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経理AIで何が変わる?税理士事務所と顧問先の生成AI活用法・導入ステップを解説【2026年版】

経理AIで何が変わる?税理士事務所と顧問先の生成AI活用法・導入ステップを解説【2026年版】

ChatGPTなど生成AIを活用する税理士事務所が増えているといわれています。生成AIの活用が浸透することにより、税理士は働き方やサービスの内容を大きく変革する必要に迫られます。
本記事では税理士事務所における生成AIの活用事例や、業務に活かすポイントについて解説します。あわせて、顧問先の経理業務にどこまで生成AIを導入できるかについても、2026年8月時点の状況を整理して解説します。

税理士業界・顧問先の税務における生成AIの影響

生成AIを活用することで、税理士事務所における業務や、顧問先がおこなう経理・税務業務に影響を与え、単純な事務作業や記帳代行業務を生成AIが代替することで劇的に効率化されたり、顧問先における経理事務が自動化されたりします。

税理士・経理の仕事は生成AIに奪われる?

「生成AIにより税理士の仕事が奪われる」、「税理士が不要となる」、といわれることもありますが、これには大きな誤解が含まれています。
生成AIは起票や税務申告資料の作成などの単純作業が得意であるため、これらのニーズは縮小すると予測されていますが、複雑な税法と、その解釈が必要な業務や個別案件ごとに専門的な知識が求められる業務については、生成AIが代替することは困難でしょう。

生成AIの浸透により定型業務が減り、税理士業務の核は高度な専門知識に基づき顧問先へ提案・助言・指導などをおこなうコンサルティング業務となる、つまり“税理士の働き方が変わる”と予測されています。

税理士の業務はAIでいらなくなる?税理士がAIを活用する方法を解説
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生成AIの浸透で税理士の仕事のやり方が変わる

上記の“税理士の働き方が変わる”をイメージすると以下のとおりです。人がおこなっていた作業を生成AIが代替し、人は確認業務に集中できることとなります。

(従来の業務のイメージ)

従来の業務のイメージ

(生成AIを活用した業務のイメージ)

生成AIを活用した業務のイメージ

生成AIにより仕訳入力や提案書の作成に費やす時間を削減することで、顧問先への提案内容の検討や面談時間などを増やすことが可能です。

生成AI活用による効率化イメージ

生成AIは税理士事務所に必要!?活用するメリットデメリット

生成AIを活用する際の主なメリットデメリットをまとめると次のとおりです。

大きなメリットは業務の効率化、ミスの減少

生成AIを活用する大きなメリットは効率化・ミスの減少です。
既に紙証憑のスキャンやネットバンキングのデータに基づく自動仕訳サービスが多くの企業から提供されており、仕訳入力にかかる時間が大幅に減少するといわれています。

また、文章の作成や簡単な確認は生成AIを活用することで効率化可能です。

生成AIの成果物は確認が不可欠

生成AIを活用する際のデメリットは次のとおりです。

  • スクリプト(指示文)により正確さが異なる
  • 情報が古い、またはハルシネーション(事実に基づかない情報の生成)が発生することがあるため、最新情報に基づくチェックが重要
  • 個別事例のデータが少ない

生成AIによる成果物は基本的に正確なものが多いものの、場合によっては誤りや不適切な表現が含まれることがあります。生成AIを業務に活用する場合は、”人の目”でチェックすることが特に大切です。

税理士が業務に活用している代表的な生成AI

税理士事務所において利用されている生成AIの代表例をまとめると、次のとおりです(2026年8月時点、機能は変化が速いため断定的な優劣ではなく用途の目安としてご確認ください)。

ツール得意な用途税理士事務所での使いどころ
ChatGPT文章作成、要約、壁打ちメルマガ・提案資料のたたき台、顧問先への説明文の作成
Microsoft CopilotExcel・Word・Outlookとの連携試算表の分析、メール下書き、議事録
Claude長文の読み込みと精緻な文章生成通達・公募要領の読み込み、契約書レビューの下読み
Gemini/Google WorkspaceGoogleドライブ・スプレッドシートとの連携事務所内のファイル横断検索、共同編集
NotebookLM手元資料に限定した回答自社マニュアル・過去の相談事例の社内ナレッジ化

各ツールの活用法は「Google Workspace」「Claude for Small Business」の解説記事もあわせてご確認ください。

税理士事務所において利用されている生成AIの代表例として、ChatGPTCopilotがあげられます。

『ChatGPT』は文章作成から分析まで幅広く活用

ChatGPTは質問型で使いやすく、文章生成や簡単な調査に強いため、文章作成やレジュメ作成、簡単な財務分析などのアシスタントとして有効です。
ただし最新情報に基づく文章作成や法律上の助言などは不得意であるといわれています。簡単な利用例は次のとおりです。

【引用】ChatGPTの利用画面
【引用】ChatGPTの利用画面

Microsoft『Copilot』はエクセルなどと連携しやすい

CopilotはMicrosoft社が提供する生成AIです。ChatGPTと同じく文章作成などに向いています。またワードやエクセル、パワーポイントなどとの連動がスムーズにおこなえる点もポイントです。

税理士事務所における生成AI活用例

税理士事務所における生成AIの代表的な活用例は次のとおりです。

AI-OCR、会計ソフトによる自動仕訳

AI-OCRはOCRにAI技術が実装されたサービスです。AI-OCRを組み込んだクラウド会計サービスなどが多くの企業から提供されています。
AI-OCRはOCRよりも文字認識率が高く、読み取り精度が95%以上などのサービスも珍しくないため、仕訳入力の負担を大きく減らすことが可能です。

データの突合

顧問先の会計データと事務所が入力したデータに差異が発生することがあります。
ChatGPTを利用し不整合のデータを特定・抽出することが可能です。

メルマガ、情報提供素材の生成

ChatGPTやCopilotに作成指示を入力することで、顧問先へ提供する情報発信素材を簡単に作成できます。
生成された内容の正確さをチェックする作業が重要となるため、迅速に発信したい場合は「経営革新等支援機関推進協議会」などが提供している販促ツールを活用する方法を検討しましょう。

面談記録の作成

顧問先とのオンラインで面談した際のやり取りなどを自動で議事録化できます。例えばMicrosoft社のTeamsでオンライン面談した内容は、ワンクリックで議事録とすることができます。

外国語の翻訳

外国企業の勘定科目を翻訳するときに効果的です。英語だけでなく、多言語の翻訳に活用できます。

財務改善提案資料の作成

顧問先の試算表や決算報告などから財務分析をおこなう活用法があります。分析結果や予測結果に対して質問や関連データを与えることで分析や予測を練り上げることができます。

  • 財務分析
    ChatGPT-4を利用する場合はPDFファイルをアップロードし、分析内容を指示します。ChatGPT-3.5の場合はテキスト化した財務データを入力したうえで、分析内容を指示します。財務指標の結果についてコメントを表示するなども可能です。
  • 競合比較
    顧問先の同業者の財務データとの比較結果を表示させる使い方です。
  • 将来予測

予測モデルを指定することで業績予測や需要予測などをおこなうことが可能です。

顧問先への提案時のロールプレイング

ChatGPTを用いて、顧問先へ提案する際のトークスクリプトを生成する、面談内容のロールプレイイングをおこなうなどの活用法です。
事務所で作成するトークスクリプトの練り上げ、顧問先との面談を想定した会話の練習となるほか、生成AIという客観的な視点を利用することで新たな気付きを得られる可能性があります。

顧問先の経理業務に生成AIをどう導入するか

ここまでは事務所内部でのAI活用が中心でしたが、顧問先の経理業務にAIをどう組み込むかも、税理士が提案すべき重要なテーマです。

AI-OCRと自動仕訳:どこまで自動化できて、どこから人が見るべきか

領収書100枚をスキャンした場合、従来の手入力では数時間かかっていた仕訳入力が、AI-OCR搭載の会計ソフトでは読み取りから仕訳計上までおおむね数十分程度に短縮できるといわれています(読み取り精度・書式によって差があります)。ただし、手書き文字や複雑な軽減税率区分、摘要欄の要約などはAIだけでは判断しきれないケースがあり、月次処理の最後に人が「金額・勘定科目・税区分」の3点を中心にチェックする運用が現実的です。

証憑の突合・月次チェックの自動化

顧問先から預かった通帳データ・クレジットカード明細と、入力済みの仕訳データをAIが自動で突合し、金額の不一致や二重計上、未処理の取引を洗い出す機能が広がっています。従来は担当者が目視で数百件の取引を確認していた突合作業を、AIが異常値として絞り込むことで、人の確認対象を数件〜数十件程度に絞り込める点が実務上のメリットです。

経理担当者が1人の会社での導入ステップ

経理担当者が1人しかいない顧問先では、まず「請求書・領収書の読み取り」など入力負担が最も大きい業務からAI-OCRを導入し、次に「入出金明細との自動突合」、最後に「月次レポートの自動作成」の順に広げていくと、担当者の負担を段階的に減らしながら定着させやすくなります。ダブルチェックする人がいない環境ほど、AIによる異常値検出機能の活用価値が高いといえます。

導入前に決めておくべき社内ルール(入力してはいけない情報の線引き)

生成AIサービスの多くは、入力した情報を学習データとして利用する設定がデフォルトで有効になっている場合があります。顧問先の氏名・マイナンバー・取引金額といった機微情報や個人情報を安易に入力しないこと、オプトアウト設定(学習させない設定)の有無を事前に確認すること、入力してよい情報とNGな情報の線引きを事務所内でルール化しておくことが必要です。

個人情報保護委員会も生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。社内ルールを整備する際の参考にしてください。

【参考】生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について|個人情報保護委員会

経理業務におけるAI活用の詳細は「経理AIの専用記事」もあわせてご確認ください。税務業務でのAI活用は「税務AI活用法」の記事で、公認会計士の業務におけるAI活用は「公認会計士のAI活用」の記事で解説しています。

税理士が生成AIを活用するときのポイント

生成AIを活用するときに気を付ける主なポイントは次のとおりです。

リスキリング(事務所内研修)

生成AIはユーザーが入力した内容に応じて成果物を出し、プロンプト(指示分)によって内容が変わることがあります。
作業者が満足する成果物を得るためには、スタッフにおける一定の理解とスキルが必要です。生成AIの操作セミナーへの参加、同業事務所における導入事例を聞くなどのほか、まずは生成AIを使ってみることが大切であり、業務に使えるプロンプト(指示文)がインターネット上で多数公開されているため、興味を持った作業から活用してみると良いでしょう。

取り組みやすいアプリから導入する

生成AIは用途に応じて多数のアプリケーションが提供されています。ユーザーが多いChatGPTを活用して文章案を作成するなど、自事務所で取り組みやすい作業から導入してみましょう。
事務所によってはkintoneなどの業務統合アプリから利用し始め、必要に応じて生成AIを追加するなど段階的な導入もおすすめです。

最新情報に基づく確認

生成AIは最新のデータを反映するとは限りません。多くのサービスに学習データの基準時点(知識のカットオフ)があり、これはサービスやバージョンごとに異なります。
最新情報を反映させるためにはWEB検索・ブラウジング機能を利用する必要があり、税制改正など鮮度が重要な情報は必ず一次情報で裏取りすることが大切です。

セキュリティ、プライバシー対策

生成AIを活用するときはセキュリティ対策が特に重要です。生成AIに入力した情報は基本的にクラウド上に保管されるため、重要な情報や個人情報を入力してしまうとAIサービスの提供者などへの情報流出リスクがあります。また生成AIへの入力自体が守秘義務違反となるリスクがあります。
生成AIを利用するときの主なセキュリティ対策は次のとおりです。

  • 重要情報、個人情報を入力しない
  • 事務所においてアクセス権限の管理ルールを整備する
  • データの暗号化やセキュリティの高い環境で利用できるプランを契約する
  • オプトアウト設定(入力内容を学習させない機能)を有効にする

事務所におけるDX化

生成AIを活用するよりも、業務のデジタル化が先決という事務所も多いでしょう。
税理士事務所の業務を急激にデジタル化することは難しく、スタッフや顧問先が混乱する可能性があります。着実にデジタル化するためには次の順序で取り組む方法がおすすめです。

  • 事務所内の連絡や資料のやり取りをチャットツールなどへ移行する
  • 資料保存はデータ保存へ移行する
  • 顧問先との連絡や面談の一部をチャットツールなどへ変える
  • クラウド会計ツールの導入などで顧問先とのやり取りをデジタル化する

生成AIで生産性向上し付加価値業務にも取り組む

生成AIを活用することで、多くの時間を費やしてきた仕訳入力や、残高合わせなど単純作業や定型業務を大幅に効率化することが可能となります。
税理士は定型業務の減少により生み出された時間を活かし、顧問先への「経営支援やコンサルティング業務」など、より幅広い「付加価値業務」に注力することが可能です。

上記のとおり生成AIが浸透することで税理士が提供するサービスの中核が変化していきます。今後も「顧問先から選ばれる税理士」となるために大切なことは次のとおりです。

  • 生成AIとの分業
    定型業務は生成AIに、顧問先への提案や折衝は人がおこなう分業体制をとる。
  • 生成AIとの協業
    生成AIから得られる情報を一次情報として、専門知識やほかの事例を加えて顧問先へ対応する協業をおこなう。
  • 人による付加価値化、差別化
    定型業務を削減し生まれた時間を活かし、より付加価値が高い業務に注力することで同業事務所と差別化する。

付加価値業務を一層推進することが可能となり、スタッフが成長しやすくなります。その結果、人材が集まる事務所となることにつながります。

税理士事務所の効率化、付加価値化は協議会がトータルでサポート

事務所の効率化、付加価値化について、課題やお悩みをもつ事務所経営者様は、経営革新等支援機関推進協議会のサービスをご活用ください。
経営革新等支援機関推進協議会は会計事務所の収益化から高付加価値サービスの拡充をトータルでサポートしており、全国1,733事務所(2025年3月31日時点)が利用しています。

スタッフの採用から教育プログラムの提供、すぐに使える情報発信素材の提供など、会計事務所が必要とするサービスを月額30,000円(税別)で、一気通貫に提供する経営革新等支援機関推進協議会へお気軽にご相談ください。

生成AIの実践的な活用方法をより詳しく学びたい方は、「AI研究会」もあわせてご活用ください。

生成AIと税理士業務についてよくある質問

経理業務のどこまでAIに任せられますか?

領収書や請求書の読み取り、金額データの自動仕訳といった定型的な読み取り・分類業務はAIに任せやすい領域です。一方、軽減税率の判断や摘要欄の要約、例外的な取引の会計処理といった判断を伴う処理と、最終的な内容確認は引き続き人が行う必要があります。作業の性質で線引きするのがポイントです。

税理士の仕事はAIに奪われますか?

単純な起票作業や定型的な税務申告資料の作成といったニーズは今後縮小すると予測されますが、複雑な税法の解釈や個別案件ごとの専門判断が必要な業務をAIが代替することは困難です。定型業務が減る一方、コンサルティングなど付加価値業務へと税理士の役割がシフトしていくと考えられます。

AIに顧問先の情報を入力しても問題ありませんか?

利用するAIサービスの利用規約を確認し、入力内容が学習データとして利用される設定になっていないか(オプトアウト設定の有無)を事前に確認することが必要です。個人情報保護委員会も生成AIサービス利用時の注意喚起を行っており、顧問先の機微情報・個人情報を安易に入力しないという社内ルールの整備が前提となります。

どのツールから始めるのがよいですか?

決まった正解はなく、事務所ですでに使っている業務環境に合わせて選ぶのが現実的です。Microsoft 365中心の事務所であればCopilot、Google Workspace中心であればGeminiというように、既存の環境と親和性が高いツールから試すと導入のハードルが下がります。

AI-OCRの精度はどのくらいですか?

サービスによって差がありますが、読み取り精度95%以上をうたうサービスも珍しくありません。ただし手書き文字や不鮮明な証憑では精度が下がることもあるため、精度の数値だけで判断せず、金額・勘定科目・税区分を中心に人が確認するプロセスを前提に運用することが重要です。

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