高年までユーザー層が幅広い
・短文投稿で手軽
・拡散性が高い
・リアルタイム投稿による注目度の向上
・トレンド機能によるニーズの把握

事務所からの情報発信は継続的におこなう

SNSやホームページは更新、つまり継続的に新たな情報を発信することが必須です。
継続的な情報発信内容として、顧問先や見込み先が関心を持ちやすい補助金や税制改正があげられます。精度が頻繁に改正され、継続的に発信しやすいためです。
事務所において動画など素材の作成が負担となる場合は、税理士事務所向けに情報発信素材を提供するサービスの活用を検討します。

税理士がオフラインで顧問先を増やす7つのポイント

顧問先からの紹介などインターネットを介さない方法で顧問先を集めるために大切なことは、事前の準備と事務所の強みを磨くことです。

地域の同業者・顧客層を確認

税理士の営業活動のスタートは、アピールすべき自事務所の強みを明確化し、適切な営業方法を組み合わせることです。

近隣の同規模の事務所のホームページやSNSなどから、顧問料やサービス内容などを確認し、自事務所と比較することで自社の強みや弱みについて検討します。

事務所のブランディング

税理士事務所がおこなうブランディングは、同業事務所とは異なる営業手法の強化などのテクニックと、業務の拡充または分野特化などのポジショニングの2つです。

自事務所の強みやマンパワーに応じて、力を入れる内容を決定します。

税務・会計以外のサービスを拡充

SNSに力を入れるなどのテクニックのみでは、長期的な競争力の維持は難しくなります。
また税務顧問のみでは事務所の差別化は難しく、相続や特定業界への特化も評価を得るまでに時間がかかります。

地域密着型の事務所などの場合は、多くの顧問先から需要が見込まれる補助金申請への支援、資金繰り改善提案など汎用性が高い取組から強化することがおすすめです。

金融機関などとの関係を構築

銀行などの金融機関や、司法書士・社会保険労務士など、ほかの士業との連携を深めておきましょう。スポットの業務受注や顧問先の紹介、セミナーへの講師としての登壇など、見込み先を幅広く獲得する機会につながります。

事務所の業務を効率化

本業に加えて顧問先支援業務の拡充や見込み先への営業をおこなうためには、事務所の経営を効率化させることが必要です。
業務のDX化や販促ツールのアウトソーシング、顧問先への自計化を促すなど事務所の生産性向上に取り組みましょう。

スタッフの育成

新規顧問先獲得のための営業や幅広い業務を推進するためにはスタッフのスキルアップが必要です。
新人スタッフの基本業務レベルを引き上げる、中堅スタッフに税務以外の本業支援業務に関するノウハウを身に付けさせるなど、スタッフにあわせたカリキュラムが有効です。

成功している事務所を参考とする

「ほかの事務所の取り組み方法を知りたい」などのお悩みは、成功している同業事務所の話を聞くことができるセミナーへの参加が効果的です。

会計事務所の情報発信・支援業務・人材育成まで協議会がトータルでサポート

経営革新等支援機関推進協議会は、マーケティングツールや財務分析・資金繰り改善提案ノウハウの提供、スタッフの育成支援まで、会計事務所の顧問先支援業務をフルサポートするサービスを月額30,000円(税抜き)で提供しています。

サービスの一部を紹介します。

  • 販促ツールの提供
    今すぐ使える、優遇税制・補助金・税制改正情報などの顧問先への提案素材を提供しています。
  • 財務分析・提案ツール『F+prus』(エフプラス)
    財務分析や事業計画の生成が簡単にできる分析・提案ツールです。課題に応じた改善提案メニューまでセットしており、経験が浅いスタッフであっても分析から提案までが簡単に実行できます。
  • 研修プログラム『ACADEMY』

    補助金・財務支援を短期間で身に付ける動画視聴型の研修プログラムです。

まとめ

税理士の顧問先の増やし方は、インターネット上での宣伝を効果的に運用すると同時に、業務の拡充や事務所の生産性向上に取り組む必要があります。

税理士として顧客を獲得していくために必要となる事務所の差別化と効率化のお悩みは、経営革新等支援機関へお気軽にご相談ください。

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経営革新等支援機関推進協議会
経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。