『税理士は食えない』といわれることがありますが、年収が高額の税理士もいます。勤務税理士であっても一般的な会社員より収入水準は高く、開業税理士は成功すれば高額の収入を得ることができます。
本記事では税理士の年収の現実と勤務税理士・開業税理士の年収について解説します。
目次
税理士の年収の現実
税理士の年収は一般的な会社員の年収458万円よりも高く、中には高額の報酬を得ている税理士もいます。税理士の年収は勤務税理士であるか開業税理士であるかによって大きく異なります。
勤務税理士の平均年収
厚生労働省が発表した2022年賃金構造統計調査によると、税理士と公認会計士をあわせての平均年収は746.6万円です。基本給と手当などが月額43.90万円、残業手当などが月額3.78万円、賞与などが年間174.48万円です。
この平均年収は税理士と公認会計士をあわせた数値です。また調査対象が従業員数10名以上の事務所の一般労働者のみを対象とした平均値です。
勤務税理士の年収は経験年数に比例
勤務税理士の平均年収を年齢別にみると、平均年収(所定外給与を除く)は701.28万円、年収の中央値は643.32[AF2] 万円です。勤務税理士の年齢別の年収は次のとおりです。
税理士・公認会計士 | 平均年収 (所定外給与を除く) |
全年齢 | 701.28万円 |
20歳から24歳 | 428.68万円 |
25歳から29歳 | 495.89万円 |
30歳から34歳 | 581.63万円 |
35歳から39歳 | 671.87万円 |
40歳から44歳 | 721.37万円 |
45歳から49歳 | 770.03万円 |
50歳から54歳 | 853.52万円 |
55歳から59歳 | 1,061.47万円 |
60歳から64歳 | 576.58万円 |
65歳から69歳 | 643.32万円 |
70歳以上 | 629.43万円 |
【引用】2022年賃金構造基本統計調査|e-Stat第10表より作成
勤務税理士の年収は経験年数に比例して増加します。勤務税理士が平均年収である746.6万円を超えるためには10年以上の経験年数が必要となります。
経験年数 | 平均年収[AF3] (所定外給与を除く) |
平均 | 701.28万円 |
0年 | 481.04万円 |
1年から4年 | 588.44万円 |
5年から9年 | 654.02万円 |
10年から14年 | 845.56万円 |
15年以上 | 852.86万円 |
【引用】2022年賃金構造基本統計調査|e-Stat第14表より作成
開業税理士事務所の平均売上高は約5,000万円!?
開業税理士は成果によって高額の収入を得ることが可能です。税理士事務所の売上高は従業員数によって大きく異なりますが、平均売上高は4,926万円、従業員数1名あたり売上高は平均936万円です。
税理士事務所の平均像
経済センサスによると、税理士事務所の平均売上高は4,926万円です。従業員数によって大きく異なります。
税理士事務所 従業員規模別 | 1事業所あたり 売上(収入)金額 |
平均 | 4,926万円 |
1名から4名 | 2,087万円 |
5名から9名 | 5,553万円 |
10名から19名 | 13,008万円 |
20名から29名 | 22,353万円 |
30名から49名 | (データなし) |
50名以上 | 118,935万円 |
【引用】経済センサス‐活動調査 令和3年経済センサス‐活動調査 事業所に関する集計 産業横断的集計 売上(収入)金額等 |e-Stat
第6回税理士実態調査報告書(2014年実施)によると、開業税理士の平均年収は300万円から500万円が中央値となります。
年収 | 構成比 |
300万円以下 | 31.4% |
301万円から500万円 | 16.7% |
501万円から700万円 | 12.0% |
701万円から1,000万円 | 13.5% |
1,001万円から1,500万円 | 11.0% |
1,501万円から2,000万円 | 5.0% |
2,001万円から3,000万円 | 3.4% |
3,001万円から5,000万円 | 1.5% |
5,000万円超 | 0.5% |
下がる顧問料、増える税理士事務所の売上高
税理士の顧問報酬は低下傾向にあります。法人顧問先の月額顧問料は記帳代行なしで2万円以上、記帳代行ありで4万円以上とみられています。
顧問料が下落する一方で税理士の市場規模は拡大が続いており、経済センサスによると税理士業界の市場規模は1兆3,772億円と推計されます。
税理士事務所 | 事業所数 | 市場規模 (売上額) |
2012年 | 22,127か所 | 8,614億円 |
2016年 | 24,461か所 | 10,745億円 |
2021年 | 28,244か所 | 13,772億円 |
【引用】
2021年経済センサス|e-Stat表番号7-1
2012年経済センサス|e-Stat表番号2-1
以上から推測すると、税務顧問、記帳代行や決算報酬以外の業務収入によって、税理士事務所の売上を伸ばしているとみられます。
税理士は年収1,000万円が限界?打開策は営業・付加価値・効率化
勤務税理士1人あたり売上高は平均936万円となっていますが、税理士事務所を開業した場合は成功すれば収入を大きく増やすことが可能です。
成功している税理士事務所の特長をみると次の3点がみえてきます。
- 営業に力をいれる
- 付加価値が高い業務を推進している
- 業務の推進が効率的
税理士事務所の1人あたり平均売上は1,000万円
税理士事務所の1名あたり売上高は871万円から1,266万円、平均で936万円となります。従業員数20名の中規模事務所までは規模による差は大きくはありません。
税理士事務所 従業員規模別 | 従業員1名あたり 売上(収入)金額 |
平均 | 936万円 |
1名から4名 | 888万円 |
5名から9名 | 871万円 |
10名から19名 | 1,008万円 |
20名から29名 | 957万円 |
30名から49名 | (データなし) |
50名以上 | 1,266万円 |
【引用】経済センサス‐活動調査 令和3年経済センサス‐活動調査 事業所に関する集計 産業横断的集計 売上(収入)金額等 |e-Stat
税理士が年収を上げるポイントは営業・付加価値化・効率化
勤務税理士の年収は約1,000万円で頭打ちとなることが多い一方、独立開業した税理士は自身の努力で年収の増加が可能です。
開業税理士が年収を上げるために必要なことは次の3つです。
- 『営業』により顧問先を増やす
- より単価が高い『付加価値が高い』業務を推進する
- 税務・会計以外の業務をより多く提供するために『効率化』する
開業税理士が年収を上げるために、協議会は提案します
税理士事務所数が増加している中、開業税理士が生き残ってゆくためには事務所を差別化することが必要です。
顧問先からより高い評価を得るために、全国1,722事務所が参加する経営革新等支援機関推進協議会がおすすめしたい取り組みは次のとおりです。
税理士事務所の営業は自動化できます
税理士事務所における営業のスタートは、顧問先への情報提供です。
事務所通信やDM、補助金などの公的支援策の制度改正情報を発信し、自事務所のサービスを知らせることで受注に結びつけます。
<協議会は『素材』と『問い合わせがくる仕組み』をご提供>
- 各種制度の販促チラシ
事務所名を編集するだけで、すぐに利用可能!協議会の会員事務所はこのチラシを活用してスムーズな案件獲得をしています。
【画像出所】お役立ち情報 経営革新等支援機関推進協議会
- 動画・メルマガ文章・ホームページ用更新データ
最新情報を、わかりやすく顧問先へ提供できます。チラシ・動画・メルマガ・ホームページの4つの媒体で使える素材を網羅しており、顧問先のあった方法での提供をフルカバーしています。
- 顧問先向け『FASクラブ』で事務所に相談が来る仕組みづくり
補助金や資金繰りに関する情報提供・セミナー開催を協議会が自動で配信します。
無料会員でも豊富な情報を入手できるため、顧問先への自動情報提供だけでなく、見込み先の獲得にも活用できます。
財務分析提案をフロント商品化
財務分析報告を、その先にある財務・資金繰り改善提案のためのツールとして使っている会計事務所があります。
協議会が提供する『F+prus』は潰れない会社づくりのための具体的かつ原則的な指導ができる。さまざまな機能が実装されています。
経験が浅いフタッフであっても、わかりやすい分析結果と資金繰り改善提案を含めたシミュレーションを最短15分で作成可能です。
- 借り換えシミュレーション機能で、借入と返済の最適化を提案
- 計画書の作成は、最短15分で5か年の最適化診断が可能
付加価値サービスの切り口は補助金申請のサポート
顧問先の関心が強い補助金・助成金のお知らせは、本業支援業務の推進に効果的です。
また税理士だからこそ、補助金申請と同時に使える税制優遇制度をあわせて提案することが可能です。
税理士1人で80社を担当する事務所の例
関東地方のA事務所は税理士1名、スタッフ2名のみで顧問先80社をフォローしています。
A事務所では月次の面談を少なくし、顧問先への情報提供と公的支援策の申請を手厚くサポートする方針で顧問先の満足度を高めています。
A事務所の例から参考となる点は次のとおりです。
- 顧問先にとって重要と思われる情報は何度も『繰り返し』発信する
- 協議会のFASクラブやNewsLetterをフル活用し、効率的に発信
- 経営力向上計画などのサポートは協議会の添削サービスを利用
- 公的制度の案内時に、顧問先と事務所での役割分担を明確化しておく
まとめ
税理士は成功すれば年収5,000万円以上を得ることも可能です。月額顧問料と決算報酬を基本とする税務・会計業務に加えて、顧問先へ付加価値が高い業務を推進することで年収アップできる可能性があります。
税務・会計だけではない事務所となるために、協議会のサービスをフル活用してみましょう。