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税理士事務所も時間外労働に要注意。繁忙期を乗り切る残業削減方法5選

税理士事務所も時間外労働に要注意。繁忙期を乗り切る残業削減方法5選

税理士事務所の繁忙期は事務所スタッフの長時間労働に注意が必要です。
“会計事務所はブラック”といわれることもある業界ですが、残業時間の削減などの「働き方改革」と「収益向上」を両立させ、人材を獲得しやすい事務所の例もあります。

本記事では、会計事務所における時間外労働の削減例について解説します。

少人数事務所で代表が送検!繁忙期に要注意

2023年12月1日、事務所スタッフ4名に法定上限を超える時間外労働をさせた労働基準法第36条違反の疑いにより、税理士事務所の代表が書類送検されました。

この事案においては、2023年2月1日から3月31日までの間に、事務員4人について月100時間以上、2か月平均80時間超の時間外・休日勤務をさせたとされています。

繁忙期・少人数事務所でも送検

上記の事案が注目される点は2つあり、会計事務所が最も繁忙な時期である2月、3月であっても、法定上限を超える時間外勤務は許容されていません。
また、少人数の事務所であっても事件化されています。

時間外労働の上限規制とは

労働基準法が改正され、2020年4月以降、残業時間の上限は原則として『月45時間かつ年360時間』とされ、臨時的・特別な事情がある場合は、労使合意(特別条項)により『年720時間以内、月100時間未満、年6か月まで』などの法令が決定しました。

違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる罰則が導入されています。

【引用】時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

繁忙期を乗り切る!税理士事務所が時間外労働を減らす方法5選

会計業界においては繁忙期の忙しさ、労働時間の長さなどが知られており“会計事務所はブラック”などの流言もあります。

現在は上記の公表事案のように、繁忙期であっても時間外労働の上限規制を超える長時間労働は違法となり、罰則が科させる可能性があり、長時間労働が常態化している事務所は、人材流出と採用難などにより一層人手不足となるリスクがあるため、早急な対策が必要です。

税理士事務所における労働時間短縮の主な取り組み例には、以下のものがあります。

顧問先におけるクラウド会計導入

顧問先の会計システムとしてクラウド会計の導入が増えており、クラウド会計を導入するメリットは次の点です。

  • 場所を問わず、同時に複数で利用できる
  • データ連携で入力作業が効率化する

証憑書類回収の削減

証憑書類の依頼や回収作業を削減するための主な取り組み例は次のとおりです。

  • 証憑回収作業の担当者を配置し、未経験者をあてる
  • 顧問先における支払日をできるだけ統一する
  • 自動引落(口座振替)を増やし、法人カードを導入する
  • 証憑類データ回収を徹底する

入力作業の細かなルール作りで脱・属人化

スタッフの作業の流れを止めることがないよう、細かな点についても事務所のルールとして統一します。例として「インボイスの仕入を複数仕訳する時の消費税の端数処理」などがあげられます。

業務の見える化と役割分担

スタッフのスケジュールや案件の進行状況を“見える化”しておくことで、作業の偏りの修正や担当者不在時のフォローなどが、おこないやすくなります。

また、事務所のチーム制も広まっており、書類をスキャンする担当者、入力作業の担当者など、作業を細分化・標準化することで、事務所全体の効率を高めます。

繁忙期対策は事前準備が肝要

業務が集中する繁忙期は、前もって準備しておくことがポイントです。

短期間に業務量が集中するため、あらかじめ納期を分散しておく、作業を前倒ししておくなどの対策を講じます。

税理士事務所の繁忙期対策の例

多くの事務所でさまざまな繁忙期対策をとっており、主な例は次のとおりです。

やり方を統一する

作業の細かな点についても事務所内で統一化しておきます。

主なルール化の例は次のとおりです。

  • 紙の証憑の置き場所を決める
  • 未確認の証憑を一時的に保存するスペースを決めておく
  • 法人形態ごとの略称を決める(例.株式会社は前株、後株を問わず(株)に統一など)
  • 証憑データのフォルダの名称の付け方、階層ごとに保存するデータの種類を統一する
  • 紙の証憑に付ける通し番号の付け方、仕訳帳と証憑つづりを一体で保管する
  • 仕訳時に証憑番号を登録しておく

繁忙期対策を夏から始める

資料回収に時間がかかる顧問先もあるため、資料回収はできるだけ前倒しに開始し、期限を決めて顧問先へ依頼しましょう。

また期限を管理しておき、書類の未回収がある顧問先への連絡の徹底も必要です。

事前連絡・すぐ確認・途中で報告・結果を共有

以下は、資料回収を効率的にすすめている税理士事務所の例です。

  • 顧問先ごとに回収する資料を相互に共有する
  • 顧問先から回収した資料は事務所の担当者が即時に確認、不足や不備は直ちに連絡する
  • 確定申告時の所得の見込みや業務報酬などは顧問先へ事前に連絡しておく
  • スタッフが作業を終えた段階で、事務所内の案件担当者や管理者へ都度報告する

健康診断、メンタルケアを充実

繁忙期はスタッフの心身への負荷が高い状態が続くため、繁忙期であるからこそ、スタッフの気分転換、休憩がとれるように意識して取り組んでいます。

また、スタッフの体調管理のために健康診断を定期的に受診してもらうとともに、メンタルケアをおこないましょう。

事務所自身も労務管理を徹底

上記の公表事案のような法定上限を超える長時間勤務は許容されません。

また、管理者の管理責任も問われ、事務所の労働基準法違反が判明した場合、顧問先からの信頼をなくすリスクもあるため、繁忙期においても労務管理を徹底しましょう。

「働きたい」と思われる会計事務所となるには

開業税理士として成功したい!独立開業で成功するための準備を解説

会計事務所も人手不足が顕著であり、税理士の有効求人倍率は全国平均で2.31倍となっています。

【参考】職業情報提供サイト|厚生労働省

離職率が高いといわれており、採用難となっている会計事務所業界において、生産性向上と働き方改革を実現できない会計事務所は、業務を縮小せざるを得なくなるリスクがあります。

採用が円滑な会計事務所では、次の点を重視して意図的に取り組んでいます。

  • 少人数事務所であっても健康保険加入など福利厚生を整備
  • 給料体系、評価基準を明確化
  • キャリアアップを支援する教育研修制度の導入
  • 顧問先へ提供できるサービスの拡大
  • スタッフがやりがいと自信をもって取り組める業務の増

【関連記事】人材の定着と将来性は税理士事務所で両立する!?業界トップの経営者達の目線から解説

スタッフが働き続けたいと思う事務所となるためには、定型業務を削減し付加価値が高い業務や、スタッフがやりがいを感じられる業務を拡充することにより実現可能です。

定型業務を削減し、事務所の生産性を高めるためには、会計事務所向けのサポートサービスの導入が効果的です。

税理士事務所の経営は協議会がサポートします

スタッフが働き続けたいと思う事務所となるための取り組みは、経営革新等支援機関推進協議会がサポートします。

協議会は会計事務所の「やりたい」を「できる」に変える、さまざまなサービスを月額30,000円(税抜)で提供しており、1,722か所の事務所が利用しています。

  • 財務支援を標準化しやすい財務支援システム『F+prus』
    顧問先の課題の抽出、財務分析、計画書の自動生成まで、新人スタッフでもメニュー提案まで可能となるクラウドシステムです。
  • 忙しい時間もスキルアップが可能な実務研修『ACADEMY』
    スタッフがやりがいを感じやすいサービスである本業支援業務をイチから学べる動画研修カリキュラムです。1コース3か月間の修了で知識習得から現場での実務支援までが可能となります。

会計事務所における生産性向上のサポート、付加価値業務を推進するための具体的なツールのお悩みは、経営革新等支援機関推進協議会へお気軽にご相談ください。

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経営革新等支援機関推進協議会は、株式会社エフアンドエムが運営する会計事務所向けの支援団体です。2014年4月に設立し現在では、全国1700以上の会計事務所が正会員として参画しており、中小企業支援制度についての勉強会・システム提供を通じて全面的にバックアップしている。