組織力とは、組織として団結することで発揮される能力のことを指します。
社員1人1人の能力上昇は大切ですが、組織(会計事務所)としての能力向上も重要です。
未経験社員の教育をはじめ、担当者が不在の場合も社内ですぐに対応可能といった、組織力が強い会計事務所を目指している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、開業5年で売上1億円を達成した石黒税理士事務所の石黒健太氏の、社員を即戦力にする人材育成の取り組みをご紹介します。
目次
会計事務所の組織力を上げ開業5年で売上1億円を達成した理由
石黒氏は、税理士の専門学校を卒業後、約10年間に3つの税理士法人で経験を積み、滋賀県で石黒健太税理士事務所を開業されました。
石黒氏は、成長する顧問先企業へ価値を提供するには自社が実践する必要があるという思いから、開業時に「開業5年で売上1億円にする」という目標を立てました。
- 大規模事務所の管理体制を小規模事務所版に変えて運用する
- 未経験が成果を上げられる人材に育てる仕組み作りをする
- 担当者に依存しない付加価値提供の仕組み作りをする
- 集客、業務効率化、人材採用&育成の3つの柱で目標管理をする
結果として、開業5年で売上は1.2億円、継続報酬と付加価値報酬の割合は3:1を達成しました。
「女性が活躍する組織へ」ツールや人材育成の取り組み
石黒健太税理士事務所は、社員20名中女性が17名と女性が多い税理士事務所です。
また、女性社員が多いだけでなく、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業として京都モデルWLB認証を受けています。
石黒氏は女性社員を集めた訳では無く、女性の求職者の方が職場の環境を第一に考えて転職されることが多く、有能な女性の方に希望いただいた結果であるとお話されています。
- 社内業務の標準化・マニュアル・指示書の作成
- チャットツール・進捗管理ツールによる情報共有
- 動画研修・動画マニュアルなどの整備
- ビジョン共有の教育
- 制度の整備(フルフレックス・短時間正社員・在宅)
社内業務の標準化・マニュアル作成
女性社員が働きやすい制度(フルフレックスなど)が充実している場合も、活用可能な状況でなければ意味がありません。
フルフレックスや短時間正社員活用の裏付けには、業務の標準化やマニュアル・指示書の整備、機能別での分業体制作りが必要です。
- どの社員が対応しても、業務の質が担保可能なマニュアルを作成する
- 顧問先企業ごとの注意点や対応については、個別で指示書を作成する
この2点を徹底することで、業務の脱属人化を進めることができ、分業化や付加価値報酬の獲得を達成できたそうです。
このように、担当者の変更・休暇などが発生した場合でも、社内業務が回るマニュアル作りが大切です。
ツールによる情報共有とコミュニケーションの強化
会計事務所として業務を分担するために重要なことは「情報共有」と「コミュニケーション」です。
在宅勤務が進む今日では、案件の進み具合や個々の業務状況が非常に見えづらくなっています。
チャットツールや税務ソフトを用いて、適切な情報共有やコミュニケーションをとるように心がけましょう。
また、情報共有とコミュニケーションはただおこなうだけでは最大限の効果を発揮しません。
情報の種類によって共有方法を分け、重要な情報は記録するようにしましょう。
- 共有すべき情報は社内チャットで共有
- 蓄積する必要がある情報(顧問毎の作業内容)はJDLなどへ保存
評価項目の明確化
社員の働きやすさと成果の向上は両立する必要があります。
社員の目標管理などをおこなう適切な評価制度を構築することで、成果の上がる組織を目指しましょう。
石黒氏は、目標の連携と評価基準の明確化を重要視して評価制度を構築したとお話しされています。
目標の連携とは、社員個人の目標が達成されると、最終的に事務所の目標も達成されるような目標を設定することを指します。
事務所の目標を達成するために必要な条件を部署毎の目標に落とし込み、部署の目標を達成するために必要な条件を社員個人の目標に設定することで目標の連携が可能です。
また、整備したツールや制度(人事評価やフルフレックスなど)は社員に理解をしてもらう必要があります。
「ツールを作成した趣旨」や「どのような制度にしていきたいか」を組織内で共有し、正しい活用を推進していきましょう。
未経験者を組織の即戦力にする!人材育成の仕組み
会計事務所だけでなく企業の社員には入れ替わりが発生します。
その際、未経験者が入社することも少なくないでしょう。
実際、石黒健太税理士事務所の社員は8割が未経験社員です。
そのため、未経験社員をどれだけ早く組織の戦力に育成できるかによって、組織力や売り上げに大きな差が生まれます。
- 社内業務の標準化・マニュアル・指示書の作成
- 未経験者でも使えるツールの整備
- 動画研修・動画マニュアルなどの整備
- ランク定義・求めるスキルの明文化&評価制度の構築
- 目標管理による成果コミット&行動管理による教育
業務の標準化と分業化
未経験社員が要領よく仕事を理解し、入社時からある程度の業務を担当するには業務の標準化と分業化が重要です。
さらに、未経験社員が経験を積んだ後、規模の大きい仕事を担当することで業務能力を上げることが可能です。
適切な業務のマニュアルを作成し分業化をすすめ、未経験社員が担当し経験を積むことができる業務を増やしましょう。
未経験者でも使用可能なツールの整備
業務効率化が可能なツールを導入していても、未経験社員にとっては活用しにくいツールの可能性があります。
原因としては知識・経験不足が挙げられますが、未経験社員も活用できるツールに更新することが大切です。
石黒健太税理士事務所では、経営革新等支援機関推進協議会のイベント管理表 を使用しています。
顧客先企業の設備投資などのイベントを管理して、補助金の活用をするためのツールです。
しかし、未経験社員は補助金の内容や条件などの知識が浅く、ツールを用いた顧客への説明などの業務が難しいことがあります。
石黒氏は、イベント管理表を補足する資料(定型フォームや提案資料)を作成し、どの社員でも顧客に提案することができる仕組み作りをおこないました。
ツールの使用方法についても、ロープレ形式の研修でレクチャーすることで、業務の流れを理解することができます。
研修教材の充実化
未経験社員の教育は理解しやすいという点が非常に重要です。
石黒健太税理士事務所では、経営革新等支援機関推進協議会の動画研修(ACADEMY)+外部研修を活用しています。
また、インプットだけでなくアウトプットも必要であるため、事務所でロープレをおこなうことで知識の定着を促進させています。
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まとめ
この記事では会計事務所の組織力を高めるために、石黒健太氏が実践した社員を即戦力にする人材育成の取り組みについてご紹介しました。
石黒氏は、「女性活躍推進」も「未経験者の即戦力化」も根本は同じで、人材育成の仕組み作りを丁寧におこなうことが重要だと述べています。
- 業務の標準化・分業化
- 教育体制の整備
- 成果に目を向ける文化・制度化
- 労力の割き方は「仕組み作り5:継続1」のバランス
社内業務のマニュアルや研修方法、評価制度について見直し、会計事務所の組織力をさらに向上させましょう。
会計事務所の運営や社員の教育方法に悩んでいる場合には、経営革新等支援機関推進協議会の会員登録もおすすめです。